「心の問題をアダルトチルドレン的にセンシティヴに読み解いていく」時代の終わりとしての『SSSS.GRIDMAN』

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シロクマ (id:p_shirokuma)さんや海燕さんが反応してくださって、なんだか久しぶりに、はてな村的な楽しさを感じました。

ブログというメディアには利点が幾つもあるけれども、ひとまとりの意見が読めること、それとリンクを張ることで意見のネットワークみたいなものが作れるところだと思う。
 
今回、アニメをよく愛好してらっしゃるペトロニウスさんが『GRIDMAN』について面白いことをリンク先で書いていたので、重複をおそれず、自分の『GRIDMAN』観を書きとめたくなった。


『GRIDMAN』を平成オタの葬送として眺めた

こういうの、いつも思うのですが、いいよなぁ、と思うんですよね。ブログの良さ。ツイッターのコメント等は、「いいね」「だめだ!」の感情の好悪を、どちらにせよ捨てセリフ的に表現するのはできるのですが、それって、気持ち的な支持か不支持かということ以上の意味を感じないんですよね。というのは「どれだけちゃんと買いたいことを理解してくれているか?」とか「相手がどれだけ自分の頭で塊として意見を持っているか?」とか、コミュニケーションの濃密さが、ツイッターだとほとんどわからないし、要は捨て台詞の敷居が低くて、よかったか悪かったか?という感情の好悪以上の情報交換以上に発展しない感じがするんですよね。ツイッターは、あまり信用ならん(笑)。楽しいんだけどね。で、いつも、昔のはてな村的な雰囲気とかよかったなーと、おっさん回顧しちゃうんですよねぇ。


とはいえ、そもそもブログメディアの旬というか、アーリーアダプターが高い意識もってやる時期は過ぎたとおもうので、もう、こういう面白さ(ブログ同士で意見のネットワークがつながって、考察みたいのが深堀されていく感じ)はほとんどないよなーと思っています。なんというか、そういう時期は過ぎたのであって、もう戻ることは、よほど新しいテクノロジーとか出てこない限り、昔に戻ろうことはないよなぁと、おもっえいるので、懐かしむというか、「そういう良い時代もありました」ぐらいでいました。まぁ、僕は趣味で書いてて、それ以上は、蛇足というか余技というか、別に読んでもらう必要もないぐらいなので、あまり気にせず、コツコツ書き続けるてて(もう10年以上コンスタントに書いているし)、昔の方がよかったとは思いません。あまり、そういうコミュニケーションの楽しさに依存すると、続かなくなるので、僕はただただこつこつアウトプット出せること自体に喜びを見出そうと、おもってはいます。。。


とはいえ、時々、こういう共時的に、話がつながったり盛り上がったりすると、やっぱり楽しいなーとしみじみ思います。自分が、それにこたえるだけの余裕と時間があることが前提なんですけどね(笑)。というか、ちょっとびっくり。シロクマさんは、ずーーーーーーーーーーーと、それこそ、10年近く、さすがだなーと、横目でちらちらブログ面白いので見ていた方なので、まさか取り合えげてもらえるとは、驚いたんですよねー。めちゃめちゃうれしいですねー。あまり考えたことがなかったですが、同じ40代のアニメ好きに当たるんだなーと、いまさらながら、そうかー同士はいるんだなー(笑)、となんだかうれしくなってしまいました。40代になっても、僕もますます盛んになりこそすれ、めちゃアニメ見てますんで。しかも語っちゃうし(笑)。


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ちなみに、関連ないんですが、↑上の記事素晴らしかったー。



さて前回の記事は、ベジータ問題という言い方で、罪と罰の構造について話したんですが、実際には、僕自身のメインの感想は、「古臭さ」と「新しさ」の違いはどこにあるんだろう?というものでした。しかも、凄い同感なんですが、僕も、最終話の最後の10分は、爆笑とまでいかなかったですが、ニヤニヤ笑ってしまいました。というのは、これ『エヴァンゲリオン劇場版 まごころを君に』のアスカにキモイといわれたり、観客を映し出したりする、受け手の心の問題に対して切り込んでくる手法と同じだと思うのですが、当時、あんなに、心を揺さぶったテーマが、なんか、半笑いしちゃうような感じがして、、、ああ、受け手の受け取り方は、凄い変わったんだなーとしみじみしたんです。その問題がなくなったわけではないのですが、いまさらその話蒸し返しても、、、という意味の半笑いです。

