ああ、こういう大学生の頃の恋愛ってわかるなー。

うそつきパラドクス 4 (ジェッツコミックス)

続きが出たので読了。


読んでいて、なんだか不思議な懐かしさといか、ちょっと甘酸っぱいイタさを感じたよなー。これは遠距離恋愛の「名古屋の彼」の側の話。これが描けると素晴らしい。主観だけで終わらない物語って好き。


ただ個人的には、このカズくんという男は好きになれないなー。逆に、八日堂くんに凄くシンパシーが上がる。性格的にも八日堂くん系統の方が好きだし、どっちかというと自分的に似ている気がする。この和樹ってのは、ようは「自信のなさ」や「ちょっとしたずる賢さ」ない素直な青年なんだろうね。愛されて育った感じがするよ。そういう「幸せな育ち」をしているやつは、僕は大嫌い(笑)。だから、屈折しているが故に計算高くプライドが高いけれども、それが崩せなくて孤独に陥っている八日堂くんの方が、僕は凄く好き。

ただ、難しいのは、、、、「男としての僕」は、こういうふうに、初めての恋愛で何もかも捧げてくれる愛情のある女の子がそばにいても、「自分自身に対する自信」がなかったり、や「彼女を守るだけの能力や立場の獲得に対しての執念」がなかったりと、弱い甘えた和樹の態度がどうにもこうにも許せない(就職活動で、彼女の方がいい会社に受かって別れたケースは、本当にたくさん見たよ・・・)。


・・・まぁこの「上から目線」は、30代の僕が、大学生の子供のころを見ていっているセリフなんで、正直言って、このイタイ感じ、、、、身に覚えがあるんだけれども(笑)、、、けど、、、女性がどう思うか?はかなりの確率で違う。これ、かなりの確率で、甘えて弱いカズくんの方が好き!と恋愛では軍配が上がってしまうことが多い・・・ああ、、、古傷が痛い・・・・(苦笑)。理由は簡単で、カズ君の方が「等身大の自己」でヘタレ感を共有できるので、「一緒に生きている」って感じがあるんだろうね、女の子にとって。


だからこの物語がどっちに行くのか、よーわからん。けど、八日堂に会わせてよっていう和樹の話は、うーんいいなーー修羅場感溢れてて、と思います。この修羅場って、「どっちがより深く彼女を愛しているか?」とか「どっちが彼女を守れるか(給料の多さ)」とかにヤローの対立だとなるんだけれども、それって凄く男目線なんだよね。ここでの勝ち負けは、「その時の彼女の心をどこまで動かせたか」が重要なんだよね。そんな当たり前のことを、恋愛で彼女を奪われそうになると、わからなくなる。利害や「自分がどう思うか?」なんて関係ないんだよね、恋愛は。


まぁそれが関係ある恋愛もあるけどね、肩書と稼いでくる金の額が重要という女性も決して少なくないし。それはそれで、一つの価値観だけど、、、等身大の関係性から生まれる、自己のナルシシズムをぶち壊してくれる相手との、心から幸せな時間、というのは、「その二人の関係性のみで完成している対幻想の中からしか生まれてこないんだ」、、、ということを最近しみじみ感じる。


感覚的なモノなので、上手く言葉にまだできていないんだけれども、、、、「この等身大の関係性から生まれる愛情」というのは、かなり分かる人にしかわかっていないみたいで、小説家でも「これがわかっている、いない」は、恋愛の後の「結婚」生活をどう描くかで、物凄く差が出ること最近感じている。これまで、いろいろ結婚とか恋愛のにアドバイスというか相談に乗ってきたし、見てきたけど、「この感覚」がわかっている人とそうでない人では、結婚後の20年間ぐらいの幸せ度合いが、凄まじく違うようなのだ。


ちなみに、この対幻想の幸せが分かっていない人は、じゃーダメなのかというと、この「等身大の幸せ」を知らない人もしくは拒否する人は、強い野望を持って、大きな仕事を成し遂げたり、特異な経験をするケースが多い。逆に言うと、「等身大の幸せ」を知っている人は、現状で満足して、それ以上成長しないケースが多いという意味。もちろん、強い野望というのは、「強いナルシシズムとコンプレックス」なわけで、そういった人もうらやむような業績や肩書があっても、個人の内面として物凄く不幸せというケースは多い。これって難しいアンビバレンツ。