リベラルなアメリカ社会の最前線

『モーリタニアン 黒塗りの記録(The Mauritanian)』2021 ケヴィン・マクドナルド(Kevin Macdonald)監督 国家による拘束というものの怖さ

評価:★★★★★星5.0 (僕的主観:★★★★星5.0つ) 9.11の首謀者の一人とされ、司法手続きもなく自国から連れ去られ、キューバのグァンタナモのキャンプに長期間抑留されたモーリタニア人、モハメドゥ・オールド・サラヒの実話。彼は、2001年の11月に、モーリタニ…

アメリカはいつも夢見ている 渡辺由佳里さんのケイクスの連載が終了

僕は、アメリカに来てから、日本に戻った時も、ずっと渡辺さんの連載などをいつも追っています。というのは、「アメリカの今」を知るのに、とても有効だと思ったからです。思えば英語がつらすぎて、日本語で書かれたアメリカの「いま」の出来事をリアルタイ…

『Turning Point: 9/11 and the War on Terror』2021 Brian Knappenberger監督 対テロ戦争20年を網羅し「いま」見るべきドキュメンタリー

www.youtube.com■歴史となった911からのイラン・アフガニスタン戦争バイデン大統領は2021年8月30日、アフガニスタンからの軍の撤退が完了したと宣言した。その後、一月くらいは持つだろうと予測していて様ですが、アフガニスタンではイスラム主義…

『The Rider』 2017 Chloé Zhao監督 オグララ・スー族の馬とともにある人生の美しさとIndian Reservation(インディアン居留地)残酷さ

www.youtube.com評価:★★★★★星5つマスターピース (僕的主観:★★★★★星5つ)■見たきっかけと 2021年の第93回アカデミー賞作品賞受賞の『ノマドランド』の Chloé Zhao監督の第二作目。『ノマドランド』が、あまりによかったので興奮してノラネコさんに話した…

ROAD TO 2024 - 米国政治を見ていくうえで背景として押さえておきたいことのまとめ-トランプ支持の7400万票の意味を問い続ける必要性(3)

さて、ペトロニウスがなんちゃってアメリカウオッチャーとして、2024年のアメリカ大統領選挙を理解するための「視点」として「定点観測すべき」視点=パースペクティヴを、文脈をまとめているのがこれで3回目です。 ちなみに、これを書いていたのは、2月なん…

The Road to 2024 - 米国政治を見ていくうえで背景として押さえておきたいことのまとめ-トランプ支持の7400万票の意味を問い続ける必要性(2)

petronius.hatenablog.com前回、(1)で会田弘継さんの記事を紹介した。2022年の中間選挙、2024年の大統領選挙、そして、現代アメリカ自体を眺めていくうえで、「どういう構造を抑えておくと」情報が摂取しやすいのかのスキームはなんだろうか?。…

The Road to 2024 - 米国政治を見ていくうえで背景として押さえておきたいことのまとめ-トランプ支持の7400万票の意味を問い続ける必要性(1)

■サンダースのミトンが象徴するものは?1月20日バイデン就任式の日、ツイッターの#InaugurationDayでトレンドNo.1を終日突っ走ったのは、サンダースの手編みミトン姿。その写真を使って、さまざまな画像が 世界を駆け巡ったが、一番気に入ったのはコレ。元写…

BLMを語るときにその背景の歴史をまず理解しないと

finders.me ■目の前のイシューでだけ考えないで、背景の構造をまず共有してから議論しないと 自由VS 法と秩序という図式で、極右と極左の構造で、この問題を見てしまうと、トラップ(罠)にはまるといつも思う。もちろん、大枠はその補助線なんだろうとは思う…

Republican National Conventionを実際に見てみた。

www.youtube.com2020/9/9。正直、この状態だと、どうやってもトランプさん勝つなという印象。いやはや、数週間前と全然違う。選挙が混迷を深めているのは、2016年の時と同じ。リベラルサイドから見ると、だいぶやらかした感が強いトランプさん4年の任期、そ…

最高裁の判断にアメリカの底力を見た気がします。

news.yahoo.co.jp7/26日曜日。明日から月曜日が始まると思うと、ちょっと憂鬱な感じ。まぁ、ずっと家で仕事しているので、だいぶ楽なんだろうけど。何しろ、コロナにかかる可能性は、外に全く出ないから、少ないしね。 まず一つ目は、6月15日の性的少数者に…

