『冒険者パーティーの経営を支援します!!』 ダイスケ 著 ここに登場する異世界転生した主人公って、V字回復の経営の三枝匡級(笑)

異世界コンサル株式会社 (幻冬舎単行本)

最近お気に入りで、読んでいたなろう系の小説。いつもながらにストレスたまると尋常じゃない量のなろうを読み始めて。。。なんだかわかりやすいなー自分、と思います。まぁ漫画買いまくっていたら、お金がいくらあっても足りないので、このへんがちょうどいいんだよね。まぁ、キンドルさんのせいで、けっこうな散財を繰り返している気がするけどね。。。。

冒険者パーティーの経営を支援します!!
作者:ダイスケ
http://ncode.syosetu.com/n0579dc/

評価:未完のためにまだ未評価
(僕的主観:★★★★4つ)


これ、好きなんだよなー。ああ、こんなに今の異世界モノは、バラエティーあるんだなーと感心しました。異世界に転生した元コンサルタントが、冒険者家業を怪我してやめたところから物語はじまります。そして、死傷率が高い新人の駆け出し冒険者の相談に乗ってあげる(コンサルのお仕事)で物語はじまっていきます。いやー、最初は、何とかその日暮らしというか、冒険者ができなくなったので、食べていこうというような、切実なところから始まって、どんどん仕事のレベルが大きくなって行く様は、いやはやビルドゥングスロマンというか成長物語なんだけど、とっても地味で、そういうヒロイック感じが全然しないところが、渋くていいんだよねー。


にしても、この主人公、V字回復の経営の三枝匡級の凄いコンサルタントで、いやー前世はパンピーでしたって、そんなわけありえないじゃん(笑)と、なんどもつっこんでしまいました。確かにスタート地点は、足はついていて渋い改善が多いんだけれども、どんどんそれが拡大してさまは、いやーそこまでふつうは能力ないでしょうと、唸ってしまう。いやはや、コンサルタントのフレーム枠や仕事を効率よく運用していくやり方とかの、具体的な冒険者家業に落とし込んで(笑)の説明とか、これ教科書なの!!!と唸りたくなるようなレベルで、こんな異世界転生ものがあり得るんだ、と唸ってしまいます。


少しネタバレになってしまうんですが、とはいえ、そういう知識だけを誇る物語って面白くなくなるのが普通なんですよ。わかりやすく書かれているけど、物凄い専門的だしね。でも、この物語には、熱い軸があると思うんです。結局、足を怪我して、冒険者で食べていけなくなった主人公は、そうやって、働けなくなって消えて死んでいく仲間に強いシンパシーを抱いているんですね。自分だってそうなるかもしれなかった、、、社会の底辺として、魔獣退治に使い捨てられて、ただ死んでいくだけの存在。出来るならば、これを何とかしたいというコアが主人公にはある。だから、凄い細かい専門的な話になっても、目的がぶれていないんで、物語ぶれない。


そして、、、やっぱり彼が事業化として成功してきて、教会から誘われるときの、断る姿がかっこいいよなーって思うんですよ。あそこで、栄達を断ることができるのは、大きな志があるからなんですよね。それは、合理的とは言えないし、自分の人生にとって楽な道でもないかもしれないけれども、、、、というケンジが、「第138話 塵芥の矜持」でニコロ司祭に言うシーンが、胸が熱くなって、ああ、、、この主人公は、そこに原点を持っているんだーと思ってから、すべての行動原理がわかった気がして、物語にぐっと感情移入しました。あのシーンは、感動したなー。。。。


一つだけ不満があるんですが、はやくサラと結婚してあげて!(笑)、というか、せめて告白して抱いてあげろよーと思うんですが、ケンジ、淡泊すぎです。そこがケンジらしいのは、うん、わかるんだけど。


それにしても、いい物語というのは、色々ベクトルが重なるんだなと思います。まさか、彼が出したレポートで、土地の評価の算定方法が変わって、辺境領域の開拓への情熱が高まり、それによって人類の繁栄領域が広がるだろうという「予測」が生まれることによって、様々な事業が動いて、、、、、、それまで停滞していた中世のような状況だった世界が、巨大な成長へと駆り立てられていく様は、見ていて、すげぇ!!!こういう風になるのか!!!と胸が熱くなりました。いやーほんといい小説です。更新の頻度も高いので、たまらないです。これ、まおゆうを読んだ時ん感じた、「その先について」というか「丘の上の向こう」を感じる、素晴らしい繋がりでした。これでもう少しキャラクターのドラマがあれば、文句なしの★5だったんですが、、、、。


やっぱり、はやくサラちゃん、抱いてあげてほしい(笑)。そんなにお預けするなよ!って思う(笑)。でもここで表現されている、停滞している文明が、成長へ舵を切る時のメカニズムとつながりみたいなものは、今まで見たことがないレベルで物語にビルトインされていて、素晴らしい作品です。


ちなみに、ずっと、僕は、V字回復の経営異世界編とか思って読んでいます(笑)。


V字回復の経営―2年で会社を変えられますか (日経ビジネス人文庫)