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これには、「世代的にもうそんなものは受けてはいない」という世代的な受け手全般を語るポイントと、自分自身が40台になって大人になって責任ある立場になると、いちいちこんな心の問題みたいな、そんな暇あれば仕事しろよ(もしくは、遊べ!)という回答以外考慮しなくなった心のおっさん化というか磨滅化問題(笑)、と組み合わせであるとは思うんですが、にしても、既に「心の問題をアダルトチルドレン的にセンシティヴに読み解いていく」ことに対して、世代的(2019年の今の空気)と自分自身(40代のおっさんの自分)の両方ともに、古典的で、古臭い、と笑い飛ばしてしまう感受性があるんだなーと思ったんですよね。まさに、シロクマさんのタイトルは、素晴らしくそこを射抜いている。『GRIDMAN』を平成オタの葬送として眺めた、という。平成30年も今年で終わるのですが、その中心にあった感性が、既に終わりを告げているのだなーと、しみじみ思ったんです。エヴァンゲリオンの新劇場版の評価で、あのアダルトチルドレンのシンジ君が、心の問題ではなく、ちゃんと行為に足を踏み出しいかなきゃだめだというラインで再構成されている、とかつての僕は書きました。でも、だからといって、そのころでは、まだ、この古典的テーマを見て、苦笑したり、古すぎて、、、、というような感慨はなかったと思うんですよねぇ。でも、2019年の今は、はっきりと、あーこれは、古いなと思うんですよ。


petronius.hatenablog.com


もちろん、そもそも論として、アニメーションや物語を見るときに、「スタイル」というか中身の皮の意匠を見るか?、それとも脚本の評価をするか(文脈を読むか?)という、「読み方・見方の違い」というのはあると思うんです。どっちが、正しい見方というわけでもないんですよね。文脈読みをしがちな、僕のようなおっさんは。いかにも文脈的な、少し引いて観るがかっこいいふうに語りますが、それはまったくちがいます。シロクマさんは、のど越しさわやかというような言い方をされていますが、キャラクターがかわいいから、雰囲気がきれいだから見たい、で十分なんだろうと思います。というか、そもそも、本来は、中高生向けのレンジの物語を、それでも40とか超えて見続けるというのですから、どうしても「見方にひねり」が入ってしまうのは致し方がない(笑)のであって、エンターテイメントの消費は、それが楽しいか楽しくないかで、もちろんいいんですよね。ただ、文脈を読むというような見方「も」あるよ、という感じ。



ここで語られている町山氏の映画評論的なものが「サブカル的な愛好家」の視聴スタイルであり、ここでいう「メッチャ作中だけが作品世界なのダみたいな若いころの純血主義」のほうが私のルーツに近いと感じる。


『GRIDMAN』を平成オタの葬送として眺めた


ここでシロクマさんやmatakimikaがおっしゃっている視点は、なるほどなーと思いました。僕は、こういう文脈読み、メタ的に眺める、作品同士の関連性を強くこだわる見方をする人なんですが・・・・同時に、作品単体に集中して、その世界を具体的にこだわって積み上げて評価する友人のLDさんやルイさんらの分析というか見方がとても尊敬するというか、かっこいいと思ってきたんですが、どっちの楽しみ方もできると、さらにおいしいよね、という感じなんですが、どちらにもよさと悪さがあるんですよね。メタ的に作品を外から眺めると、作品自体とは関係ないところに話が行ってしまいやすい。かといって個別具体論だけをテーマにすると、好きか嫌いとか解釈の幅が狭くなってしまったり、、、。どっちもできるような、人間になりたいと思う今日この頃です。


でも、こうした見方がハイブリッドに複雑に教育された消費者・受け手(要はお年寄り(笑)?)からすると、どうしても、いろいろ考えちゃう(笑)。その辺のモヤモヤを、いろいろ考察しながら、読み解けると、それはそれも面白いかなぁと思うのです。この作品の「座りの悪さ」は、やっぱり文脈で考えると古典的なテーマをやっているのに、しかしながら、テーマの消化としては、「心の問題」に対して、めちゃくちゃ後退しているし、本気で対峙していないんだと思うんですよね。いや、それが悪いというのではなくて、「そういうもの」について、全く重きを置いていない。なので、アカネちゃんの救済問題は、いや、全然救われてないし、なにがポイントで彼女の心の中の翻意(=現実に帰ろう!と突然言い出す)も丁寧に語られない。けど、それは、そもそも「このアニメーションのイシューではないので、考慮しません」とした潔さが、いやいや、最後観ててあっぱれって思ったんですよね(笑)。なので、テーマ読みする傾向のある僕としては、最悪点をつけてもいいはずなのに、凄い評価高く楽しめてしまった。こういうアニメが、2019年(平成30年)に、出てくるというのは、ああ、一時代が終わったんだなーとしみじみさせました。



sakasakaykhm.hatenablog.com

tyoshiki.hatenadiary.com


この辺の話も、とても面白かった。他の人の受け取り方がわかると、作品が一粒で二度おいしい感じになるので、いいですねー。ちなみに、海燕さんも長文記事を書いてくれたんですが、僕、アメリカに住んでいるので、ヘブンズフィール見る方法が限られてて、まだわからんですー。早く見たい、、、、。日本のアニメも時々上映があるんだけど、けっこう期間と場所が限定されちゃうんだよなー。ベジータ問題は、別にこの作品に限らず、物語類型としては、重要なものなので、今後も色々な評価で出てくると思いますので、コツコツ検討しましょうかー。僕も、つい最近LDさんに教えてもらって、おお、こういうのがあるかーと思ったものなので。


とはいえ、ひさびさに「みんなといっしょに考える」「つながる」お祭りみたいなものを感じて、楽しかったです。取り上げてくださったシロクマ (id:p_shirokuma)さんや海燕さんらに感謝を。