The Capitol Hill Autonomous Zone (CHAZ)って、もうGeorge Floyd protestsと関係ないよね、これ。

累積感染者数トップ12。NY州、NJ州、IL州の三強を脅かす州はないと思ってたけど、いつの間にかCA州が2位にのしあがっとる。 pic.twitter.com/gipY5sAm0W— yoͥ̊̈͋͌̆͑s̔hͯ̓͐͌ͬ́̈́̅il͆͂͋ͧͬͮo͌ͧ́ͮ̂͒̏̆̎̑̓̽̓gͫ̔̓͊͐̌ͦ (@yoshilog) June 26, 2020 本日は、6月26日の…

平和的なデモのやり方

2020/6/3の水曜日。 先週の25日にミネアポリスでGeorge Floydさんが殺されてから、10日ぐらい過ぎているのに、全米ではプロテストの勢いは増すばかり。2017年のミズーリ州のマイケルブラウン事件(ファガーソン事件)の時は、ロサンゼルスのダウンタウンだけ…

「アンティファ(Antifa)」ってなんだ?

1日の『ABEMA Prime』に出演した町山氏は「年齢や人種が完全に入り混じっているが、大きく分けて3種類の人たちがいる」と話す。 「一つ目は“プロテスター”(protesters)と呼ばれる、黒人への暴力に抗議する人たちで、僕の映像に出てくる、警察に訴えかけて…

暴動なのか抗議行動なのかの二項対立は、物事を単純化させる。

今SNSにアメリカでの黒人差別に関する多くの動画/写真が流れてる中で、自分が最も力強いと感じた、それぞれ世代の違う3人の黒人が話す2分弱の動画に日本語の字幕を付けました理不尽な社会に生きる彼らの発する言葉ひとつひとつの重みを、英語を日常で話さな…

全米中に広がりを見せるGeorge Floyd Protests

petronius.hatenablog.com続き。昨日からの少し、残しておこうとメモメモ。2020年5月31日(日)。ロサンゼルスは、夜間外出禁止令(Curfew)をガルセッティ・ロサンゼルス市長が発令。おお、ガチのCurfewだよ!。この表現使って、それはStay-at-home-ord…

2014年のマイケルブラウン事件の広がりを思い出させる

George Floyd Protestが広がっている。2020/5/28にミネソタ州Minneapolisの白人警官Derek ChauvinによるアフリカンアメリカンのGeorge Floyd殺害をきっかけに。昨日、在ロサンゼルス日本総領事館からのメール。 1 本日(5月29日)及び明日(5月30日),午後5…

『Knock Down the House』2019 Rachel Lears監督 アメリカの最前線を伝えるAOC(アレクサンドリア・オカシオ=コルテス)のサクセスストーリー

評価:★★★★4つ (僕的主観:★★★★4つ)2019-10-04【物語三昧 :Vol.41】『Knock Down the House』2019 Rachel Lears監督 アメリカの最前線を伝えるAOCのサクセスストーリー-46 2019年8月28日に、これを書いている。偶然、ネットフリックスで見つけて。…

『ブレイキング・バッド(Breaking Bad)』シーズン5 USA 2008-2013 Vince Gilligan監督  才能によって善悪の彼岸を超える時

評価:★★★★★5つ+αマスターピース (僕的主観:★★★★★5つ+αマスターピース) 2019-8-7【物語三昧 :Vol.5-4】『ブレイキング・バッド(Breaking Bad)』シーズン5 USA 2008-2013 才能によって善悪の彼岸を超える時-42 全5シーズン、62話。この作品が言いた…

『最後の追跡(Hell or High Water)』 David Mackenzie監督 Taylor Sheridan脚本 抜けられない負の連鎖の中で-フロンティア三部作

評価:★★★★★5つ (僕的主観:★★★★★5つ)www.youtube.com2019年6月20日。やっと、仕事が落ち着いてきたので、インプット復活。『最後の追跡』(原題: Hell or High Water)2016年のネットフリックス作品。監督はデヴィッド・マッケンジー、主演…

『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(Battle of the Sexes)USA 2017 Jonathan Dayton, Valerie Faris監督 当事者たちが何を抱え、何を考え、何のために戦ったのかを感じられる素晴らしい映画

評価:★★★★★5つ (僕的主観:★★★★★5つ)www.youtube.com 『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(Battle of the Sexes)2017年のアメリカ映画。めちゃくちゃよかった。Emma Stoneが演じるビリー・ジーン・キングが、なかなかいい味を出していた。去年(2018)…

