ドナルド・トランプとは何者なのか?

最近、ドナルド・トランプ現象の本質は何なのだろう?とつらつら考えています。


2015-16年の大統領選挙の頃アメリカにいた時に様々な人と話していて、また自分自身の分析からも、ほぼトランプさんが大統領になるのじゃないか?ということを、かなり最初から感じているんですよね。そして、それを周りの人にしゃべっている。というか半ばトランプさんが大統領になるのを確信していて、かなりそれを周りに話していたようです。どうして「ようです」などという他人ごとなのかというと、トランプさんが大統領に選ばれた翌日、「君の分析通りに、トランプが選ばれたよ、凄いな!」と何人にも言われ、メールを受け取って、あれ???と思ったんですよね。ロフトプラスワンで話した時も、日本ではまさかとランプはならないだろうという論調というか空気があるが、違うんですよ、と力説して話していましたもんね、確かに。僕はずっと、ヒラリー・クリントンさん支持をしていたつもりなんですが、周りはまったくそう思っていなかったみたいなんですよね(笑)。というのも、なぜドナルド・トランプが支持されるか?もしくは、バーニー・サンダースさんが支持されるか?という分析ばかりしていたからです。


にもかかわらず、正直言ってトランプさんが大統領になったあと少しの間、ずん、と落ち込んでしまったんですよね。たぶん演説を聞いて、ヒラリーさんに感情移入していたんでしょうが、僕がふれる情報空間で、日本語で見る限りトランプさんを支持する人ってほぼ皆無で、それで「ヒラリーさんの価値観が正しい!そうあるべきだ!!」という部族的な思い込みが自分の心を支配していたのだな、と今から振り返ると分析できます。この過程を通して、自分の中にどういう価値感があって、現実には政治において経済において何を支持するのかが、だいぶわかった気がするので、自分的振り返りにとてもよかった。

トランプがはじめた21世紀の南北戦争: アメリカ大統領選2016


僕はアメリカに行く前、オバマさんやヒラリーさんの演説を聞くようになる前まで、


1)アメリカの基礎を全体的に総覧して、古きタイプの共和党支持(リンカーンのころの)


2)経済政策的には、ビジネスマンの人生を選んだ自分としては徹底的な現実主義者なので、基本的に小さな政府、グローバリズム支持


でした。


ただし、オバマ政権の多様性を認めようと苦しむアメリカの姿は僕の胸にうち、なによりも、アメリカで暮らす限り日本人の僕もマイノリティになりますし、子供やディスアビリティにとても優しく、偏見を乗り越えようと意思する姿勢に、たぶん打たれたんですよね。まぁ僕は、西海岸の大都市に住んでいましたのでとてもリベラルな場所ですよね。ああ、アメリカは美しい国だな、とても思いました。アメリカで経営者をしていたので、雇用で、超エリートから本当に安い給料のワーカーまで面接で採用やレイオフを繰り返して話を聞いていた中で、さまざまな人種の人々に出会ったというのも大きいと思います。日本人の中年男性だけでほとんど構成される日本の大企業ではありえない経験でしたし。その果てに、オバマさんやヒラリーさんの理想的かつ、多様性の文脈対狂する理想主義的な姿勢に、やられちゃったんですね。もう感動しちゃって。


なので、


3)文化政策的には、自分の個人史からリベラリズム支持で、多様性文脈の支持。


なんですが、、、、、



ここで、ちょっと、違和感があったんです。



なぜならば、僕はトランプさんの、あの極端な演説をたくさん聞いていて、意外に肯定的だったんですよね。道徳的には、ありえないと頭で判断するんですが、どうもそれで否定するのや嫌悪するのは、自分の腑に落ちない。どうも、トランプさんを認めている感じが出てきた最初からするんですよね。僕自身も、日本人の中年男性で、日本に戻れば、アメリカでいう白人中年男性と同じ既得権益者なので、そういう視点で、トランプさんのマッチョイズムが実は心の奥底で、賛成なのかな?とも考えたんですが、ヒラリーさんへの尋常じゃないシンパシー(演説聴いていた何度も泣きました)があるので、心から女性初の大統領になってほしいと信じている感じなので、どうもそれも違うかな?と。実際、トランプさんが選ばれた時には、物凄い感情的に凹んでしまいましたし。


