専守防衛とは、本土決戦なんだなー。

http://www.riabou.net/entry/2014/10/26/080000
中立国スイスはどうやって第二次世界大戦を回避したか? 読んだ本:「将軍アンリ・ギザン」
リアリズムと防衛ブログ


この人のブログを読んで、スイスが中立をWW2で守るために、どういう行動をとったのか?を詳しく読んでいて、非常になんというか、やはりそういうことか、、、という思いが強くなった。というのは、ずっと歴史を読んでいたり、いろいろ世界情勢のニュースを読んでいて、どうやってら戦争をしないですむのか?、どうやったら平和な状況が守られるのか?と問うと、その答えは、


1)関係する周辺国との軍事力が均衡していること


2)強固な二国間同盟が組まれていること


どうもこの辺が、答えに思えるんだよね。とても現実的で、かつ歴史の出来事から考えると、これはとても妥当に思える。これをもう少し日本の現実にそって、具体的にいえば、たとえば、軍事力は、均衡していないと意味がなく、どこかだけが極端に強かったり軍事力を放棄したりすると、それは戦争を「確実に」招くということ。なので、軍事力の放棄というのは、1国だけがすると、戦争を確実に誘発するということ。戦争の魅力は、低いリスクでより多きなメリットが得られることなので、軍事力の格差があると戦争はとても魅力的な選択肢になってしまう。また、なので隣国が軍拡した場合は、バランスオブパワーに基づき軍拡をしないと、同じことになる。もちろん、軍拡しすぎれば、経済がダメージを受けて、国力が崩壊したり、そのときは、より大きな国の干渉を招くので、それも危ない。なかなかなやましい。外交的に、実力に見合ったバランスオブパワーを作り上げるのが必要。


2)は、結局、日英同盟を破棄したあとの、日、英、米、仏の4カ国同盟はまったく機能しなかった例を見ても、はっきりいってメリットがある強固な二国間同士の同盟でないと、そもそも同盟として機能しない。相手の国を血であがなって助けるわけだから、自国にとっての国益、ナショナルインタレストがある!と、はっきりしていないと、ぜったいにやらないのだ。


というようなことが、一般的に言えると思うんだよね。なので、大きなトレンドで考えると、過去をいえば、日本がWW2以後平和だった理由は、1)自衛隊による戦力の維持、2)日米同盟による核の傘なんだよね。これ、好き嫌いで考えてもイデオロギーで考えてもだめで、端的にこれ事実だろうと思うんだよね。歴史全般を考えると。


東アジアのバランスオウブパワーを考えると、中国の軍拡は止まらないよね。単純に、中国がどうのこうのではなくて、あの国の地理的、経済的規模からすると国力に見合った規模に拡大しようとするのは、まぁ、そりゃそうだよね、と思う。ここ200年ぐらいがおかしかっただけで、人類史上の最大の経済規模を占める大国であり文明なんだから、正常に戻ったとしか言いようがない。だとすると、どう考えてもまぁ、さすがに規模には及ばないから、米国との同盟は必須になるんだけれども、そうはいっても日本も軍拡進めなきゃいけないんだろうなーと思うわけですよ。この金がない時代に、、、、。

中立国の戦い―スイス、スウェーデン、スペインの苦難の道標 (光人社NF文庫)

けど、どこまで?ってのが、いまいち自分でもよくわからなかったんですが、、、スイスの防衛方法をよんで、ある程度補助線がわかった気がしたんですよね。日本のような地域大国が、日本国民がこれを受け入れるかどうかはさておき、専守防衛をする場合には、どこまでしなきゃいけないか?のはっきりとした成功した実例なわけだから。

中立がうまくいく条件

中立政策はこのように困難で、苦労が多い道のように見えます。いったいどうすれば中立政策がうまくいくのでしょうか。本書からは、5つの条件が引き出せるでしょう。
1.抑止に成功するだけの軍事力
2.「あの国の中立が、地域全体の利益にかなう」と諸国に判断させる国家戦略
3.対立する陣営の間でバランスをとる外交力
4.以上3つを実現可能な国土(位置、人口、地形等)
5.幸運


中立政策に成功した国々はいずれもこれらの要素を兼ね備えているように見受けられます。地形などは元からそうだったとしかいえませんが、外交と防衛は意図的な努力のたまものです。大戦中のスウェーデン首相はこう述べているそうです。



