ほう、この人は、オバマ政権を新秩序の形成という意味で、高く評価しているわけだ。米国の雰囲気と真逆だな。

米国の外から客観的に眺めれば、この大統領選の最大の焦点は、衰えたりとはいえ依然、世界最大の軍事力と経済力を持つ米国が、そのパワーを振り回しさえすれば世界を気儘に操れると思い込む帝国幻想からきっぱりと卒業できるかどうかにある。

本当は米国は、冷戦が終わると同時にそのことを考え始めるべきだったが、当時のブッシュ父大統領は「冷戦という名の第3次世界大戦に勝利した。旧ソ連がなくなって、米国は『唯一超大国』になった」と錯覚し、湾岸戦争を発動し、今日の中東大混乱に至る最初の火種を撒いた。次のクリントン夫政権は、軍事費を大幅に削減し、軍事技術を大胆に民用に転換して、軍事力よりもむしろITハイテクと金融で世界をリードする新しい米国を追い求めたが、それを確実な軌道に乗せるには至らなかった。その次には、間の悪いことにブッシュ息子が登場し、その暗愚に付け込んでネオコンが政権中枢を占拠したところへ、さらに間の悪いことに9・11が起きてしまった。

ブッシュ息子の歴史に対する罪の最大のものは、父の「米国=唯一超大国」という誤った時代認識を、「単独行動主義」や「先制攻撃主義」などの現実の専横的な対外政策として具体化し、やらなくてもいい2つの戦争に米国を引き込んだことにある。そのブッシュ父子の度しがたい誤謬の後遺症を何とかして克服しようと悪戦苦闘したのがオバマで、ひと言でくくれば、「米国は世界の警察官ではない」と宣言したり、「核廃絶」を口にしたり、中国やロシアを新しい世界秩序の中に引き込もうとしたり、帝国幻想からの脱却に力を注いだものの、旧秩序は崩壊しつつあるのに新秩序はまだ出来ていないという歴史の裂け目に填ってジタバタしている内にISと世界的なテロの横行という事態を招いてしまったということだろう。しかし彼が新秩序の形成に向かって努力したことは疑いのない実績で、それを引き継ぐ政権が次に登場するのかどうかが世界の関心事である。

ネオコン・ジュニアのルビオやネオコンにも繋がるキリスト教右翼のクルーズでは世界は闇だし、トランプでは世界は地獄である。サンダースは世界のことには関心がなく、クリントンは関心も知識もあるが、オバマよりタカ派で、オバマの悪戦苦闘を正しく受け継ぐことが出来そうにない。なぜならブッシュ父の「唯一超大国」論と民主党旧世代の「グローバル・リーダーシップ」論は、同じ帝国幻想の2つのバージョンでしかないからである。こんな米国と世界はどう付き合っていけばいいのだろうか。


絞られてきた本命。米大統領候補者「ザ・ビッグ5」ってどんな人?
http://www.mag2.com/p/news/146986


おお、この人は、オバマ政権のヘリテージに高い評価を与えるのだね。うん、僕も分析すると、凄くそう思う。けど、、、アメリカの雰囲気は、そんな感じ微塵も無いよなー。もう現実が変わらないのはいい加減にしてくれというのが噴出している感じ。。。