カマラ・ハリス上院議員は、合衆国初の女性大統領になれるか?/Sen. Kamala Harris announces 2020 presidential run

www.youtube.comフォー・ザ・ピープル(For the People)を選挙スローガンに。米国の祝日マーティン・ルーサー・キング・ジュニア・デー(Martin Luther King Jr. Day)に、カマラ・ハリスカリフォルニア選出の上院議員(民主党)が、ABCの「グッドモーニン…

いま全米で、こんまり(近藤麻理恵)のネットフリックスのリアリティーショーが熱い!

www.youtube.com最近、めちゃ周りでアメリカ人が話題にしてて、Twitterとかでも日本語でも、全米でガチ大人気だってことが知れ渡ってきたので、見たら、こりゃー面白い!と感心したので、紹介を。まだ全エピソード見れていないのだけれども、ファーストイン…

アメリカのリベラルが嫌われつつあるのはなぜか? ウォーク・アウェイ運動について

www.youtube.com リベラルと民主党から立ち去ろう!――ブランドン・ストラカBRANDON STRAKAさんのWalk Away運動の、このYouTubeの映像は、今のアメリカの政治状況を読み解くのに、非常に有用だと思いました。多様なメッセージを含んでいて、アメリカの民主党…

『アイ・イン・ザ・スカイ 世界で一番安全な戦場/Eye in the Sky』(USA 2015) Gavin Hood監督  オバマ政権ごろから急激に増加する特殊部隊をよく表している

評価:★★★★☆4つ半 (僕的主観:★★★★☆4つ半)Eye in the Sky(2015)。Gavin Hood監督。兵士の死傷率が上がると、すぐに戦争継続が困難になる民主主義国家では、必然的にドローンやロボットなどの遠隔操作による暗殺や戦闘が大きな潮流となっていく。ちなみに…

『サトコとナダ』 著:ユペチカ 監修:西森マリー アメリカ留学を通して、世界と自分を知っていく類型の物語として素晴らしい完成度

評価:★★★★★5つ (僕的主観:★★★★★5つ)『サトコとナダ』 著:ユペチカ 監:西森 マリー サウジアラビアの女性の視点から見る世界ってなかなかなくて、とても興味深いです。 - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために この続き。先日最終巻がキンド…

『世界にひとつのプレイブック』2012 USA(Silver Linings Playbook) デヴィッド・O・ラッセル監督  見ていて痛くなる映画なのだが、ラストがぶっ飛ぶほどのハッピーエンド

客観評価:★★★★4つ (僕的主観:★★★★4つ)どんな映画か?と言ったら、シャルウィダンスみたいな話、と喝破していた町山智浩さんに一票!。ちなみに、コメディーには全く思えない(苦笑)。崩壊寸前の家庭、崩壊しちゃった家庭、人生のオンパレード。それで…

フォレストガンプと大統領の執事の涙を同時に見よう!

先日、町山智浩さんの映画塾を聞いていて、フォレストガンプの評価がとても興味深かったので、お勧めです。フォレストガンプのモヤモヤしていたところが、すべて取り払われたような気がして、とても面白かった。 1950年代:順応主義・コンフォーミズムの…

『グローリー/明日への行進』(原題: Selma・2014)Ava Marie DuVernay監督  偉人すぎるキング牧師の実像に踏み込み、米国の今を告発する作品

客観評価:★★★★★5つ (僕的主観:★★★★★5つ) ■見るべきポイント-1〜ジム・クロウ法の具体的な運営方法まず最初のシーンに、強いセンスオブワンダーを感じた。というのは、ある黒人の女性が正装して、強い意志をもって、公的機関の窓口に出向き、延々と、ア…

『42 世界を変えた男』(2013 USA) ブライアン・ヘルゲランド(Brian Helgeland)監督  暴力ではなく、耐えることによって共感を生み、世界を変えていく戦略

客観評価:★★★★★5つ (僕的主観:★★★★★5つ)アフリカ系アメリカンの素晴らしい映画が、オバマ大統領の登場以後、頻出している。そこを注目すると、アメリカの動きが強く感じられる。なので、探しては見るようにしているのだが、町山智彦さんのラジオでの紹…

『美女と野獣(Beauty and the Beast)』(2017 USA)本好きのハーマイオニーが恋に落ちる瞬間を!(笑)

客観評価:★★★★★5つマスターピース (僕的主観:★★★★★5つ) ディズニーの歴史に残る傑作になるだろう素晴らしい作品でした。ノラネコさんがおっしゃる通り極上のエンターテイメント超大作。映画館に見に行く価値があると思うし、これは女性でも子供でも誰…