そう考えている時に、僕がなんで、歴史を勉強している時に、アメリカでいうと、GOP(共和党)で支持者なんだと感じていたのかを振り返ってみました。歴史を紐解くと、リンカーンのころの共和党は、工業志向(といっても保護貿易になるんですが)で、奴隷解放支持なんですよね。これを言い換えれば、多様性文脈の支持なんです。僕の基本の理念もここがだいぶ近いのです。僕は中道路線の現実主義者なので、「小さな政府」志向ではありますが、ティーパーティーやテッドクルーズ、ポールライアンらのような極端な最右翼の保守ではありません。なので、自由貿易と資本主義を主軸と据えながら、その機軸の元で、バランスを取る形で、大きな政府が志向されて多様性を維持拡大するというのが、僕の思う現実路線なんです。そして、ここが重要なのですが、「大きな政府による多様性の維持拡大」を軸にしながらも、「小さな政府」への「政府権力の縮小」が努力され続けるというのが、僕にとって理想の政治なんですよ。


アメリカは普通の国になるのかしら?
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20121108


なので、極端すぎて受け付けられないティーパーティーなどの志向や日本でいう橋本大阪府元知事などに、一定の評価とシンパシーを感じるのは、多様性文脈の元で「既得権益化したアンシャレジーム」への攻撃と解体を志向するものは、正義に見えるんですね。かといって、もっと広い目で見ると、ベースは、多様性の維持拡大が土台にあるので、全面支持はすることができない。そういう矛盾する感じになるんですよ。僕は青春時代を1980-2000くらいに過ごしているので、国家が大きくなりすぎてその既得権益を解体しないといけないという新自由主義サッチャリズムレーガノミクスが時代的な正しさの文脈を持つ時代に過ごしているので、基本的に「既得権益に守られている集団」に対しての疑わしさ、拒否感が強くあります。かといって、この時代はまだまだ国家も強い時代なので、保護主義的なものや国の権力集中への懐疑もあって、綱引きがある時代なんですよね。いつの時代もそうですが。


この感覚って、たぶん先進国の庶民の中産階級の感覚と重なるのではないのか?と僕は思います。


いってみれば、経済的にはグローバリズム資本主義は認めるけど、アナーキズム万歳(ウルトラ小さな政府)は否定する中道路線で、文化的にも極端にリベラルになりすぎない保守を目指す中道。


ようは、中道のバランスしているところがいいわけです。基本的には、資本主義とグローバリズムは基盤として肯定、もちろん多様性文脈とリベラリズムも肯定。でも、行き過ぎないで、ゆるやかに進んでほしい。これ中産階級既得権益者からすると、正しい判断だと思うんですよ。だって、自分が生きているうちに、ものすごく極端にリベラリズムが進んで、道徳的に自分が受け入れられない世界になるのは、少しやだけれども、でもまぁ孫の世代にはそれが普通になるんだろうなーとか。30-50年単位でグローバリズムが進んで、仕事を変えたり、凄い努力をして自分自身を変えていかなければならない競争の中で生きなきゃいけないのわかっているけど、「今すぐ」自分のもっている既得権益をいきなり奪われるのは、納得できないし、そもそもしんどすぎる。そんな長期的には、「やるしかねえな!」と思うけど、短期的に一気に進むのは受け入れられない。。。。


けれども、オバマ大統領の8年間は、両方とも行き過ぎたんだと思います。経済的には、グローバル経済が進み過ぎました。リベラリズムも、目に見えて進みました(深刻な差別はまだたくさんあるけど)。


そして、ヒラリー・クリントンさんと民主党が選んだ道は、明らかに民意に反していた。それは、バーニー・サンダースさん率いるプログレッシブ(民主党内の左派)に寄り過ぎたんだと思うのです。要は進んだ、リベラリズムを、もっと進ませろ!という意見に進んだ。


