アメリカは、共和党を選んだんですね。

「潮が引いた時、誰が裸で泳いでいたかが分かる」。著名投資家ウォーレン・バフェット氏の格言だ。大統領選投票日の夜にオバマ人気の潮が引いた時、そこにいたのは構造的な欠陥を丸出しにした民主党だった。

 バラク・オバマ大統領は2度の大統領選で余裕を持って勝利を収めた。しかしそれはあくまでも個の力によるものであり、その勢いは他者が便乗できるものではなかった。オバマ氏が就任した8年前に民主党は下院で過半数を占めていたが、今回の選挙では1928年以来となる議席差を共和党につけられる結果となった。上院でも2014年から共和党が与党となり、今年の選挙でも不利とされながら同党が過半数を維持した。

 オバマ氏が就任以来、各州の議会でも共和党が900議席以上を上乗せし、60%以上の州議会で過半数を占めている。また8年前の時点では29の州で民主党の知事が選出されていたが、現在はその数が15州まで減り、結果が確定していない1州でも厳しい情勢が続いている。


惨敗の民主党が進むべき道
国民に響かなかったクリントン氏の言葉「知の再生」は可能か
By WILLIAM A. GALSTON
2016 年 11 月 14 日 10:57 JST
http://jp.wsj.com/articles/SB10780138144506903447704582435120985148842

最近、ウォールストリートジャーナルが、民主党にきついな、、、と一連の記事を読んでいてほんと思うんですが、大統領選の結果を見ていて、凄く思ったのは、結果って重要だよな、ということです。まぁ、気持ちを表明するのが悪いことではないんでしょうが、選挙結果が出た後にデモするとか、現実を認められなくて何とか選挙人の態度を変えさせようというような無理な署名というか活動とか、いやはや、そんなにあがくくらいならば、なんで選挙前にやらなかったの?って思いますよね。民主主義のシステムがそろっているんだから、意見とか行動は、選挙の前に、憲法と法律のルールで勝負すべきでしょう。そしてそれには時間がかかる。民主主義は、漸進ですからね。よっぽど民主主義が根づいていない国ならともかく、アメリカや日本で、デモっていうのは、正直社会改良としては、とても短期発散型であまり役に立たないとしか思えません。よほど自由にものが言えない民主主義が未発達の国では、意味は確かにあるんでしょうが。やはり法の支配の歴史がある国ならば、法律や憲法を変えてこそ、なんぼだって思いますよ。社会改良を目指すならば。

「くたばれ、トランプ!」UCLAで学生1000人以上が反トランプ氏デモ
http://www.huffingtonpost.jp/2016/11/09/ucla-protest-trump_n_12878308.html

なんか、まぁ、気持ちは凄く共感できるんですが、、、、なんか、現実を認めないのって痛いだけじゃなくて、ちょっと犯罪的というか、、、いや犯罪というのは違うんですが、、、レフトサイドの一番社会にとって悪影響が出る悪いところを凝縮しているような感じがするんですよねー。クリントンさんの方が票は多いとか言っても、現行のルールはルールでしょう。もし文句があるなら選挙の前から、そういうルールを変える活動をしないと。それをしていない人が後で、結果が自分の思う通りじゃないからって、いうのはおかしい。ましてや、何よりも重要なのは、議会も含めて、共和党がすべて勝ったという事実ですよ。オバマ政権成立後に、民主党の全米での議席や知事の数は激減しています。ようは、アメリカが、はっきりと、民主党の在り方にNOを唱えたんです。数やトレンドからいって、白人の貧乏人がトランプを支持しているとか、そういうわかりやすい図式で理解することも、実はできないですよね。プアホワイトなどが支持のコアにあるのはそうかもしれないですが、この数とトレンドは、それだけじゃなく、アメリカの過半が長きにわたって、民主党の在り方を否定しているのは、もう確実です。どんなにトランプさんの振る舞いが、リベラリズムからおかしいと思っても、この事実を見据えて、謙虚に受け入れないと、現実を無視した思い込みの他者への強制です。

言い換えてみれば、トランプ氏の勝利は共和党への支持が広がったがゆえに起きた出来事ではない。クリントン氏がいわゆるオバマ連合(オバマ氏の当選を支えたマイノリティーや若者ら)の大半から支持を失ったことが原因だ。2012年と比べてクリントン氏が獲得した黒人票は180万票少なく、18歳から29歳の層では100万票が減り、30歳から44歳の層でも180万票が減り、カトリック教徒からの投票も260万票減り、年収が3万ドル(約327万円)以下の世帯からの投票も450万票減った。

中略

労働者階級は1960年代後半から民主党離れを見せている。彼らはリチャード・ニクソン元大統領を支持した「サイレント・マジョリティー」を形成する大きな勢力であったし、その一部は後に「レーガン・デモクラット」(ロナルド・レーガン元大統領を支持する民主党支持者)となっていった。そして彼らが今回、オハイオ州ウィスコンシン州ペンシルベニア州、そしてミシガン州でトランプ氏の勝利にとって大きな役割を果たすことになった。

中略

反グローバリゼーションのうねりが大きく取り上げられているが、有権者は経済に対する根深い不安に基づいて投票先を選んだと言える。出口調査に答えた人の3分の1は経済情勢が「とてもよい」か「よい」と答えているが、そのうちの77%がクリントン氏に投票した。一方で経済が「あまりよくない」か「よくない」と答えた残りの約3分の2の人のうち、トランプ氏に投票した割合は63%に達している。


【寄稿】クリントン氏が失った350万票
民主党に背を向けた有権者がトランプ氏の勝利を決定づけた
By KARL ROVE
2016 年 11 月 17 日 16:32 JST
http://jp.wsj.com/articles/SB10780138144506903447704582441502504068254

カール・ローブ氏は、ジョージ・W・ブッシュ前大統領の次席補佐官だった人んですが、この人の細かい選挙分析が面白かった。これだけでは何とも言えないが、こういう冷徹な分析を積みかさねていくことでしかわからない現実というものはあるだろうな、と思うなー。僕も、感情的にはずっとクリントンさんを応援していたので、リベラリズムが正しい!というイデオロギー的な感覚が強くあって、これもポリティカルコレクトネスというか、バイアスなんだろうなぁ、と思いました。自分で、サンダースさんやトランプさんの現象を重要だとずっと注目してきながら、感情的にそれを認めていなかったんだなーと。いやはや、人間ってそういうもんだな、幻想とイデオロギーに騙されて現実が見えにくくなるもんだ、と思いました。