『ロシア・ショック』 大前研一著 いま全貌を現すユーロランドへの道

ロシア・ショック

ガスプロムと成長著しいロシア市場はずっと追っていたし、なによりもロシアの資源の力はすごいし、それがEUに与える影響はすさま軸大きいし、、、ということで素材は、ほとんど既に知っていたことであったはずだし、地域国家論の考え方からいえば、こうなることは、予想できたはずの単純なことなんだが・・・正直にいうと、やっぱり、こうやってひとまとめにされ、2020年の姿をはっきり文章れ、描かれると、すげぇ!って思う。断片を追うことと、総合のイメージを持つことは、それほどに違うものなんだ。この最後のユーロランドのくだりには、なかなか考えさせられるものがあった。

なんというか、コンサルタントというか、ある種のカリスマとしては、限界が見えている部分もあるし、一時のような神格化というか崇拝者は少なくなった過去の人的な部分もあるし、この人のビジネスマンへのアドバイスは、・・・なんというのかな、ゼロベースで考え過ぎて、過去の構造があるという現実を無視しすぎるビジョニストなので、あまり役に立たないものが多いのだが、トータルとしての世界の分析は、やっぱりすげぇなぁと思う。特に地域国家論や道州制の概念は、EUの統合を考えるのに非常に良い補助になっている。なかなか考えさせられました。


薄いし、特に、僕のような近現代の日本史を最近読み込んでいる人にとっては、ロシアやソ連は、非常にイメージの悪い国なので、この辺の鮮やかなイメージの逆転などは、とても価値があるものだった。まぁ、ちょっと海外の情報を追っていたり、新興国の市場分析をしている人にとっては、それぞれの情報は言わずもがなかも知れないが、前の『チャイナインパクト』もそうだったが、海外に顔が広い人なので、この人がこういう大衆向けの作品を書くということは、相当そういう事実が前に出てきているという意味でも、興味深い。