San Bernardino Mass shootingの後で、ドナルド・トランプはどこまでいくのか?

日本でどれくらい報道されているのかわからないのですが、San Bernardino事件は、アメリカでは非常に重く受け取られているように感じます。欧州のVWやシリア難民、フランステロ事件に匹敵する歴史の変わり目に見えます。最初は、いつもの(というのがすごいが・・・・)銃犯罪かと発言に慎重な感じで、なかなか動機がよくわからないような報道が続いていたのですが、ローンウルフ型のテロでISISに共感していたということがわかってきて、オバマ大統領もテロと断定しています。アメリカの銃犯罪は、本当にひどいので14人が一度に殺されたといえども、それほど珍しい事件とはいえません。それがなぜこんなにも、なんと言うか報道を見ているとパニックに近い形になっているかといえば、アメリカが近年長期的構造的に抱えている深刻な分裂に、強烈な拍車をかける可能性が出ているからです。ようは、これがISISに関わりがあるということになれば、国内のマイノリティであるアメリカ人のイスラム教徒への風あたり、、、既にもう差別とも言って言ううことが公然とまかり通っていくようにエスカレートする可能性があり、それは、アメリカの理想である多様なものを統合していくことを全否定する方向に容易に向かってしまうからです。だからオバマ大統領の談話も、アメリカ中の報道も非常に抑制的でした。ところが、その理性的で上品なともいえるような対応について、現実的に安全が脅かされているのにセキュリティ上、もっと極端に行くべきだ!とこれを、、、それを言っちゃーおしまいだよというような政治的正しさからとてもいえないようなことを、ガツンといういってしまう人が登場したので、この問題にさらに火がつきました。共和党の大統領候補であるドナルドトランプですね。しかも、ほとんどネタ扱いで、まじめな候補とは誰も見ていなかったんですが、ここへ来てこの暴言を重ねても、支持率トップの数字が出てきたことを見て、アメリカはこれは深刻だ、と気づくてきたようなんです。共和党の政治家からあらゆる大物政治家、報道などで、トランプはアメリカの理想を踏みにじっていると物凄いリアクションが起きています。・・・・・・・・でも、支持率トップなんですよね、相変わらず。これ、凄い事態だと思います。ついちょっと前まで、イロモノのエンターテイメントの項目とかで扱われたいた大統領候補だったのに。。。。。特に、イスラム教徒の米国入国を禁制せよという話になってくると、これって日本との戦争時に行われた日系アメリカ人の強制収容所の話と絡んできて、そのあたりとの言及も凄いされるようになって来ました。。。。これが、どこにいくか、凄い注目です。アメリカの理想を反対方向へ向かわせる力学が強く働いているからです。なので、いろいろ記事をメモメモです。

今週2日、ロサンゼルス近郊のサンベルナルディーノにある福祉施設で発生した銃乱射事件は、14人の犠牲者を出すという規模の大きさが全米に衝撃を与えました。同時に、事件の背景に「原理主義テロ」の可能性が否定できないため、メディアの報道には明らかな「歯切れの悪さ」があります。オバマ大統領のコメントも同様です。

 メディアや大統領は真実を隠そうとしているのでしょうか? 違うと思います。アメリカは今回の事件に対して、どのように理解し、どのように対応するかという点で、苦悩の最中にあると言えます。捜査と情報開示がまったくの現在進行形の事件ですが、とりあえず現時点での論点について整理しておこうと思います。

 まず、射殺された男女2人の容疑者ですが、28歳の男性サイード・ファルークと、27歳の女性タシュフィーン・マリクであり、2人は夫婦だったと発表されています。

 同市の市警の発表と一部報道によれば、死亡したファルーク容疑者は、地元サンベルナルディーノ郡の保健局に食品衛生管理の職員として勤務しており、既に勤続5年、年俸は5万1000ドル(約625万円)だったそうです。また、職場では静かで礼儀正しい人物という評価だったと報道されています。


乱射事件、「イスラム教徒の容疑者」に苦悩するアメリ
http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2015/12/post-792.php


San Bernardino shooters 'supporters' of ISIS, terror group says
http://www.cnn.com/2015/12/05/us/san-bernardino-shooting/index.html?sr=fb12515sanbernardinoshooting533aVODtopLink



NBC News goes inside San Bernardino shooters' home.

