『アメイジング・スパイダーマン 』 マーク・ウェブ監督 アンドリュー・ガーフィールド主演 久々のハリウッド映画らしいエンターテイメント

アメイジング・スパイダーマン [DVD]

評価:★★★★★星5つ
(僕的主観:★★★☆3つ半)

久しぶりに、主観と客観の評価がアンバランス。一言でいうと、このリメイク作品は、主人公スパイダーマンの青春物語、ということだ。妻と一緒に見に行ったが、えらく感動していた。そして僕も、久しぶりに感じる大満足感であった。


大作の映画を見た!という映画館ならではの満足感を感じるし、女の子とデートしたわけだけど(=奥さんといったわけだから)、当たり障りなく、ストレートに一緒に見に行った女の子が、すごく喜んでくれる映画だったと思う。問われているテーマが、凄くシンプルで、そしてキツくない。これ重要だと思う、最近のアメコミの映画化は、メタ的な視点で「正義とは何か?」が深く問われすぎて、苦しいものが多いんだもの。


また3Dの映画だけれども、このビルからビルへ飛び移る疾走感と浮遊感、勢いは、なるほど、これは映画館でないと!と思わせるものだな、と思いました。もちろん、いま僕らの映像環境は、50インチくらいのテレビって持とうと思えばそれほど極端な無理がなく持てると思うのですが、それでも映画館の密閉された巨大スクリーンでしか体感できないものってはまだかなりあると思う。前回に、マブラヴトータルイクリプスの試写会に秋葉原のTDX?名前忘れたけど、あそこで見たんだが、やはりテレビのアニメとして見る映像とは物凄く違ったなとの印象がある。空間的な差異も、一昔ほどの差異ではないにしても、時間をかけて見に行くというひと手間のコストが、より体感を違ったものに見せる部分も否定できまい。


そういう意味では、分かりやすいシンプルな青春ストーリーであり、3Dの演出を豪快に使った場面づくりなど、ハリウッドムービーの大作に相応しエンターテイメントという感じだった。

アメイジングスパイダーマン・・・・・評価額1650円/ノラネコの呑んで観るシネマ
http://noraneko22.blog29.fc2.com/blog-entry-556.html

そう「アメイジングスパイダーマン」は、ピーター・パーカーという心に大きな喪失感を抱えた少年が、悪に対する憎しみに一時我を忘れながらも、いつしか大きな力を持つ自己存在の意義と責任に目覚める青春物語なのである。
近年のアメコミ映画には珍しく、ヴィランを殺す事なく、死にゆく者も主人公に大きな成長を即すという結末も、本作の目指す世界を象徴する。
クリストファー・ノーランの「ダークナイト」の衝撃によって、良くも悪くもダークで複雑である事が最先端と見做される様になってしまったアメコミ映画の世界。ジョーカーがバットマンの合わせ鏡である様に、マーク・ウェブは本作でも弱さと哀しみを知る似た者同士をヒーローとヴィランとしつつ、ある意味「ダークナイト」のアンチテーゼ的なストレートさで、今一度原点に立ち戻ろうとしている様に思えるのだ。

ノラネコさんのこの評は、非常に僕は正しいと思う。批評家的な文脈の読みからすると、クリストファー・ノーランの『ダークナイト』のようなアメリカの正義・ヒーローに対するメタ的な、言い換えれば批評的な視点がないがゆえに、きっといまいちだ、と評されることが多いのではないか、と思う。けれども、はからずも妻が僕に語ったように「怖くなくて、すっごく感動した!」という意見こそが、この作品が目指した、ヒーローものの原点に返る意思をよく反射している感想だと思う。これは原点回帰の映画なのだ!。アメイジング(素晴らしい!)とタイトルにつける監督の心意気が伝わってくる映画でした。とはいえ、やっぱり批評的に文脈読みをしたいのならば、いまの時代の物語の最先端のテーマ、正義とは何か?を軸に考えると面白いんだろうなとは思います。特にアメリカでは、アメコミの文脈から「正義の味方とは何か?」という文脈で系譜を追うと面白いのだろうと思います。

ダークナイト [DVD]