平和的なデモのやり方

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2020/6/3の水曜日。 先週の25日にミネアポリスでGeorge Floydさんが殺されてから、10日ぐらい過ぎているのに、全米ではプロテストの勢いは増すばかり。2017年のミズーリ州のマイケルブラウン事件(ファガーソン事件)の時は、ロサンゼルスのダウンタウンだけでデモで、ほんの1日でなくなったのに比べると、オレンジカウンティ(すごい裕福な地域が多いのであまりこういうのはない)にも広がり、ロサンゼルスではいまだ夜間外出禁止令(Curfew)のままだ。友人が、銃を売っているお店に長蛇の列が出ていて怖いとテキストを打ってきたり、まだまだ拡大する雰囲気を見せている。着地点が見いだせるとは思えないので、どこかで鎮静化するとは思うものの、なぜこれほどまでに怒りが、そしてプロテストが、大きく深く広がるのかは、日本人の自分からするとやはり不思議な感じがするので、いい機会なので追ってみたい。また、こうした大きな出来事を経て、どのような「構造的なもの」が、今後の未来に残るのかも、考えたい。


朝のニュースは、NBCのTodayを見ているのですが、そこでやっていたニュースが、感心した。


というのは、ここ数日、プロテストが広がり、“プロテスター”(protesters)、“ルーター”(looters)、“ヴァンダリズム”(vandalism)など区別がつかなくなり、そもそものGeorge Floydさん殺害への抗議という性格から、ただの暴動に変化している感じがして、この無秩序のエスカレートに対して、トランプ大統領が「アンティファ(Antifa)」という暴力肯定の急進的左翼集団が秩序を破壊して回っているというレッテルを張りつけました。これは、なんというかマーケティング(世の中の雰囲気への嗅覚)がうまいトランプ大統領らしく、戦術的にはうまい!と驚きました。ようは、共産主義とか無政府主義者的な、特に保守派のアメリカ人がアレルギーがある感情を揺さぶるのにとてもいいレッテルなんですよね。背景には、


リベラル勢力の理念のためならば手段を選ばない暴力性に対する人々の嫌悪


暴動(=結果)だけを映像で見ている我々には、George Floyd protestが抗議活動なのか、秩序の破壊活動なのか区別がつかない


という現象に対して、この出来事は、「アンティファ(Antifa)」が行っている陰謀なんだ!という、「敵を指定する」という行為なわけです。この背景を後押しすると、その言い分の正当性も、ある一面ではウソではないので、なるほど、と受け入れる人はたくさんいると思います。というか、僕自身は納得できないのですが、SNSTwitter、ニュースを見ていると、この意見が強く後押しされて支持されているのが少なくとも僕には感じられます。この辺の、リベラル勢力の極端への暴走に対する世の中の嫌悪感を、トランプ大統領は、とてもよく読み取って、自信の支持層への影響力を保持するのがうまいようにいつも思います。民主党支持者やリベラル勢力には、暴動を煽るようにしか見えないツイートも、共和党支持者や保守層、右翼などトランプさんの支持者にとっては、無政府主義者の秩序破壊テロに対する正当な反撃、治安維持活動に見えると思うんですよね。僕は、そうは思えないですが、そういう感触を見ていると、とても感じます。クオモさんも注意喚起していますね。

しかし、実際の反応はこういう感じですよね。こわい、、、。




じゃあ、どうするか?



www.youtube.com

www.christiantoday.com

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Police officers kneel to pray with George Floyd protesters


このポストトゥルースの世論誘導に対抗するには、暴動自体を止めないといけないわけですが、実際にそれは物凄く難しい。言われているように、抗議活動の暴動の主体は、複雑に入り乱れていて、誰がコントロールしているというわけではないからです。


でも、ああ、鮮やかだなぁ、と思ったことがいくつかありました。上記にあるように、膝をついて祈る姿勢を示すというやつです。何がうまいかって「こういう姿勢だと暴動が起こしにくい」からなんですよね。きっと、キング牧師のころからの伝統的に積み上げられてきた「暴力と憎しみが吹き荒れるさなかで、抗議行動のデモ、行進を行う」知恵が蓄積されているんだろうなというのが見てて、感心しました。それと、警官が呼びかけて、行進自体の中に入っていくということをしていて、それがどんどん広がりつつあります。これは警官と黒人の「分断」の問題なわけで、その主体が、「入り乱れて」更新すると、暴力や無秩序をエスカレートさせようとしても、しにくくなるからです。


というような平和的なデモの更新のやり方に対する具体的な知恵がどんどん出されて、それがどんどん広まっていく。今日の朝の、NBCのニュースは、この平和的なデモ行動が、全米ですごい勢いで広がっているさまが報道されていました。もちろん変更的な報道(NBCはリベラル寄りなので)な側面もあるでしょうが、起きている現象に、どんどん対応していこうとする、無力ではなく「具体的な方法」を編み出して、行動に移している多くのアメリカ人たちがいて、いやぁ凄いなぁ、と思いました。やはり知恵は大事ですよね。暴力が吹き荒れる中で、非暴力を貫きながら、しかし現在の権力に従わないなんて言う離れ業が、それでもあるんだなぁ、人類は凄いなぁと思います。この辺の歴史や背景を知りたい人は、映画『グローリー』をおすすめします。

https://twitter.com/RexChapman/status/1268379338019418113?s=20


グローリー/明日への行進(字幕版)


どうでもいいことですが、僕はやはりリベラルサイドにどちらかというとシンパシーがあるので、できれば、FOXとかでニュースを見たいなぁと(全体がどうなっているのか知りたいので)思うのですが、なかなか忙しくて時間がないのが、しんどいです。



ちなみに、この事件を通して「未来に何が残るのか?」というのは、短く考えると、やはり大統領選挙ですが、コロナウィルスのことと合わせて、中央集権的な大統領の権限の拡大問題が、大きいんだろうなぁと思います。ようは、暴動を抑制するために、連邦軍を動かしたいとか、州政府へのコントロールを増やすことに、意図しているかどうかはともかく、トランプさんの行動はなるわけです。しかし、州権の強いアメリカでは、ローカルな暴動に、連邦軍連邦政府が介入するのは、とても難しい。こういうの、Stay-at-home-orderや経済の再開(ロックダウン御解除権限)などが、いったいどういう基準で、誰が決めて、現実になるのかというのは、この件が大きく影響すると思うのです。今度は、この辺も追うってみたいなぁと思います。

www.afpbb.com



www.usatoday.com


www.today.com


そういえば、このさなかで、Fergusonの市長に、Ella Jones という黒人の女性が選ばれたことが報道されていました。ああ、そうやって、少しづつ、世界かわっていくんだなぁとしみじみ感じました。やはりこの事件では、ファガーソン事件をとても連想させるので。

www.cnn.com

Ella Jones was elected as the first black and first female mayor of Ferguson, Missouri, on Tuesday, nearly six years after protests erupted in response to the 2014 death of Michael Brown after being shot by a white police officer.
June 3, 2020

www.npr.org


こういうのをリアルタイムで追っていると、興味深いです。