大人が本を読まないのに、本を読めとは何という傲慢だろう

編集部:その辺で今の日本の教育ではなかなか手がまわっていないというというか、そういったところに力点が置かれていないように思います。


出口氏:それは、教育のせいではなくて、大人が本を読まないからですよ。大人が読まないから若者が読まないだけで、本、特に古典をきちんと読むという習慣を、大人がそれをやれば若者もきちんと読むようになります。大人の劣化が若者の劣化になっていくというふうに考える方がたぶん正しいでしょう。


編集部:要するに今、通俗的に言われている若者がどうのという議論ではなくて、まずその上に立つその前の世代の人間が変わらなくてはいけないということですね。


出口氏:若者は大人の意識を映す鏡ですから。例えば今の若者は海外の赴任を嫌がるとか、本社にしがみつきたい若者ばっかりで、覇気がないということを言う経営者がたくさんいます。でもこれは天に唾をしていると思います。本当にそう思うのだったら、経営者が「我が社では海外3ヶ所15年以上勤務しないと管理職に登用しない」と言えば済むわけです。でもそういう会社に限って偉くなる人は本社に長くいて、企画とか秘書とか経理とかを経験してきた人ばかりを登用しているわけで、それを見ていた若者が本社を離れたら『損だ』と、行きたがらないのは当然ですよ。


編集部:自分の将来につながらないなら、海外に行きたいと思うわけがないですよね。まずその範を示すのは―。


出口氏:大人であると。そういうふうに思います。グローバル人材に一番必要な教養であったり能力というのは、ある意味、人、本、旅とありますが、僕は本のウエイトはかなり大きい気がします。



グローバル人材を育成するために、 大学で勉強をする体制を作ることがなによりも大事” 出口 治明
http://www.cieej.or.jp/toefl/webmagazine/interview-closeup/1305/


この話、出口さんの意見に凄い共感する。


私も、すでに「大人」にカテゴライズされる年齢だろうと思うので、被害者面していうのはおかしいのかもしれないが、会社などで、もっと勉強しろとか、英語くらい、、もしくはもう一か国語できなきゃとか、したり顔でいう人間は、見ていて本当に不愉快だ。なぜならば、そういうことを言う偉い人に限って、自分は勉強していないし、英語もできないからだ。本もろくに読んでいない。教養が全然ない。やっていない人間が権力を盾に上から目線で説教するってのは、我慢がならない。


もちろん「おれはこれをこんなにやっているからお前もしろ!」というのも、それはそれでしんどい物言いではあるが、それでも社会的な基準で、意味が価値があるものを高いレベルで継続してみがいているのならば、それはちゃんとしていることだと思う。


しかし、自分が明らかにしていないのに言われると、本当に馬鹿じゃないのか?と思ってしまう。若者が、部下が、後続世代がしていないのは、それが必要ないから、それが評価されないから、上の世代がしていないからだ。たいていは。自分の好き嫌いではなく、世代や今どきの若者は議論をするのならば、まず自分ができていないと、はなしにならないよ。


立場が上の人間には、仕組みを基準を創る義務があると思うのだ。ノブレスオブレージですらない。そんなの当たり前のことなのだ。ましてや経営者レベルの人材が、このようなことを抜かすのは、頭がおかしいのではないか?と思うよ。経営者は、組織における独裁者だ。がたがたいうのならば、言葉ではなく、仕組みと自分自身を変えろ、と思う。主体者感覚を失ったら、物語の主人公にはなれない。世界を変えることもできない、と思う。やるのは、常に自分自身だと思わない人間には、舞台での順番はまわってこない。そんなのこの世界の普遍の真理なんだろうと思う。いつもおもうけれども、僕がいう、ロールモデル(=目標となる具体的な人)がなければ、人は憧れないし悔しがらないよ。それには、自分が、それ…ここでは勉強とか英語とか教養とか、そういうものを勉強し続けて、それでとても楽しそうに人生を生きていないと、人には影響を与えられないと思うんだよね。楽しくないこと、みんなやらないもん。


あと、なんといっても、人生を、人格を豊かにしていくために必要なのは、人、本、旅、という3つの区分けは僕も本当にそう思う。本は、本当に読むべきは、古典を熟読だ、それ以外を本を読むとは実はあんまり言えないのではないかと思っている。本は、異なる人格との徹底した対話(ダイアローグ)だ。それが基準、アンカー(錨)となって、世界認識を変えるものだ。本、、、それも古典といわれるような本の、アホみたいなレベルでの集中した熟読以外で、なかなか世界認識って変わらないと思うなー経験上、、、。だから、学生時代みたいに、時間があるときによく読んでいた方がいいと思うなー。


まっ、とはいえ、年よりは、いつか死ぬんだから。ちゃんと世代の順番はまわってくる(自分もそのように終わりが来るわけだしねー)。世界はそうなっているんだから。ガタガタ言葉をついやしたしても、世界なんか変わるもんじゃねーからな。まぁ、ガタガタ言わずに、自分でコツコツやろうってっことです。そんで自分自身の地力をつけたなら、自分が自分の手が届く範囲で、世界を変えればいい。それしかできないんだもん。