また同時に、共和党も民意に反していました。ティーパーティーや宗教右翼は、行きすぎなんです。なので、テッド・クルーズやマルコ・ルビオでは話にならないんです。彼らは、グローバリズムが野放しになって、明らかに格差拡大の問題などは、そのまま進んでしまいます。


その中で、唯一民意が求める、経済政策的には「大きな政府」を軸とする中道政策を志向して、文化的には「保守」を志向するというものを、はっきりと体現したのは、ドナルド・トランプさんだったのです。


この民意を、はっきりと示す方法は、2つです。


1)世界のグローバリズムを推し進めるインターナショナリズム的な資本の論理にアメリカのナショナリズムをぶつける!


イギリスでは、はっきりとブリクジットという形が出ています。


もう一つは、


2)行き過ぎたリベラリズムを許容しない強固な姿勢を見せつけること、アメリカ的な文脈では渡辺さんが指摘する「ヒルビリー」に代表される、忘れ去られ取り残された声なき層を、それがリベラリズムに反することであっても無視しないで捨てない!と言い続けること!!


この文脈に沿えば、トランプさんの行動は、まさにまんまです。


明らかに、トランプさんの言説は、文化的には保守だけど、経済的には中道な感じがします。彼の様々なスタイルをFDR(フランクリン・デラノ・ルーズベルト)になぞらえる人が多くいますが、まさに僕もそうだと思うのです。個人的には、メキシコの壁建設というのは、ケインズ政策的な考え方であれを、ニューディール政策だと考えると、ありなんじゃないか?とすら思っています。また、いまの保護貿易の姿勢は、グローバリズムの名のもとに現在のエスタブリッシュメント既得権益者が、アメリカ国内の基盤(いってみれば雇用と年収)であった中産階級の利益を世界に薄めて均質化させた(=グローバル化)わけで、その分を奪い返そうというのは、とても民意に沿っていると思います。


もちろんここは道徳的に凄く問題で、前からずっと話題にしているように、地球規模での富の標準化は、すなわち地球規模での格差、発展途上国と先進国の格差を埋めるもので、SFでいうところの北の先進国と南の発展途上国との人類最終戦争を回避する重要なポイントでした。これは、インドと中国がテイクオフしたおかげで、現在はほぼなくなる構造的な対立になってきました。


しかしながら、その分だけ、国境の中での貧富の差は拡大しました。それは、ナショナリズムの名のもとに、国境線で差別を肯定してきたからですよね。これはアメリカの移民において、「先に到着した移民が偉いのか?」問題(僕が勝手に言っています(笑))と同じであり、経済学における重要な争点と同じです。平等という語が持つ二つの概念、「富の平等」と「機会の平等」のどちらをもって平等とするか?ということです。なぜならば資本主義を認めると、能力の格差が年収の格差になってしまうからです。これを全面否定したのが、共産主義なんですが、そうするとどうも人類が停滞するというのもがっきりわかってきました。ようは、才能ある人に、富を使わせた方が、圧倒的に効率よく生産性高くイノヴェーションを生み出して、結果的に全体のパイが上がるというのは、もう経験的にわかっていることなんです。なので、才能ある人をどう遇するのか?、またそれに漏れてしまった人をどうするのか?、また親の財産がある人はそれだけスタート地点がよくなって機会の平等の理念違反する部分をどうするのか?という部分は、各国の歴史的堆積や文化的土壌に左右される選択です。話がそれたのですが、この国境線を超えて貧富の格差が減っていくこと(グローバリゼーション)に対して、ゆり戻そうというのがナショナリズムの復興です。とはいえ、本当にグローバリズムを壊してしまえば、世界中にリンクされている経済システムが崩壊するので、自国にも不利益が来ます。特に、中規模のシンガポールやオランダ(EUが解体すれば)韓国、日本などといった国は、これにより大打撃を受けます。けど、なのでなかなかナショナリズムに戻ろうと単独で人類のトレンドを動かす力がはなかったんですが、、、、アメリカはできるんですね。そこは、さすが大陸国家、自国ですべての経済が完結できるだけの力を持つ国で、シェールガスによって(僕はオバマ大統領のアメリカにとっての歴史的偉業は、これだと思うんですよね)エネルギー政策に左右されないので、中東を見捨てることができます。なので、オバマ政権の後継政権としては、それを自然に一歩進めているだけなんですよ。センセーショナルな行動をしていますが、本質的には、基本に忠実かつ彼を選んだ明にに忠実なふるまいだと思います。