「中立国の戦い スイス、スウェーデン、スペインの苦難の道標」
http://www.riabou.net/entry/20090929/1254222080


弱小国の戦い―欧州の自由を求める被占領国の戦争 (光人社NF文庫)


ここで、スイスを守り抜いた将軍アンリ・ギザンとスイスの例をとれば、一言で言えば、専守防衛とは、本土決戦!!ということなんだ、ということ。国の外もしくは国境線に防衛線を持たなければ、それしかない。国境線の防御や自国民をきちっと守ろうとすると、かなりの軍事力が必要になってくるので、相当大変ということ。これは、過去の歴史的事実なわけで、非常に納得がいった。またスイスが国家をあげて考え抜いて、実行に移し、成功した事例なので、非常に説得的。ベルギーやオランダなど当時の中立国があっさり侵略されてドイツの支配下になったことを考えても、中立は防衛にまったく意味がない。もちろん戦力の放棄は、最悪。なぜならば、自力で防衛できない国は、自分で戦争したくない!!と叫んだところ、ほかの国に利用される危険を見越して、すぐ周辺の大国に占領されてしまうからだ。これは、ものすごい納得だった。



なので、日本が本気で専守防衛を考えるのならば、、、、本土決戦になるんだろうな、、、と思った。もしそうなりたくなければ、二つあって、1)一つ目は、どれだけ自国の強固な軍隊を、、、この場合は、やっぱり海軍と空軍力になるんだろうなぁ、、、もてるかどうか。もうひとつは、2)防衛ラインをどこに置くか?ってことなんだよね。この議論って、明治維新から日本の安全保障の根幹にかかわる話で、結局同じ話に戻るんだな、と感心した



そうすると、日本の防衛って、核ミサイルの戦略や長距離爆撃などを考えなければ、やっぱり、台湾、朝鮮、太平洋のこのあたりなるんだろうなーって。特に空軍(この場合はミサイル防衛か?)をひとまずおいておくと、、、やっぱりキーは、大陸側を考えると、朝鮮半島中国東北部(いわゆる旧満州)になってちゃうんだろうなって。100年近くっても、結局構造は変わらないんだ。なので、日本にとって防衛を考えるときには、朝鮮半島がどうなるか?ってことが常に、、、自国で本土決戦の防衛をしようと思わない限りは、考えざるを得ないんだなぁーと。もちろん、ここでは核によって変化した防衛戦略や、空軍の航続距離がほぼ無限になっている現状では、たぶんだいぶ変わった視点もあるんだろうと思うんだけれども、そこまでは全くまだ勉強が及んでいないので、今は置いておくとしよう。んでね、朝鮮半島を考えると、、、これが悩ましい。というのは、朝鮮半島は、大国の影響力の重なる干渉地なんだよね。ロシア、中国、アメリカ(過去は日本)の影響力が重なり合って、朝鮮半島が強固な独立国であってくれれば、強力な軍事力を持つ戦闘的な人々ならば、問題は難しくなかったと思うんだ。ベトナムみたいに、中国に必ず勝つようなね。でも、、、、そもそも地政学的にも、地形的にも難しいんですよね。なので大陸の強大な国家に常に翻弄されているし、地続きなので、強力な陸軍国家の中国やロシアには、そもそも対抗しようがない、、、、。


そうすると、ようは、朝鮮半島としては、どう外交バランスで乗り切るか?ってことが常に要求される。


フィンランドになりたい」と言い出した韓国/「米中板挟み」に耐えかね「中立化」探る
鈴置 高史
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140617/266925/

【中央時評】「フィンランド化」という名の幽霊=韓国(1)
2014年06月09日10時56分
http://japanese.joins.com/article/245/186245.html?servcode=100§code=120


そうするとこういうことも言い出しちゃうんですが、、、、これ、はっきり言って滅亡への第一歩だとしか思えません。フィンランドなどの北欧諸国の強さって、やっぱり雪によって守られていることが大きいと思うんだよね。けど、朝鮮半島って、そういうのないんだもの。かといって、外交バランスは、凄い難しい。鈴置さんの連載が面白くてずっと読んでいるけれども、たとえば、中国とアメリカの大国のはざまで乗り切ろうとしても、どっちを取るのか?って絶対に迫られてしまう。これだけ利害がぶつかっていると、そもそもバランス外交は、僕は無理だと思う。そこが朝鮮半島にとっては悩ましいところだろう。


