サプライズがあることが人にひきあげてもらう時の絶対条件

最近、、というわけではなくずっとなのだが、後輩に相談を受けることが多い。リクルーターなどでじっくり話し込んだ人は、すべて大事な後輩と思って時々メールをしたりケアしている*1ので、相談しやすいのだと思う。また先輩などからも、部下の指導で「ちょっとガツンと目を覚まさせてくれ!」みたいな要請を受けることも、しばしある。

基本的に、僕は身体に余裕がある限り、こういう相談ごとは、すべて受けるようにしている。それは、数をこなすことが理論の構築につながる*2と思っているところがあるからです。

僕の人生のテーマの一つとして


人の動機の根源を素早く見抜くこと


人の動機の根源に火をつけること


は、どのようにすればできるのだろう?というものがあります。そういうことが上手く効率よくできるようになるため、「識別の能力」というか「審美眼」を身につけたいと思っているんです。だから、余裕がある限りは限りなく付き合います。正直なところ、人間は軽いアドバイスや一時期の言葉ぐらいで変われるものではありませんので、その行為になにがしの意味があるのだろう?という疑問符持ちつつも、理論構築の具体例だと思って付き合います。

ちなみに、公募や新規採用などの新しい事業の人材育成などにも関わることが多かったために、僕に人事権があると思い込んで接触してくる人も多少いるようで、そういうアピールをしに来る人もしばしいます。ちなみに、決定権こそありませんが、たしかに僕の上層部への推薦は物凄い確率で通るので、そう思って接触してくるやつは、なかなか人を見る目はあると思います。ようは、営業などでのKEYPERSONの把握が上手いということですからね。それは、組織で生きるための基礎スキルです。

ただ、どういう状況にせよ、僕が「こいつはデキルやつだ!」と選別するにあたって、いくつかのパターンが出来上がってきたので、それを少し書いてみたいと思います。ちなみに、「こいつはデキルやつだ!」と最初のインパクトがあって、多少の経過時間を見てそれが継続している場合には、僕は積極的に周りに誉めまくって吹聴するので、その人は加速的に組織横断的に高い評価を受ける可能性が高くなります。



□サプライズがあること


さて「こいつはデキルやつだ!」と選別するにあたって、最近「これ!」と思っているのが、「サプライズがあること」です。どういうことか具体例で示してみましょう。


たとえば、僕は本が物凄く好きで、相当量の本を継続的に読んで問題意識を持っている人が「偉いんだ!」という思い込みがあります。この是非は何とも言えませんが、僕はこういう前提があるために、人に過剰なくらい本を薦めます。こんなブログを毎日書くくらいだから、その過剰さはとんでもないです(笑)。けど、その後「僕は読みました!」と報告する人や「本をもっと教えてください!」とメール来る人って、凄く少ないのですね。全体の数パーセントにも満たない。


ちなみにいつもいうエピソードなんですが、僕の心から尊敬する大親友のNという男がいて、彼とは就職活動で知り合ったんですが、確か居酒屋か何かで酔っ払っている時に出会って、初めて会った彼に、


「お前みたいな馬鹿は社会では役にたたない!経済ぐらい少しは勉強してからものを語れっ!」


と罵ったんです(笑)。あの、当時粋がり過ぎで失礼な奴だったので、言葉の偉そう感は無視してもらいたいのですが・・・その彼は、どうも僕が説明した内容になかなか感じいるところがあったようで、その時ハードカバーの分厚い本を何冊か推薦したのですが、


次の日に、そのすべてを徹夜で読み切って


問題点やわからないところを僕に聞きに来たんですね。


感激しましたよ。その姿勢に。そこから彼は湯水のように僕が推薦する本を読み続け、半年後には二人で共同の論文を書くところまで来て、就職活動後、会社に入って継続してそれをつづけた彼は、


「おまえは、最近勉強が少なくて、経済がよくわかっていないな!もっと広い視野で物事を見ろ」


と、僕に説教するまでに逆転するようになりました。いまでは、シゴトがらということはあるにせよ、ある分野では僕よりもはるかに経済通になっています。



このエピソードを通して僕は何が言いたいのか?といいますと、僕は、「本を読んでいるかどうかでその人の価値を見極める!」とすら叫んでいて、「即日に感想を持ってこない奴は姿勢が弱すぎてダメだ!」といっているんですよね。当たり前ですが。



だったら、その場で紹介した本を、次の人は言わなくても、どーせ数冊しか紹介しないのですから、全部読んだ!と報告や感想をいいに来てもいいじゃないですか?。でもね、会社で面とサシでそれをいっている*3のに、読んだ本を報告に来たり、どんな本がいいか推薦してほしいのリストを欲しいとかメールで来る人っては、100人いたら・・・・1人くらいなんですよ。つまりね、ほぼ皆無なんですよ。



僕は、以前いた経営企画部の飛ぶ鳥を落とす勢いで出世を続ける上司に、お前は、「ローマ帝国のことも知らんのか!」と怒られて、次の日には、もうかって1冊読んで、すぐ全巻読みます!と宣言しました。ちなみに、その紹介を受けた日は、家にたどり着いたのが朝の4時でしたが、眠る時間を削って読みました。


自分が尊敬する人が、心から紹介してくれるものをないがしろにするなんて行為は、男には許されない!