こういった過程で、民意に反していきすぎる党や大マスコミなどのエスタブリッシュメントに対して敵対的でコントロールされないという文脈はすごく大事です。なぜならば、高度成長でも起きない限り、既得権益のうまみを解体して奪うしか方法がないからです。この場合は、大きな政府志向で、現状から飛躍しすぎたリベラルが持つ権益を奪う形になります。リベラル自体にとっては、これは「現状は理想とは程遠い」のに、さらに差別を進めるのか!という反論になりますが、そろそろ、奪われるメインストリームの中産階級からしても、我慢ができない水準になりつつあるんだろうと思います。その場合は、既得権栄の権化になっているマスコミと政治は対立するんですよ。


ただ、ナショナリズムの選択は、リソースの配分を志向するわけであって、パイそのものが増えないという現実を見極めている形になるわけです。それを誰に振り分けるかの話なんで、まさに政治なんですよね。


ヒルビリーという言い方は、その象徴であって、ようは大きな政府の志向から除外される人々をターゲットにするということになるはずです。この場合は、中産階級の解体によってこぼれ落ちる人です。



でも、成長がない世界で、リソースの奪い合いをすれば、それは停滞にしかなりません。



さて、では、貧困と無教養の連鎖による停滞と、内部の分裂を打ち破る方法は、歴史上一つしか答えがありません。これが3つ目の視点なんですが、


それは経済成長です。


ようは、オバマさんが追及し、ヒラリーさんが間違いなく継承するはずだったグローバリズムによる経済成長路線、アメリカの帝国維持による自由貿易体制の維持による経済成長ではない、他の方法は?ということ。


ここは、彼の法人税減税など、アメリカが技術のイノベーションで世界の先導者としての機能を取り戻す、もっと機能するためには、何が必要なのか?は、今後注目される部分です。ちなみに、先ほど書きましたが、文化的に保守で語ったほうが、偉大なアメリカ(技術により人類を変える)を取り戻すのは近い可能性があります。小さな政府志向で、規制や管理、弱者への手厚い保護を排除して、才能ある人に自由に暴走させた方が、人類が先に進みやすいのは、過去の歴史が証明しています。(まぁ、それでいいのか?とか、いつもそうじゃない!ということは言えるので荒い議論ですが)。


なので、まずは「誰に富を配分するのか?」の政策が、進んでいますね。トランプ政権下では。


ポリティカル・コレクトネスでもリベラルでも、「こうあることが道徳・倫理的にあるべき姿だ」という議論は、お金に余裕があるところでしか成り立ちません。これからのアメリカが、民主党共和党のような指導者が、党が、答えなければいけないのは、白人中年男性労働者階級の「アメリカの繁栄から取り残された白人」に代表される何かに答えなければいけないとすると、それは何か?それは、職と富とプライドを取り戻すことです。端的にそこがグローバリズムによって、失われているのが大問題なのですから。「誰の手に取り戻すか?」というと、ドナルド・トランプさんは、はっきり対象を定めています。それは、アメリカ人に取り戻す、といっています。日本人でも、中国人でもアラブ人でもなく、「アメリカ人」にです。それが、アメリカ・ファーストという、ナショナリズムへの回帰です。これが重要なのは、正当な「アメリカ人」には、ヒスパニックも女性も、全て包括されるんです。トランプさんの言説には、二重の差別があって、


(1)内政:アメリカ人には、不法移民と合法移民がいて、不法移民はアメリカ人じゃない!


