『異能バトルは日常系のなかで』(2014) 監督 大塚雅彦 高橋正典 原作 望公太  

異能バトルは日常系のなかで 1 [レンタル落ち]

評価:★★★星3つ
(僕的主観:★★☆2つ半)

1話から最初の数話が、凄い嫌悪感だった。なので、これLDさんに薦められたり、いまクンフー修業の最中だ!!!という盛り上がりがなければ、絶対に見なかっただろうと思う(苦笑)。オタクの自意識がああいう風に、二重思考なしで(=ようはTPOがわきまえられている)垂れ流されると、痛くて見ていられない気がしてしまう。ああ、なってはいけない、、、となんか、おっさんだからなのか、凄い思うんだよ。

うんうん。そうだよね。

とはいえ、7-8話までみると、脚本構造的に、日常系の、日常と非日常をひっくり返して考えるというように、構成しているのはわかるので、悪くはないんだよね。というか、狙うべきところはあるんで、めちゃくちゃな作品というわけではないんだというのはよくわかった。ぜんぶみてみないといけないさくひんだったんだろうな、とおもう。また、これは、原作の方では、たぶん息の長いシリーズで、異能を使って非日常側で殺しあっていることとの対比があって、それとの差が浮かび上がるような描き方をしているんじゃないかなぁと思う。なので、たぶんアニメだけでは、その部分が全然演出できていないように思えるので、評価しようがない気がした。とはいえ、僕は、このアニメでは、小説を買うという気にはならいな、残念ながら。

この作品をずっと見ていると、安藤寿来くんが、それぞれの女の子に好かれる理由はよくわかるんだ。それぞれの女の子の回があって、女の子との過去の積み上げを丁寧にやっているから。でも、それは、理解できるってレベルで、納得できるって感じにはならないんだよね。考えればわかるけど、心が感じないぜって感じ。だって、この程度の理由では、他にも女の子が群がっているし、外の男の子を見れば、別に大したやつじゃないのはわかるじゃないの?。普通にいいやつで、身近にいましたってだけだもん。そう思ってしまうと、、、もうそうじゃね?これとどうしても思ってしまう。きれいに嘘がつき切れていない。しかも、主人公に特別な動機がないところが、、、、ああいう異能を持ってさえも、特別な野心を持ったり、状況に振り回されない悟ったところが魅力といえば魅力になるんだろうけど、それが「凄み」にならないので、やっぱり魅力に張らないなー。ねぇ、見ていて、本当に主人公に感情移入できる???。僕らなら、こんなに根拠がないところで、たくさんの女の子に好かれたら、逆に怖いよ。なんだこれ?って。


ハーレムメイカーの類型としても、特に進んでいるポイントは見つけられない。というか、僕の中では、ハーレムが成立していないのに、している形を作るのは、ハーレムとは思えない。関係性が、ウソにまみれている気がして、がっかりしてしまう。永遠の日常系の文脈で考えても、たぶん時代的ではあるとは思うんですよ、日常と非日常は隣り合わせになっているというのは。とはいえ、これってただ目を背けているだけじゃね?という気がしています。非日常の方に本気で浸食されたら、バトルロワイヤルにならざるをえないじゃないの。もちろん、日常系のほわほわと、非日常のバトルロワイヤル殺し合いが同時にあって、それでいて、日常を選択するというのは、構造的には非常に今の時代っぽいので、わかるんだよね。原作者の意図は。でも、すくなくとも、アニメーションにおいて、それを感じたり、もしくは、おっと思うような部分はなかった。出来が悪いわけではないので、★2とかにはならない、、、というか、全部見なかったら、★2になったかも。でも、たぶんこれを良しとする層はいると思うんだよね。僕は特に、自意識のTPOがない人間が、極度に嫌いなので(自分がそういう人の目を気にしい系なので(笑))、無邪気に見せられると、気持ち悪くなってしまう。『冴えない彼女の育てかた』の安芸倫也くんぐらい突き抜けてくれると、むしろかっこいい!と反転するんだけど、、、。僕は、この作品ダメでした。


ちなみに、原作は2012年からで、アニメの放映は、2014年。ハーレムメイカーと永遠の日常系のステージが、同居するというのはとても時代的で、それがメタ的に非日常が見えている形で、新世界系的なものがあるんだよ、というのは、非常に同時代的な作品ではあると思いました。

異能バトルは日常系のなかで (GA文庫)