『冴えない彼女の育てかた』 亀井幹太監督 丸戸史明 脚本・シリーズ構成  ハーレムメイカーの王道(1)

冴えない彼女の育てかた 1【完全生産限定版】 [Blu-ray]

評価:★★★★★星5つ
(僕的主観:★★★★★5つ)

実は、もう既にアニメーションに感動して、小説を全部読みなおして、あまつさえすべてのマンガ家作品もキンドルで出ている限りは制覇して、、、と、1週間でやっているんだから、バカです。・・・・あれ、おれ暇じゃないはずなんだけど。。。でも、それくらい素晴らしい作品でした。いまも通勤時の車の中で、春奈るなさんの「君色シグナル沢井美空さんの『カラフル。』のへヴィーローテーション中です。もうどっぷり。でも、アニメーションの出来は素晴らしかったんですが、もうやばいってぐらい食いついたのは、小説の7-8巻を読んでからです。特に、8巻で、この作品が何を目指しているのかに気づいて、感動しちゃったんですよ。そこから逆算して、もう一度見直すと、まさにそれを軸に(作者が意識していたかどうかは別にして)物語が展開しており、ハーレムメイカーの構造的問題点に誠実にそしてゆるぎなく問いかける物語だと、ぐっと来ているのです。いやまぁ、これも明らかにタイトルに目的が書いてあるるので、作者当然意識しているんでしょうけどね。でもそれがちゃんと具体的に展開するかどうかは、わからないものですから。


とにかく素晴らしい作品でした。さすが丸戸史明さんの脚本。とそれだけでなく、僕は監督はよく知らない方ですが(ってそもそも、あまり知っているわけではないのですが)もう全体的にとびっきり完成度が高くて、感心しちゃいました。最近連続で、かなりそれでも厳選していろいろアニメを見てたんですが、その中でもとびっきり。作り手の、高い意識に感動しちゃいます。これも、外側から見れば、典型的なハーレムテンプレートな作品じゃないか、といえるとは思います。けど、完成度がそもそもとびぬけて高い、いいかえればエンターテイメントとして見事なまとまりと完成度と訴求力があって、しかもこの脚本の果てに7-8巻で展開しつつあるドラマトゥルギーは、僕は、ハーレムメイカーの一つのオリジナル到達点に向かっているように感じる、文脈を押さえたうえでその先を目指す最前線の物語でもあり、と、いや素晴らしい作品でした。こんなに心ざわつくのは久しぶりです。エンターテイメントとしておもしろいというのは、いいかえれば、よくあるパターンで(王道ともいう)読者や視聴者の理解レベルを超えない(=裏切らない)わけで、要はテーマ的や文脈的にはたいしたことがないといって切ってしまいやすい。逆に文脈やテーマ性が鋭い、文学的なものというのは、エンターテイメント置き忘れて問いのみにつき進む傾向があって、なかなか面白い、とは言いにくいっていうのが普通なんですよね。でも、アニメーションは、やっぱりエンターテイメント。その両立があってこそ、だと僕は思います。そして、その意味では、久々の文句なし★5のアニメーションでした!。


ということで、アニメが好きな人で、これを楽しめない人って、なかなかいないんじゃね?というぐらい、見事な出来の作品でしたので、文脈云々とかそういうこ難しい話は抜きにして、超おすすめです。


冴えない彼女の育てかた (8) (富士見ファンタジア文庫)


小説の方というかもう一つの記事で、この物語が目指しているハーレムメイカーの到達地点の一つについては書いていますので、こっちは、感想というか雑感を。このアニメを見ていて、ふと思いだしたのが、裕時悠示さんの『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる(2013)』を思い出しました。というか、考えてみれば、小説の続きをまだ読んでいません。あの続きはなったのか、誰を選ぶのか、はいまだ興味があります。はよ、よまなくちゃ。。。。時間がねぇ、、、。・・・・とてもきれいなハーレムものなので、結局だれを選ぶの?というのは、あの物語のドラマトゥルギー4人の女の子それぞれに強いドラマがあって、誰かを選ぶというのが凄い難しい。けれども、究極、ハーレムもののテーマの到達地点は、誰を選ぶのですか?という問いにつきます。そして、それに答えられなければ、物語としては、とても弱いものになってしまうと思うのです。たとえば、伏見つかささんの『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(2008-2013)』は、そういう意味では、きちっとその問いに答えた素晴らしい作品だと思います。いろいろな条件づきといえども、タイトル通り妹を選びました。また、平坂読さんの『僕は友達が少ない(2009-2015)』は、最終的に誰も選べない、選ばないという結論に達しました。なぜならば、あれはハーレムの中から恋人を選ぶ話ではなく、友だちを探す話だったから!(これもタイトル通り)です。ハーレムものというのは、もう既に日本の物語のインフラストラクチャー(笑)なので、これがどういう構造や可能性を持っているかを全体を見渡す文脈、テーマを持つのは、大事なことだと思うんですよね。作るほうも見るほうも。『冴えない彼女の育てかた』を最初見ている時に、あまりに面白かったんですが、これどうやって記事にしようかなーと悩んだんですよ。この子が好き!とかいい!とかいっても、それは感想ですもんね。文脈による読み方を提示できなければ、あまりこのブログで記事を書く必要性はないかなぁ、と思ってしまうんですよね。けど、小説の7-8巻で、ああ、そこを目指しているのか!と気づいたときに、なぜこの作品が、こんなに引っかかったのかを理解できた気がするんですよね。確かに萌えヒロインハーレムパッケージという時代の顧客の要求するパターンそのままに見えますが、、、それのクオリティを上げるだけあげればいいのか?というと、そういうものでもないですよね。やっぱり作家の狂気というか、この物語の先を!!!もっと先を!!!というクリエイターの、そして多分、それに付き合う関係者にそういう意識がなければ、これわ!!という作品にならないんだなぁ、としみじみ思いました。何でも非常に矛盾する要求があるものなんですよね。エンタメを追求しなきゃ売れないし、そもそも面白くない。けれども、その先、その深さ、その凶器をクリエイターが追及しなければ、その面白さにアウラというか、何か!が宿らないものなんだなーと思うんですよね。もうだいたい記事書いてあるんで、続きは、また。ぜひとも、この作品見ましょうね!!!。僕は素晴らしかったと思います。

冴えない彼女の育てかた 3【完全生産限定版】 [Blu-ray]