日米同盟を考える上での必読書

日米同盟の正体~迷走する安全保障 (講談社現代新書)

おもしろい・・・。日米同盟は、日本の政治を考える上で根幹のキングス弁であるのだが、重要なのは、これはいったいどういうものか?ということだ。そもそも吉田茂が構築した戦後の日米安全保障条約のスキームは、日本がアメリカに従属する代わりに、その肩代わりとして日本を守ってくれるというスキームだった。これは疲弊した日本にとって、絶大な価値をもたらし、戦後のわれわれの繁栄を支えた。

・・・ところが、日本人というのは、そもそも「そのはじまりの本義」というものをとても忘れやすい社会で、これが、ある種の緊張関係(たとえば対ソ連)によって特殊に構築された、スキームであって、メンテナンスしなければ維持できないことや、そもそも無理があるスキームであることを全然自覚をなくしてしまっている。伝統的にアングロサクソンの覇権との相性のいい、同盟に賛成を現すのは、わからないでもないが、根拠もなく信仰となるのは、日本人の政治に対するとても悪い癖なのだろう。

さて、では今後日本を考える上で、そもそも「現在の」日米同盟はいかなるものなのか?、ということを孫崎氏は説明するのだが・・・結構ショックであったのだが(僕は政治は全然乗っていないので・・・てへへ)日米同盟は、すでに過去のものとまったく変質しており、しかもそれはまともな国民討議も国会審議すらされていないで、ひっそりとその本質を変えている。

非常に分かりやすいのは、その地域。単純なことで、それまでの日米安保は、「極東地域」の軍事紛争に限定されていたのだが、現在は「全世界」にあっさりへんこうされている。この部分、そう!!!、これはアメリカ世界中の「どこか」で戦争を起こせば、自動的に日本もそれに参戦するとのほぼ同義なんだよね。助けるって明記しているんだもの。外交は、他者があるもので、「知らなかった」では済まされない。また変えることもよほどのことがなければできない。なのに、こんな凄いレベルの国是の変更が、まともな審議も経ないで、成り立っていることに衝撃を覚えました。いや、良書ですねーまだ半分だけど。