なんでも日本が最高というウソを信じるな。

イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る 雇用400万人、GDP8パーセント成長への提言 (講談社+α新書)

使われないままむなしく放置されるトイレットペーパーホルダーは、

・海外のニーズに頓着せず日本式の商品を押しつけ、一方で、

・海外の合理的な商品を日本に取り入れようという気もない、

・「日本のモノが一番いいに決まってるだろ?」的な思想の犠牲者のように見えました。


2016-03-16 放置されるペーパーホルダーが示すモノ
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20160316

日本の生活世界は、世界でもトップクラスに、豊穣で楽しいものだ。


もともと生活を楽しもうとする内向的な文化土壌もあり、しかも複雑で多層で長い伝統を持つ背景があるのに加えて、1945年以降、国際政治における主体性を放棄して、経済成長に邁進したこともあり、日本の生活世界というのは、ありえない高度なレベルに到達している、と思う。


文化的背景や集約された狭い土地に都市を形成するような構造が似ている東アジア、東南アジアでは、日本が最も近い先行モデルということもあって、非常に似た感じになっていますが、それが故に、日本、特に東京は圧倒的だと思います。


なので、日本出て行く必要あるの?って感じの記事を数年前書きました。自分がアメリカに住むとは、思ってもいなかったので(苦笑)。


海外で勉強して働く・・・のは魅力的だけど、日本でマンガ読んでアニメについて友達とだべって希望なく生きる選択肢も、けっこう魅力的だよ?
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20090503/p5


けどね、外に出てみると、特にアメリカなどの先進国に住んでみると、ここも天国なくらい素晴らしいところなんですよね。同じように近代国家としてのトップクラスの豊かな生活ができる。もちろん、中産階級レベルのお金があって、というのはどこでもいえることだけどね。日本のヲタク産業というオリジナルコンテンツによるエンターテイメントが、あったりしますが、もちろんのことアメリカにも数々のオリジナルのハリウッドなどの分厚いエンターテイメントの集積があって、別に、どっちが凄いとは一概にいえません。たぶん、生活世界が先進国の最先端レベルに豊かで、しかも分厚い大衆をエンターテイメントの長い歴史がある都市って、たぶん、北米、東京、ロンドンくらいしか思いつきません。西ヨーロッパは、すんだことないんで、いまいちわかりませんが。。。でも、そのどれも、最高レベルに素晴らしい生活世界があると思うんですよ。


・・・・・・そうすると、日本で言われていることとかが、物凄く鼻につくようになってきたんですね。


なんかね、おもてなしとか、日本食はおいしい!とか、アニメがいつも見れる!とか何でもいいんですが、ただの思い込みで、それはそれで素晴らしいけれども、別に、ほかと比べてダントツ一番だったり、特殊に日本しかない唯一のものというわけではぜんぜんないんですよね。なのに、なんだか日本最高!とか、そういうことをいいたがっているように見えて、鼻についてしまうんです。そのために、アメリカとか、ご飯まずいとか言い出したりする。いやいや、ご飯おいしいって。アメリカ。選ぶ力がないと、ジャンクばかりになってしまうかもしれないけど、それは、選択する力がないだけだって。たしかに20年前は、日本の東京におけるほど選択肢はなかったと思いますよ。そもそもまともな日本食やアジア料理は食べれなかったと思うので。でも東アジア系移民の拡大や日本食のブームなどで、冷凍保管技術や輸送技術がこの数十年で、信じられないレベルに上昇していると思います。アメリカの中産階級の現代的生活世界の豊かさ、クオリティへのこだわりは、凄いんですよ。なので、コーヒーとか、薄いアメリカンしかなかったのが、もうぜんぜん違うじゃないですか。


なんなんでしょう、、、、別に日本が素晴らしい国であったり生活世界があるのは本当なんですが、他がだめってわけじゃないのに、日本のここがオリジナルで唯一で!!!というような思い込みの妄想が多すぎる気がします。たとえば、日本に四季があるとかいわれると、なんか笑ってしまいます。だって、四季がはっきりしてないところなんて、そんなあるわけじゃないんで。なにいってるの?って感じで、馬鹿にされてるか、頭悪いのか?っって思ってしまいます。別に、日本の四季が列島で細長く、非常の幅が広く、クリアーで繊細なのは事実なんですが、そんなの別に北米だって西ヨーロッパだって中国だって、同じですよ。文脈はあると思うんで、単純におかしいとはいえないかもしれないですが、あまり主張すべきポイントでもなんでもない気がします。なんか、まったく冷静に他国から見たり、日本人じゃない人が見たらどう思うのかとか、他の国の文脈に、死ぬほど鈍感としか思えない、思い込みの妄想力が多い気がするんですよね。


おもてなし、とかも凄いそう。辛口だけど、僕は、デービッド・アトキンソンさんの発想が、ああ、しっくり来るなーといつも思います。こういう他の国や人の文脈に敏感でありながら、日本が大好きな人の意見が、僕はとても価値があると思うんですよねー。特に、もう大雑把にステレオタイプな日本の魅力を言うような色物の時期は過ぎたくらい、素晴らしく複雑で豊かな国になったと思うので。


まっ、日本って最高だよな!という妄想に、だまされない!!という意識を持つのは、とても大事だな、と思う今日この頃です。


デービッド・アトキンソン 新・観光立国論