ずっと忘れられない登場人物がいる。大導寺一族シリーズの、この数巻後に出てくる、社会主義というか無政府主義者の話だ。一人の個人が、一旦本気の闇にほおり込まれて、世界を滅ぼそうと決意されたら、それをとどめる方法というのはないんだと思う。大規模な社会は、信頼という匿名性的なものでまわっている。本気の本気で世界を滅ぼそうとしたら、止めるのは非常に難しいかもしれない。栗本薫さんのシリウスシリーズの話もそれだった。ある種のマクロの悪意になってしまえば、それは、もうブラックホール。親が悪い式のトラウマ回収の原因を作っても、それで救済できないと思うのだ。
かつて僕は先進国では劇場型犯罪が、切り捨てられた人々によって行われるといった。
しかし、これは、けっして切り捨てられた人々や、暗い闇の情熱(育ちによるトラウマ)によって起こるだけではない。
陽性の劇場型犯罪で、永遠の日常を「楽しんでしまおう」という人々をも生み出すと思うのだ。
最近、ゆうきまさみさんのパトレイバーをkindleですべて読みなおして、やっぱり内海課長は本当に面白い人だなーと感心したよ。ガンダムやプラネテスのテロリズムのエピソードもそうなんだけれども、世界は大多数の人間を救う方向で、漸進的に進歩していると思う。なので、そこから切り捨てられる人間は必ず、存在する。いや切り捨てるというか、世界にはリソースが限られているので、「その人」が生きている世代に救うことはほとんど不可能なんだよね。なので、そのルサンチマンをどうケアするか?というのは常に課題になる。ニート、アダルトチルドレン、内発性がない人間、テロリズムというこのブログの話題も、それにつながるものだと思う。けれども、同じルサンチマンが陽性型に、内海課長のように、世界を楽しんで壊してしまおう!という蕩尽型の方向に向かうものものあるって思うと、これは本当に興味深いなーって思うよ。まぁ、、、すごい怖いけどね。
■参考記事
手段のために目的を選ばない男〜悪役の企業人の独創的な類型/内海課長(機動警察パトレイバー)
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20080317/p3
漫研〜私の愛した悪役たち〜第6回 内海課長 (機動警察パトレイバー)
http://websphinx.net/manken/labo/badd/badd.html