通常の政権移行の年であれば、有権者は次期大統領に誰が就任するかを想像しただけでワクワクするものだ。ところが米国民は今、わら人形ならぬ、「わら人間」にすがろうとしている。

 ドナルド・トランプ氏は今年6月に大統領選に名乗りを上げた。このニューヨーク出身のいたずらっ子はあらゆる州を飛び回っては政治の消火栓を開いている。その結果、政治や文化に対する積年の嫌悪感が噴出しているが、誰もとめることはできないようだ。

 民主党では、3分の1近くが高齢の社会主義者バーニー・サンダース上院議員の支持に回っている。サンダース氏を同じく大統領選に立候補したユージーン・デブス氏に例えるメディアが多いが、今、大学教授がテストでユージーン・デブスは誰かという問題を出せば、キャンパスで暴動が起きるだろう。デブス氏は糊のきいた襟がトレードマークの、115年前の著名な社会主義者である。

 アフリカ系米国人は状況がよくなると期待していたのに、彼らが暮らす都市近郊では殺人率が上昇し、怒りに満ちたデモ隊が行進し、警官は守るはずの市民と対立している。若いアフリカ系米国人の雇用の先行きは国内のどのグループよりも悪い。ニュー・リパブリック誌の最新号の表紙にはこうあった。「ヒラリー・クリントンはなぜオバマより黒人の役に立つのか」。

 今、米国の政治を語る言葉はどれも硬い。共和、民主両党の大統領候補は収入の格差、必死にもがく中間層、移民恐怖症、そして再びテロとの戦いを軸に選挙運動を展開している。オバマ氏は2009年に不況を阻止したことを功績の1つに挙げているが、われわれはまだ、不況のさなかにある。

 希望と変化は公約だったのに、何が起きたのか。


【オピニオン】オバマ時代が生んだ挫折感、米国は分裂国家に
http://jp.wsj.com/articles/SB12063707009372514535404581400640350973076?reflink=fb

トランプ氏「イスラム教徒の全面入国禁止を」
http://jp.wsj.com/articles/SB12063707009372514535404581402840299778166?reflink=fb


イスラム教徒の入国禁止」を提案、どこまでも調子に乗るトランプ
2015年12月08日
http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2015/12/post-793.php

政治評論、とりわけ選挙評論の専門家であるNBCのチャック・トッドによると、「トランプは、ブルーカラー保守の大票田を掘り起こして」しまい、彼等は「リーマン・ショック以降の景気低迷の傷が癒えない中で、既成の権威のすべてを疑っている」層だと言うのです。「この人達は、仮にトランプが無所属で出ればついていく」という分析もあります。

暴言大炎上でも共和党の「トランプ降ろし」が困難な理由
2015年12月10日(木)16時15分
http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2015/12/post-794_1.php

トランプ氏が快進撃している理由は何でしょう。

高濱:一つは、歯に衣着せぬ発言です。移民政策にしろ、医療、税金、対中、対日政策にしろ、米国の白人中間層は不満だらけ。トランプ氏はその声をストレートに代弁しているのです。

 どちらかというと、オバマ政権は貧困層やマイノリティ(非白人少数民族)に軸足を置く政策を推進してきました。白人中間層はそうしたオバマ政権の政策に憤りを感じています。

 それだけではありません。その矛先はタテマエばかり言っている議会共和党の既成政治家たちにも向けられています。トランプ氏はこれまで一度も公職に就いたことがありません。そのことが逆に既成政治家たちに不満を持つ一般庶民の関心を捉えるセールスポイントになっています。「政界アウトサイダー・トランプ」への期待感です。

 8月下旬、ボストンで会ったアイルランド系の元教師は、私にこう言いました。「トランプは大統領候補に指名はされないと思う。けれど彼は、米国が直面する諸問題についてタブーなしにストレートに発言している。彼が大統領選に立候補し、今、発言していること自体に意味があると思う」。

 「トランプのメッセージは一つ。他の候補者に向かって、こう言ってるんだ。『あんたたち、タテマエばかり言うのをやめなさい。政治経験あるプロ政治家っていうことをひけらかすのは大概にしろよ』」


人気投票トップのドナルド・トランプって何者?
他候補を振り切って独走する「億万長者ピエロ」
高濱
>>バックナンバー2015年9月2日(水)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/261004/083100002/