『獣の奏者』 上橋菜穂子著 風の谷のナウシカのマンガ版を読んだ時のような歴史と人と獣とを包括するマクロの視点

獣の奏者 (4)完結編

評価:★★★★★星5つ
(僕的主観:★★★★★星5つ)

本日読了。時期が分かれているようで、1−2巻と3−4巻では、全く断裂を感じないが、全く描くものが違う。作者もあとがきではっきりそう考えているが、、、第一部にあたる1−2巻は、獣と人という相容れない存在について書かれたものだ。けれど、2部である3−4巻には、そこに「人というものの生きるマクロの構造」が挿入されてくる。もっと最初期から子供向けではなく設計されていれば、宮崎駿さんの『風の谷のナウシカ』のマンガ版に匹敵する世界を描けただろうに・・・しかし、惜しいとは言わない。なぜならば、シンプルに、見事な骨太に、ミクロとマクロを描き切ったからだ。あえていうのならば、僕が好きな物語は、この4巻の「その後の世界」についての物語が見たい、と思う。。。。。けれども、いや、これはこれでいいのだろう。よくある陳腐な歴史を描いたマクロとミクロの物語を見るくらいならば、これの方が何百倍も素晴らしい・・・。そして、うん、、、上橋さんが、これ以外のこれを超える視点を持つ幾多の作品を書きあげていることを考えれば・・・素晴らしい作家ですね。なんというか、その宇宙感の壮大さ、複雑さ、、、真摯さに、打たれるものがあります。ぜひ読むことをお薦めします。