北海道大学准教授の渡辺将人さん。この人の視点は、いつも安定感があっていい。

もし中間選挙民主党が勝利したら、一番困るのは民主党かもしれない
北海道大学准教授
渡辺 将人
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58275?fbclid=IwAR3uLcJ4pX3xy45osjnZvlDvyNIYmLL78bPuyp3Tosuk1TDVyl_h9zo4DFU

ひさしぶりに、渡辺さんの記事を見た。やっぱりこの人は、選挙の現場の経験者だけあって、視点が深い。後、アメリカウオッチャーとして学問的に、ちゃんと全体像が見えている感じがして、意見を聞いていて安定感がある。特に、渡辺さんの過去の業績を知っていると、下記のポイントはさらっと語られているが鋭い視点だと思う。

アイデンティティ政治」と不可分の集票
リラの主張は、民主党の政治家やスタッフなど「現場」には理想論に過ぎないと受け止められている現実もある。それはアメリカの選挙政治が「アイデンティティ政治」と選挙上、既に不可分の関係にあるからだ。
アメリカの政党は伝統的にエスニック集団を選挙民として重視してきた。候補者とコミュニティとのリエゾン行為を「エスニック・アウトリーチ」と呼び、選挙過程のみならず議員の日常的選挙区対応においても定着している。

とりわけ民主党内ではマイノリティ層をどれだけ取り込めるかが支持基盤固めの優先課題だ。民族意識、人種意識にアピールし、各集団が政治的影響力を拡大するインセンティブを引き出す「取引」でもある。
つまり、アメリカの選挙政治は「アイデンティティ政治」と表裏一体で発展してきた。 選挙政治の周辺にいた集団を次々と選挙に参加させることを通じて, アメリカ政治の民主化を促進することに貢献したことも事実だ。
また、1970年代以降の地方政党組織の衰退、郊外化、人口動態変化のほか、政党ではなく候補者が自前で選挙運営をする「候補者中心選挙」などアメリカ特有の政治変動への適応でもあった。
しかし、対立とイデオロギー的分極化の増幅という副作用があった。

中略

「このままでは民主党は、サンダースの社会主義か、アイデンティティ政治か、しかなくなる。少し負けるぐらいが、党の方針を反省する気運にはちょうどいい」と小声で話すリラの同調者の民主党スタッフもいる。

渡辺将人さんの記事は、安定感があって、深い分析を感じる。