調整型ばかりが出世して、戦略的判断ができなくなる

また個人間の競争が少ないというのも神話だ。賃金は平等主義的で年功序列だが、職務の幅が広いためポストの差は非常に大きく、査定の差はアメリカより日本のほうが大きい。NHKでいえば、同期で東京の報道局長と北海道のローカル局長は同じ局長級で賃金もほぼ同じだが、社内的な「力」はまったく違う。前者は理事になり、天下りも約束されるが、後者には天下りポストはほとんどない。そしてサラリーマンは賃金ではなく、「本流ポスト」に残ることをめざして競争するのである。

ただし、こうした競争が企業の生産性を高めるとは限らない。それは社内の人脈をつくるゼロサムのrent-seekingなので、生産性にはあまり貢献しない。むしろ減点法の査定がきびしいために調整型の「人格者」が出世して、思い切った戦略がとれない原因となる。著者は日本企業が「集団主義的」ではなく競争が激しいことを実証データで指摘するが、社内競争の激しい日本企業が対外的な競争力を失った原因を解明できていない。



日本産業社会の「神話」
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/f4fa700ef16c4516ec859c95e1b0f3bc

ああーわかるわかる。調整型ばかり生き残るんだよな。そしてチャレンジとなる戦略的判断の経験を積めなくなる。これは、確かに、日本社会の正社員の組織の病気だ。これは、今の日本の現実で、僕が生きているうちには劇的には変わらないだろう。だから「これ」を前提に入れて戦略を練っていかなければならない、と思う。