(2)外交:アメリカ人以外に対して、はっきり区別をする。特に中東諸国などアメリカの国益と関係ない地域、価値観を共有しない国は無視する。


差別をはっきり打ち出すことは、逆にいうと、身内にとても優しいということでもあります。これは、縁故資本主義という言い方で批判されていますが、トランプ・ファミリーの価値観そのままです。「家族」の絆が何にもまして優先されています。この身内のアメリカ人というのは、民族的なものではありえません。それが白人を代表してしまうように見えますが、アメリカ人の定義がない以上、それに限りません。なので、射程は、決して短くないんです。トランプさん自体も、凄い矛盾の人で、移民に対して差別的に見えますし、女性に差別的に見えますが、移民の奥さん、長男を押しのけてイヴァンカさんを重用するように、明らかな能力主義者ですよね。三浦さんの本で、彼が実力主義であるにもかかわらず身内に優しいことを注目していますが、これって本質だと思うのです。逆にいうと、こういう中小企業のオヤジ的なタイプは、縁故以外には、凄まじく冷たく攻撃的になります。

「トランプ時代」の新世界秩序(潮新書)


ようは、自分がアメリカ人として、受益できると思えるかどうか?が重要になります。トランプさんの感じる身内とは何か?。


つまり、トランプさんが実行しようとする経済政策によって恩恵を受けるであろうと想定される人々であれば、彼の支持をするんです。


そして、トランプさんの経済政策は、全候補者の中で、唯一のものでした。それは、保守的なレトリックを使いながらとても中道でした。


これは、保守的なレトリック(共和党的)でありながら、経済政策の主軸は(民主党的)ということで、共和、民主両党の候補が、絶対にできないことでした。今回の選挙は、バーニー・サンダースさんとトランプさんが主人公だったと僕は思うのですが、民主党は、自身の基盤であるマイノリティに答えるために、もっと左派に振れろ!というプログレッシブな意見に偏り切れませんでした。僕から見ても、サンダースさんの社会民主主義的な思想は極端すぎて、偏り過ぎだと思いました。民主党の予備選を勝ち抜くために、ヒラリー・クリントンさんが、左派によって行ってしまったのも、今回の敗因の一つだと思います。民主党の支持基盤的には、共和党議会で機能しないオバマ政権よりもさらに過激に左によるのは重要なことでしたが、それによって、流動の少し右側にいる層を完全にとりこぼしてしまいました。なのでヒラリーさんの敗因は、彼女自身にあるというのではなく、民主党自体が抱えた構造的な問題だったと思います。


ちなみに、共和党自体が、トランプさんにハイジャックされた形になったのは、共和党自体もティーパーティーのような最右翼に支持基盤が寄り過ぎて、中道の経済政策がとれなくなっているのでスタックしたためだと思います。渡辺さんが、コーク一族の話をされていて、僕は全然知らなかったので、凄い面白かったのですが、トランプさんの支持された理由は、文化的に保守の文脈を肯定し、経済政策的には大きな政府に寄りがちな中道というものなんですが、これがなぜ民主党共和党の各候補の中からだれも出てこなかったかといえば、コーク一族などに代表される党のエスタブリッシュメント既得権益層が許さなかったからなんですよね。なので、サンダースさんとトランプさんへの熱狂的な支持は、まずもってフリーハンドを得ているポジショニングにもあったと思います。


Dark Money: The Hidden History of the Billionaires Behind the Rise of the Radical Right


というようなことを考えていくと、彼が選ばれたのは、非常に納得できる構造が隠れていたな、と今では思うのです。



次に問われるのは、これを本当に実行できるか?ということです。



アメリカとしては、これを実行できるだけの戦略リソースは十分にあるので、可能です。ただ、できるかは、わからない。



もう一つは、10-30年単位で、人類がこれによっていい方向に向かえるかどうか?です。アメリカとしては、自分以外の地域がめちゃくちゃでもまぁかまわないという選択肢ですが、それによってアメリカが影響を受けないかどうかは、まだわかりません。



いやはや、興味深いです。人類の動向は。



それに、アメリカは分裂と統合を繰り返す振り子のような歴史なので、この分裂へ全力でひた走る政策の中で、今後どのような統合原理が逆に働いてくるかが、見ものだと思います。