と僕が強く思っているからなんですね。その後、約2ヶ月くらいで、30冊ぐらい出ていた文庫を一気に全部読んでいます。もちろん、同時並行でファイナンスや新事業のためにいくつもの本を読み続けていた中でです。その彼に人事評価で言われたことを今でも覚えています。


「君の姿勢は素晴らしい。このままでいけば当社のエグゼクティヴになるのは間違いないのだから、そのまま止まるな。特に、君は忙しい中で様々なテーマを持って本を読んでいるのは、感心するよ。僕よりより本を読んでいる人は、なかなかいないからね。」

その人も読書大好き人間で、もうすっかりいまでは、読書人友達で、ほぼ毎週読んだ本を推薦しあったり論評しあったりしています。・・・あの、ヤらしい話ですが、この忙しくて分刻みで動いているエリート街道まっしぐらの上司が、毎回特別に僕を気にかけてくれていて、しかも部署が変わってもほんのことを紹介してくれたり、何かいい本はないか?って昼飯でも食おうといってくれることが、どれほど物凄い価値があるかは、わかりますよね?。まー趣味が本だった、という運の良さはあるかもしれないですが、忙しく全力疾走している「責任ある人」ほど情報接種には物凄く飢えて敏感なので、少なくとも経営者や人の上に立つことを目指している人で、膨大な読書量をしていない人はいないですね。

ちなみに、読書人ネットワークのなかで僕がとても重宝がかれているのは、僕が珍しく中国古典や小説やビジネス書以外のジャンルに「さえも」膨大な知識があることで、情報接種の効率的手法に敏感な人からは、とってもいいフィルタリング機能として思われているからなんですね。僕は社内外に、こういう人的ネットワークを広範囲に持っているので、後輩や部下が本を読んで勉強する姿勢を持てれば、そのネットワークに加えてあげたいと思っているんですよ。それで、「本を読め!」といっている。


にもかかわらず、ほぼ皆無なんですね。読んでくるやつが。忙しいのはわかるし、自分が興味を持てない習慣をするのは、シンドイのはわかるので即日徹夜とかは言わないですが、それにしてもメールでリストを送ってさえ、年単位でも読まないでいる人は、話にならない。


僕からすると、物凄いチャンスを上げているのに、まったくそれをつかない姿勢を見た瞬間に、「ああ、こいつはダメだな」と烙印を押します。


もう一つのエピソード。


僕は会社入った2年ぐらいまでには、ビジネススクールグロービス社の「クリティカルシンキング」「アカウンティング」「マーケティング」「経営戦略」ぐらいの基礎知識は、すべて終わっているのが常識だと思っています。事業をやりたいのに、そういった知識がないのなんて、鼻で笑うこともできません。というか、こんなの基礎のなかの基礎で、「それ以外に何をやっているの?」と質問したいぐらいです。これらのビジネススクールの単位を薦めるのは、うちの会社がこれを経費負担してくれるので、自分の懐が痛まないことと、僕が経験してとてもよかったこと、そして、全国区で対応が可能だということがあります。英語になってしまいますが、オーストラリアのボンド大学のe-learningによるMBAとかも費用が安くて勧めています。

グロービス・マンジメント・スクール
http://gms.globis.co.jp/?link_id=center_gms1

ボンド大学ビジネススクール-BBT
http://www.bbt757.com/bond/

別に形は何でもいいのですがようは、まずはビジネスをする上での基本のロジカルシンキングの手法理論ぐらいは頭にたたき込んであるべきで、それをつかって、会計・・・管理会計による基礎的なコスト分析ができること、その数字をベースにした、戦略の次元の議論ができること、というのは、なんというかビジネスをやる時の基礎言語みたいなもので、そもそも、こういった概念が頭に入っていないと、予算書や戦略をどういった基準で作成や実行しているのか、僕にはさっぱり理解できません。


そこで、薦めるんですが、たしかに仕事が忙しい時期に、毎週の膨大なケーススタディをやるのは、物凄くしんどい。けど、、、これも、いくら推薦しても、かなの確率でやらないんですね。そしてやるやつは、即日レベルで申し込むんですよ。そういうやつは、確実に伸びる。もう見事んくらいこの申し込む申し込まないで、才能がわかる。・・・・僕の先日まで育てていた部下が、これが小生意気なやつで、何度ぶん殴ろうと思ったかわからないんですが、言った次の日に全科目申し込んだり(ちょっと粗忽者(苦笑))かわいいやつなんですよ、「成長したい」って意欲が空回りしていて、こいつのためならっ!て思うんですよ、かわいいもの。生意気でも、僕のアドバイスを真剣に受け止めて、何とかものにしようって、足掻いている姿は。


