『TARI TARI 』 橋本昌和監督 原作EVERGREEN 制作P.A.WORKS

TARI TARI 6 [Blu-ray]

評価:★★★★★星5つ
(僕的主観:★★★★星4つ)

■演出力に優れるP.A.WORKSの仕事〜萌えや流行を支える突出したものはなくとも、基礎がすべて水準以上だと平均値を超える

ルイさんとラジオをした日に、放送を終えた後に、、、、朝の3時までなので、合計7時間(苦笑)話していた過半は、このP.A.WORKSの『TARI TARI』の話だった。一言でいうと、物凄い出来のいいアニメーションだという話。何が優秀か?というと、脚本と演出の設計の度合いが理想的なくらいしっかり組み立てられていることへの称賛。そして、なぜそれが可能か?。というと、P.A.WORKSの人材育成の方針なのだろうという流れになった。というのは、この作品は、『花咲くいろは』とかなりスタッフが重なっているとはいえ、名作『true tears』の西村純二監督も、いま脂ののりまくっている脚本家、岡田麿里もいないんですよね。ところが、『ture tears(2008)』や『花咲くいろは(2011)』と続く、P.A.WORKSのオリジナルテイストがはっきりと見て取れるし、基礎的なインフラともいうべき部分のレベルの底堅い安定感を感じる。これって、スタッフクレジットをよく見ているとわかるのだけれども、非常にスタッフの教育とあとディスカッションをよくして作られている作品だからなんだろうと思う。特に脚本、演出のレベルで突出した安定感を感じます。あとで描きますが、『TARI TARI』の良さというのは、驚くほど精緻に論理的に組まれているところ、基本方針に従って抜け漏れがほぼゼロの作品です。監督がそれをコントロールして統合しているレベルも高いのだろうけれども、ここまで安定していると、作り手に関わる人間のコミュニケーションの共有度合いがすごく高いことがうかがえる。ちなみに、演出できる力が高い人が多い、というのは、脚本、演出のレベルが総じていまいちだが、見事なレベルの動画や作画のレベルを維持する京都アニメーションと比較すると、対照的な感じがする。

特に、橋本昌和監督が、テレビアニメシリーズを手掛けるのが初めてだななんて信じられないくらい、見事にテレビアニメーションならではの特徴をよく捉えた演出がされている。全話脚本を、監督自ら手掛けているところからも、その能力の高さは、もう否定しようがないと思う。この人素晴らしいですよ。ある意味、日常の関係性をメインに取り上げて叙情性を追求する作風は、スターシステム的な、もしくは萌えシンボル的な、そういう時代をとらえて極端なものを見せるものは違う、おとなしい作風のものが多くなる。『花咲くいろは(2011)』を、いみじくもNHK連続トレビ小説的なものと、当時言っていたが、関係性を追求して、派手さがないものは、人間ドラマになっていくので、そういうファミリー層的なブロードの訴求効果を持つんだろうと思う。逆を言うと、ブロードに訴求するということは、誰も特別には支持しない可能性がすごく高い作風なので、この辺りは危険な賭けになりがちだ。だって、それならばそれこそNHK連ドラや月9で、もしくはそれこそ文学や小説媒体で展開すればいいもので、アニメーションで展開する必要性はどこに?ということになってしまいやすい。「この領域」で、意外に実績を示し、いい仕事をしているので、とても注目です。

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■日常の関係性を描く作品を評価するにあたってのルイさんが構築している視点からの学び

まず、1)この作品を見るにあたって、2)さらにはP.A.WORKSの作品を見るにあたって、3)もういっちょいえば日常の関係性を描く作品を評価するにあたって、このルイさんが構築している視点は、非常に有用だと僕は思っています。また、僕よりも、高いぅた繊細な関係性の中から表現される情動や叙情、主観、動機の動きなどを読み取る力は、ルイさんは、非常に優れており、この人の視点はいつも参考というか指針として、僕の中にあります。これだけ時間を経て、それでもそう思うというのは、僕にとって本物であり、真実であるところをついている人なのだろうから、これからも彼の視点から、たくさんことを教えを乞いたいと思っている。ということで、この議論の流れを知るには、まずは、『ture tears(2008)』『花咲くいろは(2011)』『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(2011)』(これは、岡田麿里という作家主義的視点での系列です。制作はA-1Picturesなので)『TARI TARI(2012)』を見てもらい、それとルイさんの考察記事を読み込んだ上で、話を展開していきますので、ルイさんのブログ、『ひまわりのむく頃に』はまずは、読んでいることが前提です。記事を読み解きながら、クンフー(=個別具体的なものを継続的に分析して得られる修練の果てに見えるものを求めること(苦笑))を鍛えるつもりで、こつこつルイさんのブログを読み解きながら、『TARI TARI』を読み解いていってみたいと思う。



あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 6 【完全生産限定版】 [Blu-ray]


TARI TARI』〜物語世界に響き渡る、「1」に限らぬ「たり」の歌〜 http://rui-r.at.webry.info/201207/article_1.html

貫かれる「2」…『TARI TARI』5話・6話で満ち足りた理由と『TARI TARI』論
http://rui-r.at.webry.info/201208/article_1.html

〜The summer must pass〜『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。
http://rui-r.at.webry.info/201105/article_3.html

花咲くいろは』緒花は孝一と徹、どちらとくっつくの?〜岡田麿里作品の異性研究〜
http://rui-r.at.webry.info/201106/article_1.html

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http://rui-r.at.webry.info/201003/article_13.html




■「2」という数字が重要な「見るべき」ポイント

・・・・しかし、力尽きたので、また続きはこの次にします(笑)。まぁ、とりあえずルイさんのブログ読んでおいて(笑)。

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