日本は完全に海洋国家なので、いいかえれば、強力な陸軍国に直接に隣接していないので、海軍力を強化して、かつ同じ海軍国のアメリカと同盟一択になるし、それで、自国の防衛はできると思うんだよね。けれども、朝鮮半島が悩ましいのは、いくら米軍がいるといっても、直接、大陸の陸軍国に攻め込まれる可能性は常にあるわけだし、経済的にも非常に依存する状況になってきている。そうすると、、、たぶん、どっちにも拠れなくなって、、、、となると、当然に地域は不安定化するので、周辺諸国は凄いらだつことになり、さらに不安定にってなる。。。。なるほどなって、、、、この地域を押さえたい大国がいっそ植民地にしてくれる方が、安定するんだよね。ここが不安定だと、大国が常に、自分ののど元にナイフ突きつけられるかどうかで、いらいらしちゃうわけだから。アメリカでも、中国でも、ロシアでもいいので、領土化されてしまえば、非常にバランスオブパワーの構図は単純になる。もちろんとはいっても、アメリカとしては、ここを失えば大陸への足ががりがかなり後退するので、ほかの国に取らせるのは非常にまずい。。。という構造の中で、1国として自立できるだけの強大な軍事力か経済力を身につけられないならば、なかなか独立は覚束ない。そんな諸条件の中で、どのようにこの地域の独立を守るか?ってのは、なかなか厳しい課題なんだろうなーって思う今日この頃。非常に難しい条件だと思うよ。そういう背景を考えると、鈴置さんの記事のトーンは、やはり海洋国家より(日本人だからね)だし、韓国は日本とアメリカの同盟国になるのがベターだというトーンがあるけれども、、、それは、大前提として、日米のほうがいいっていうことがあるからだよね。海洋勢力側にとってのメリットの話なわけだし。


でも、正直言って、そうすると、自立の要求される度合いってすごい強いと思うんだ。わかりやすい専制帝国的にはアメリカは振る舞わないかわりに、自立の要求も強くなる。けど、それに答えるには、中国は近すぎるし、経済の依存度も高すぎる。事大主義的なものや中華帝国の属国になることを、日本の視点からはさげすむ傾向があるけれども、、、こういう諸条件を見ると、確かにそれは選択肢の一部だよなって思うんだよね。中華帝国の一部になってしまえば、そっちの方が安定すると思うもの。独立自尊が失われるだけで、文化的とかに高度な自由と自治はどのみち許されるでしょうと思うんだよね。もともと、李朝は500年もそうだったわけだし。コスト高すぎて、あれだけ民族的アイデンティティが濃い地域を直接支配するうまみはないもの。伊藤博文が朝鮮併合をギリギリまで反対したのは、それもあると思うし。結局、大日本帝国にとって安全保障以上のうまみなかったわけで。仮に大日本帝国が外交的にうまく生き延びても、結局あの地域は戦後独立したと思うんだよね。大英帝国アイルランドみたいな関係になって。それって、コスト高すぎて、しんどい話だよね。・・・・中華帝国にとっては、外交権と防衛権をもらえて軍事駐屯できれば、それで十分だろうし。もちろん、そうなれば、アメリカや日本は非常に困るわけだよね。だって、自分たちのテリトリーの絶対防衛圏が物凄い下がってしまうわけだから。


このへんは、、、将来どうなっていくのかなーって凄い思います。いま秩序の激変期なので、非常に興味深いです。いつ何が起こってもおかしいわけではないのでね。なので、伊藤博文がなんで朝鮮併合にあれほど反対したのか?とか、西郷隆盛征韓論とか、この辺をもっと大きな視野とスクープで、調べてみたいなと思う今日この頃です。あとは、ロシア側と中国にとって、どういう形が理想なのか?とか、朝鮮半島が独立するにはどういう選択肢があるのか?などなどを、朝鮮半島の視点から考えるとかも、してみたいなーと思う今日この頃。日本からだけの視点じゃ、しょせん日本の安全保障の物語に閉じ込められてしまうからねぇ。


伊藤博文―知の政治家 (中公新書)


・・・・えっと、半藤一利さんの昭和史が、いまだ痛い頭に入ってきつつあるので、、、明治、大正期がやっとスコープに入ってきたんですよね。なんか最近すごい歴史が楽しいです。

半藤一利 完全版 昭和史 第一集 CD6枚組