『RAIL WARS!』 末田宜史 監督  お仕事系というキーワードで

RAIL WARS! 1 [Blu-ray]

評価:★★★星3つマイナス
(僕的主観:★★★★4つマイナス)


LDさんが、お仕事系の文脈では、『SHIROBAKO』の次はこれどうですか?と紹介してくれました。


お仕事系というのは、実はキーワードな気がしている。『冴えない彼女の育てかた』を見ている時に、なんて、ハーレムが安定しているんだろうと驚いたんですよ。『僕は友達が少ない』などハーレムものを見ると、ハーレムって誰かを選ばなければならないという圧力が働くものなんですよ。そういうドラマトゥルギーを展開させないと、そもそも話が面白くなくなる。それを進めないようにして、寸止めにして鈍感系にすると、行きつく果ては『School Days』(2007)なわけですよね。そうでなければ、ハーレムメイカー系の物語類型が進んでいくうちに、女の子しかいなくなる無菌系に展開していくのが、大きな流れに僕は思えます。途中で、男女同数系の話が出てくるか???といっていたんですが、結局それって、じわじわ出てきているんですが、でも物語類型としてはちゃんとしたものになっていない。けど、、、はがないのように、友達がほしいという方向性もあるんですが、友達って、なんなんだよ?って感じになるんですよね。だって、女の子ばっかりで、凄い関係性が深まって、ラブラブになっていても、そのこと友達になる???っておかしいじゃないですか。はがないが、それでしたね。この友達って、友達ってなんだろう???って思った時に、友達なんてすごいあやふやなもんなんだと思うんですよね。卒業したら、すぐなくなるような関係を友達というのかな?って(笑)、学校共同体の同調圧力の下での関係性とかって、いまいち、、、、と思うんですよね。もちろんここでの、青春の物語類型に持っていくのはありだとは思うんですが、、、、でも、『冴えない彼女の育てかた』でいいなった思ったのは、ハーレムであっても、仕事という共通の目標があると、、、、ここでは、同人ゲームを作るというモノづくりの目標なわけですが、共通の目標があると、友達という関係性に凄い意味が出るんですよね。友達とか彼女とか彼氏とかは、目的が共有されないもの、、、、無自覚な共同体ですが、仕事は目的が共有されたアソシエーション(結社)だからです。お仕事系は、この物語類型の、一つの出口なんだよなーと思います。この高度成長期が終わって、会社が助けてくれない!という時代になって、大事なのはシゴトだって解決策は、非常に面白いです。もちろん、たぶん共同体的な会社、、、、言い換えれば無自覚な家族としての会社がダメなのであって、自覚的になって自分で選んだアソシエーション、もしくは自分で作ったアソシエーションが、この流動性の高い、個が分裂している社会で、自立して生きていく手段なんだってことなんですね。非常に、なんというか、ベンサム的ですねー。


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鉄道って、凄い面白いテーマなんですが、なかなかいい物語が思いつかないですね。小川さんの下記のやつは、ちなみに最高でした、ヨーロッパの鉄道に乗ってみたく凄くなります(笑)。鉄道は近代国家建国の基礎的インフラですからね。


