『戦前の大金持ち』 出口治明著  ロールモデルを探せば、日本にも実際にはたくさんいるんだってことが、よくわかった! 

戦前の大金持ち (小学館新書)

客観評価:★★★★★5つ
(僕的主観:★★★★★5つ)


出口治明さんの新著。素晴らしい着眼点で、とても感心した。本、特に新書には「時」というものがあると思う。なぜ、そのテーマの本をわざわざ出すのか?。そういう文脈が、ズバッっと、大きなレベルで感じさせる本は、とてもテーマ性を持った素晴らしい本だと思う。そういう意味では、本書の、いま、この時に出すという着眼点の鋭さは、素晴らしいと思う。


「日本にもジョブズゲイツがゴロゴロいた!」


と帯にあるが、この視点がとても深く興味深い。というのは、これはいzつ関して出口治明さんが語ってきたこと、また彼が人生で現在、大学の学長という教育機関を選んでいることと強く結びついているように思えます。その文脈で見ると、この視点は、非常に鋭い。


どういう文脈で僕がこの本をとらえたかというと、


仮に日本(世界でもいい)をよくしよう!、と考えた時に、どうすればよくなるだろうか?


それは、人の意識を変えなければいけない。


たくさんの人の意識を高めるには、そのためには、教育しかない。


けど、教育において、、、、言い換えれば人が「変わる」ためには、成長するためには、何が一番重要か?


それは、ロールモデル=身近なお手本


けど、現在の日本には、それが見当たらないようにみえる。というのは、日本の問題点は、高度成長期のシステムがアンシャンレジームとして、老害になっていることがほとんどの原点なので、そうすると、大人にモデルを探すのはすごく難しい。いやむしろ、日本人は、そういうのはできないんじゃないか、という無力感さえ感じる。




というなかに、日本の歴史を見ると、そういうロールモデル足りうる人は、たくさんいたんだ!と具体的に見せることは、凄く、まさに今の文脈!という感じがする。この文脈なければ、そんな古臭い人で、かつ現代に三井、三菱のような財閥として名を残していないのに、見る意味があるのか?というように思っ手今う。けど、「この文脈」、現在の案者レジームに固まった、新しい価値をゼロから創造しなければいけない、混とんとした先の見えないカオスの時代で、それで「どう具体的に行きますか?」のモデルが見れることは、計り知れない価値がある。


僕も、人が変わるのに一番大事なことは、ロールモデル(目も前や近くにいる手本となる人)が目の前にいることだと思っています。


僕も長年やろうと思っていたことを習慣づけようとしてなかなかできなかったことが、出口さんに「僕はこうしているよ」と言われて、それですぐできるようになりました。具体的には、長年挑戦しようとしてたハードカバーの難しめの本を読むことなんですが、いま特に仕事や生活に影響を与えず、着実に読めている。1日1時間読む時間をとるだけなんですが…(苦笑)。でも、目の前に、それを実際にやって、高みまで到達した人をまじかで見ると「ああ、出来て当然なんだ」というような、妥協を排した納得感が生まれるんですよね。なので、目の前に具体的で、自分に近くないとダメなんですね。だから、ジョブスとか言われても、ピンとこない。けど、日本人で、ああ、大倉さんか、、、それ、ホテルオークラ作った人とかわかると、おうっ!とかなるんですよね。もちろん一番いいのは目の前にいることなんですが、それでも社会にモデルと提示する意味は計り知れない。戦前の日本は、アメリカ型の資本主義社会なので、アメリカにとても似ているんですよね。だから、発想も型破りで創造的でおかしくないんです。そこで、戦前の資本主義がアメリカ型に展開していた日本において、まさにジョブスやイーロンマスクのような新しいことに驀進して挑戦して展開していく資本主義の鬼のような生き方をした人が、たくさんいて、ほら日本にもこういう人はたくさんいたじゃないか、できないはずはない、と見せることは、今まさに価値があることだと思うんですよね。というか、こんなにゴロゴロいたのか、読んでいて感心しました。また出口さんのそれらの型破りなお金持ちたちへの評価が素晴らしかった。というのは、凄いやさしい人のように見えて、彼は、数字・ファクト・ロジックの権化でかつ大局的な歴史で見る視点が、実は「すごくクールで乾いた」ものだと僕は思うのですが、その視点がさっぱりしていて、本当にいい。武器商人から一大財閥を築いた大倉喜八郎孫文辛亥革命パトロンとして支えた梅屋庄吉、パリで「蕩尽王・バロン薩摩」として名を馳せた薩摩治郎八などなど、生き方がぶっ飛んでる。


革命をプロデュースした日本人

大倉喜八郎の豪快なる生涯 (草思社文庫)

「バロン・サツマ」と呼ばれた男―薩摩治郎八とその時代


2012.11.6
日本の将来は明るい!そう考えられる根拠とは
https://diamond.jp/articles/-/27421

2016.6.3
世界はデータで見れば明らかに良い方向へ向かっている
https://diamond.jp/articles/-/92345

2014.10.28
6割の人が「日本の未来は暗い」――日本人は日本の将来像をどのように描いているのか
https://diamond.jp/articles/-/61187


僕は、ロールモデルの一人として、出口治明さんをとても尊敬しています。というかぶっちゃけ、口で軽々しく尊敬している!というのではなくて、もうひたすら本読みこんで、生活習慣変えて、あの「高み」に追い付けるよう頑張ると、日々努力しています。この辺の意見も影響受けまくりです。もう脳内のマッスルメモリーを鍛えるために、何度も何度も読み込んでいます。イヤーほんと、出口さんの引き出しのけた外れの大きさは、もー腰が抜けます。アーこんな人がいてくれてよかった!と日々思う毎日です。

日本の未来を考えよう


ちなみに、戦前の商人を追うのは、僕は物語を分析するうえで重要なファクターだと思っています。栗本薫さんが、グインサーガで、個人が活躍できなくなる、英雄が英雄でなくなる時代のぎりぎり近世ぐらいをグインサーガの舞台にしていますが、この語、英雄は英雄たり得なくなっていく、解体の時代が物語には訪れます。しかし、ではそんな資本主義社会の中で、セカイを変えよう!と野望を持つときに、どんなkyらくたーがありうるかといえば、それは商人だろうと思うのです。ああ、そういえば、そういうのを、僕は批評で書いていったけ。いやはや、追及が足りないなー自分。もっともっと勉強しなきゃ!。そう思う最近です。


『雄気堂々』 上巻 城山三郎尊皇攘夷と開国の狭間で
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20081013/p1


雄気堂々〈上〉 (新潮文庫)


いやー読書最高だぜ!!!!