『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』 迫井政行監督 時雨沢恵一原作 コンプレックスから逃げ出して、逃げ出した先で成長して、というのは成長物語の王道ですよね。

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客観評価:★★★★4つ
(僕的主観:★★★★4つ)

ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン、けっこうはまってみています。スピンアウト作品は、どうしてもオリジナルと比較ししまいがちですが、全く別の作品と考えていいんじゃないかな、と思います。世界観はシェアードワールドになっていますが、全く違う作品だと思うべきで、また僕的な評価でスピンオフで設定や世界観がシェアされていながら、異なる作品に見えるものは、たいていいい作品が多いと思います。時間的には、第3回BoB(バレット・オブバレッツ)後で、キリトとシノンの共闘を見たガンマニアの小説家(時雨沢恵一さん)が自分のお金を出すとスポンサーシップを名乗り出て、チーム戦の「スクワッド・ジャム」が始まったというのが背景の設定です。ちなみに、現実でも、ガンマニアの時雨沢恵一さんが、設定を気に入ってこのスピンオフ作品を書いたというのなど、背景はほとんど同じ構造ですね。こういう粋というか、気合でなされた作品は、素晴らしいですよね、こだわりを随所に感じて熱意に支えられていて、とても楽しいですよね。世界観は、ソードアート・オンラインの第2期「ファントム・バレット編」を見ていると、共有されているものなので、わかりやすくなると思いますが、まぁ見ても見なくてもどっちでもいいと思います。ちなみに、最近ネットフリックスやアマゾンプライムで、アニメを一気に見るとことが多いのですが、たくさんの選択肢があると、第一話だけで(最初の10分だけで)もうこれが駄作なのか、そうでないのかってかなりはっきりわかってしまいますよね。それで決めつけるのは、そういう早すぎる見切りは、あまりよくないとしても、見続けてもしんどいものと、思わずやめられなくて深夜や朝になってしまうような、止められないテンポを持つものもたくさんあります。少なくとも、SAOという大傑作と何の関係もなくとも、このアニメは、物語は、素晴らしく面白いので、超おすすめです。

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小比類巻香蓮(こひるいまきかれん)という180センチを超える身長の女子大生が、自分の身長に悩んでいて、なかなか自分に自信が持てなくて、北海道から東京に出てきても友達もできなくて、そこで何かを変えたくてゲームの世界にチャレンジます。そこで、彼女は、レン(Llenn)という小さくてかわいらしい女の子になって、ゲームの世界で、あまたいるプレイヤーたちを狩る殺戮者、プレイヤーキラーになります(笑)。コンプレックスから逃げ出して、逃げ出した先で成長して、というのは成長物語の王道ですよね。見ていて、ストレートにはいれるシンプルなストーリーで、重火器もマニアックなんだけど、マニアックさにおぼれていないので、僕のような、さっぱりの素人でも、見てて気持ちよくテンポが進む。これ、脚本がそもそもいいですね。小説のオリジナルも読んでみたくなりました。重さは違うものの、これファントム・バレット編のシノンの動機とほぼ同じですね。現実世界で満たされない、居場所がないと感じるときに、オルタナティブな選択肢を探して「今とは全然違う世界」で「全然違う自分になる」。これはさまざまに料理ができる動機の物語類型で、とても汎用性が高いですね。成長物語にもできるし、逃げ出した先でさらにひどいことになる悲劇や告発型の物語にもできるし、いろいろ考えようがある。

ゲームウォーズ(上) (SB文庫)

こうした動機は万国時代を問わない人間の原初的欲望ですが、それをゲームの世界という異世界で人生をやり直すというのは、いかにも日本的な発想ですよね。転送だとなろう系の小説とかで『無職転生異世界行ったら本気だす』とか『本好きの下剋上 〜司書になるためには手段を選んでいられません〜』とか思い出しますねぇ。

無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

もちろん、アメリカにもスピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』(原題: Ready Player One)のアーネスト・クラインの小説『ゲームウォーズ』という原作とか、いろいろありますが、ゲームの世界に入り込む、出てこれなくてデスゲームのバトルロワイヤルによる脱出劇、状況によっては転生ですでに現実世界にも出れないなどのテイストは、日本のサブカルチャーに蓄積されている感性ですよね。この辺は、たくさん読み込んで各国比較と化すると面白そうな気がします。僕はほとんどゲームはしませんが、アメリカでの子供では「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」とかにドはまりしているケースが多いですね。だから、ガンゲイル・オンラインのほうが、何となく日本よりも、グローバルな感じがします。うーやってみたいけど、さすがにゲームをする時間まではない。。。



それにしても、SAOの持つ物語世界のインフラストラクチャーの深さと広さを思い知る感じです。本編だけでも、超大河ドラマ的な作品なのに、スピンオフ系も、どれもすごくよくて、いやーほんと素晴らしい。

僕はガンマニアではないんですが、こういうの見ているとドキドキしちゃいますよね。

https://ja.wikipedia.org/wiki/FN_P90


たしかに、Pちゃん、かわいいかも、、、。


ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインI ―スクワッド・ジャム― (電撃文庫)

ちなみに最近気づいたのですが、比村奇石さんの漫画版7巻で終わりなんですね。残念。彼の漫画、とても好きだったのに。僕の中ではスピンオフ系では比村奇石さんの『ソードアート・オンライン プログレッシブ』と冬川基さんの『とある科学の超電磁砲』は、めっちゃ好きで追っていたのでほんとうに残念。

ソードアート・オンライン プログレッシブ7 (電撃コミックスNEXT)