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ちなみに『SHIROBAKO』の時に、アニメ業界の友達からすごく言われたのが、あんなの嘘ばかりだって話でした。もちろん、いいところしか描かれていないし、もっと悲惨な状況を覆い隠すウソになるというは、たしかにあるかもしれません。でも、ここでいうちゃんと現実やほんとうのことを描け、というのは、言い換えれば、一番最悪のケースを描けということなんですよね。リアリズムって、僕らが言う新世界系のようなもので、ようは、ご都合主義の反対の極になって、選ぶ選択肢がすべて最悪に結びついていくことを描くことと思われている感じがあるんですよね。なんか、それをエンターテイメントで描く意味は僕は全くないと思うんだけど。何をエンタメに望んでいるんだろうかって思えてしまう。それに、結局、どの世界でも生き残るのは、前向きに能天気に考えた人であって、悲惨な現実を踏まえながら、それでも楽観的な気持ちを持ち続けるという態度シカ、しょせん現実の壁ってだはできないんです。これって、人の感情にシンクロしないけど、ある種の技術であって、それ以外に現実をとらえても結局のところ、人生はうまくいかない。だから、僕は、物事のご都合主義の面を描くので、いいと思うんですけれども。どのみち、起きている出来事を考えれば、あの業界が、めちゃくちゃなところだってことは、よくわかるはずで、わからない人は、そもそも社会人として生きていけないですよ。現実が、そもそもそんなに甘いわけがないので。『RAIL WARS!』も同じですよね。こんなにテロばかり起きてたら、たまらないですし、そんな研修の社員がそんな最前線に立ちまくるって、ありえないですよ(笑)。でも、それでも、この世界を知らない僕のような全く知識がない人には、ほほう、そういうご都合主義の物語が描けるのか!って。すごい楽しいです。なんでも、現実にあるマテリアルで、どんな物語的な夢が見れて、どんなそもそもそのアソシエーションの持つ目的と物語、創業期の夢があるか、とかそういうことを知りたいです。なんでも、仕事、アソシエーションは、設立当初の目的が重要だと僕は思うんです。そして、それが、ご都合主義で全部回るとしたらどんな物語になるのか、が見たいですよ。仕事をめぐる話はずっとしてきいたんですが、なんでも、「そもそも何の目的でそれをやっているの?」ということと、「部分の悲惨さやブラックさや腐敗ではなく、全体としてうまくいったときは何が獲得できるの?どんなヴァリューを世界に届けているの?」という本義、コアの部分を知らないと、生きていて、生活していて、仕事をしていて無味乾燥になります。そこ、に届かなければ物語は書く意味がなく、いいかえれば、リアリズムには意味がないと僕は思います。いや意味がないは言いすぎですが、物語はロマン主義的であるべきだ!というのが、僕の理念というかりそうです。尊敬する中島梓さんが掲げた、ロマンティシズム宣言ですね。僕は、この物語、たぶん小説の構成は、そうなっていると思います。全体の構成、でき、世界観は素晴らしいもの。圧倒的ともいえるほど素晴らしい。国鉄が継続した日本社会!!!というだけで、物凄いドキドキします。

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ちなみに、ハーレムメイカーとしては、非常にダメな作品だったし、エロ的な顧客を捕まえようとする姿勢が、裏目に出てて下品に堕している点は、ちょっともったいなかったと思います。鉄道というテーマがあまりにマニアックなので、手法的に、ハーレムにして、お色気を全力でいれて、間口を広めようと頑張ったんだという真摯さは、そういうエピソードの頻出度合いを見ていてすごいわかるのですが、真面目さが裏目に出ていますね。せっかくのお仕事系の気高さが、それによって減じてしまっていて、残念でした。むしろ、エロ的なエピソードが皆無の『SHIROBAKO』のほうが、よっぽどエロい妄想を掻き立てる感じがします(笑)。なかなかマーケティングというか、ものを作る時のコンセプトの立て方って、難しいなと思います。『RAIL WARS!』を売り込むというか企画を立てる時に、このマニアックなものを売れるようにするには、っていうと、このアプローチは痛いほどよくわかる論理的な思考であって、それだけに、本当に難しいなぁと思います。

これ、男女同数的ないい解決方法「なのではなくて」、要は失敗なんですよね。お仕事系に解決策を見出すならば、同志愛を描くべきなので、恋愛系を描くのは、ちょっと路線がずれてしまう気がします。


星も少ないし、辛口なコメントばかりですが、僕はものすごく楽しめましたし、機会があれば本も読みたいと思います。たぶん小説のほうがはるかに面白いと思います。コンセプトを分析するとそう思える。分析的に言うと、どうしても評価が下がってしまう作品ですが、ものすごく面白いです。この世界。

RAILWARS!1 RAILWARS! (クリア文庫)