ある時、その彼よりさらに若手で、一緒に仕事をする機会が一瞬あって、昼飯を食べた時にグロービスを推薦したんですよね。そしたら、調べてみます、といって・・・それで1週間ぐらいほっておかれたので、ああダメかなーと思っていたんです。僕はその、ここではW君としましょう。あった瞬間、物凄いデキルやつでは?と思っていたので、自分の審美眼が外れたのを残念に思っていました。シゴトは優秀なんですが、当たり前のことをやるレベルで、「真の意味で優秀か?」はわからないのでね。

そしたら、業務連絡のメールにさらっと、



「実は、グロービス社のMBAに合格したので、今年から全課程に通います」


と書かれているんですね。一行。


次の日にあったら、、、実は、入社すぐに、数字関係を強くなりたいと、僕があげたビジネススクールはすべてとり終わった上に、定量分析などのコマも単位取得して、これならできる!とMBA全課程の試験に申し込んでいたそうなんですよ。まだ3年にも満たない若造ですよ。



「ちょっとがんばっているって、試験に落ちたら、恥ずかしかったので言えなかったんです」



と、はにかんでるんですよ、そのW君は。


はっきりいって、びっくりしましたね。いやー本当は、僕もMBAに通うべきか?と悩んでいるくらいで、忙しくてヘジっているときに、来るがると申しこむ。しかも、「先輩のように実務で追い詰められる、前のいまの僕のような暇な時にやらないと一生できないかと思ってトライしました」と状況分析が見事なんですね。ちなみに、彼は、抜擢されて本社のあるプロジェクトの主担当なんで、ほぼ休みがない状態で全力疾走している状態で、それをぬかしやがるんですよ。さすがだよね。



そう、サプライズがあるんですよ。僕が意図したことをさらに上回る業績を、ガンと結果で僕にぶつけてきたんですよ。上記のN君もそうです。彼らの凄いところは、



1)人に言われたアドバイスを真剣に受け止め片時も忘れないで、それを行動に即転化する



2)またアドバイスをくれた人の意図や基準を上回るもの、結果・実績でさらっと気負いなく提示してくる


んですよ。これを称して、会う時にサプライズがある、と僕は読んでいます。



僕が、ローマ人の物語を徹夜に近いにもかかわらず無理に読んでいって上司に報告したのも、たぶん、相手にサプライズを与えたかったたかただ、といまでは思います。


なぜサプライズを与えたいか?


それは、その人が大好きで、その人のアドバイスに価値がある!と思っているから、それを行動と実績で示したいんですよね。

だから、サプライズがないと、人は、その人を「できる!」と思って、引きあげたりは絶対しないんですよ。会社はすべてギブアンドテイク。手持ちの札(=返せるメリット)がなくて、それでも相手から何かを引き出したいのならば、好意をあてにするな!、せめて感動を返せ!と僕は思います。これは、鶏と卵の理論ですが、もし自分がなにももっていない状態で、それでも相手の好意を引き出したいのならば、全力で相手を好きな振りを演出しましょう。演出の振りとは、おもてだけでゃなく、「心の底から好きだったとしてらどうするか?」という態度、笑顔、行動を伴って。そうすれば、中身のある人であれば、相手は必ずあなたのこと好きになります。好意を受けていやな気持をする人はいない。そして、そのスタートは身分が低い方が、最初に始めろ!それも時間をかけて、が基本です。


僕は、これらのアドバイスを真剣に受け止めた人は、それが、たった1階の昼食だけでも、絶対に忘れません。だって、メモしているもの会った人間といった内容。そして、答えてくれた人には、僕が目の届くところにいる限りサポートしようと誓っています。なぜならば、僕が部隊を率いる責任者になる時、最右翼の部下候補だからです。


まっ、人のアドバイスをどれだけ真剣に受けているかは、胸に手を当てて思い返すとわかると思います。そして、上司や会う人に対してサプライズがない人は、人生どんどん負け犬に向かっていると思うべきでしょうねぇ。別にビジネスに関わらず、すべての人間関係に当てはまると思いますが、いかが?。


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*1:もちろん慈善ではなくて、将来の自分の部下候補を物色しているわけで、考えてみればヤらしい行為ですよね(苦笑)

*2:何度か書いているのですが、質に転嫁するには無駄で過剰とも思えるほどの量をかなさなければ質は上がらないと僕は思っています。あらゆる物事に対して。

*3:僕の書痴ぶりは会社でも有名だもの