批評:Movie(USA)

『モアナと伝説の海(Moana)』(2016 USA) 監督ロン・クレメンツ/ジョン・マスカー 私は本当は何者かというテーマは神話的な抽象度の高い問いになりやすく、かなりの傑作だけど、僕にはいまいちだった

評価:★★★★★星5つ (僕的主観:★★★☆星3つ)■私は本当は何者か、というテーマは神話的な抽象度の高い問いになりやすい、、、、なかなかの傑作だけど、僕にはいまいちだったウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオによる56作目の長編映画。監督ロン…

『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命(英題:Jackie)』(2016 USA)Pablo Larraín監督 キャメロットという夢の日々〜理想主義は結局、何ももたらさない不安がある

評価:★★★★4つ (僕的主観:★★★★4つ) ■物語としては面白くないが、映画の完成度は高い 一言でいうと、物語として面白くない。しかし、映画としての完成度は高い。第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ、いわゆるJFKの業績…

『SING/シング(英題:Sing)』(2016 USA)監督ガース・ジェニングス  物語を見るよりは音楽を聴く映画なのだが、それを邪魔しないスムーズな脚本は見事

評価:★★★★4つ (僕的主観:★★★★4つ)素晴らしくよかった。歌のオーディション形式で、さまざまな洋楽(アメリカの歌謡曲が多い)がでてくるので、洋楽をたくさん知っている人であると、あの曲が!というような連想と懐メロの懐かしさなど、面白さが何倍も…

『インフェルノ (Inferno)』 米国2016 Ronald Howard監督 世界が滅びるかもしれない!と煽るよりは、滅びた後の方を見たいと思ってしまうのはSF好きだからなのだろうか?

評価:★★★☆3つ半 (僕的主観:★★★3つ)ダンブラウンさんは、大ファンなんですが、映像化は、どれもいまいちなんですよねぇ。小説の方が、ダントツに面白い。けれども、たぶん、小説は複雑すぎて、脚本がすっきりできないんだろうと思うんですよね。でも、…

『ローグ・ワン(原題:Rogue One: A Star Wars Story)』 (2016 米国) Gareth Edwards監督 いま僕らはスターウォーズ・サーガが歴史になっていくその瞬間を見ていることになる!

評価:★★★★★星5つマスターピース (僕的主観:★★★★★5つ) 見ている最中、見終わった後、その傑作さに、しびれました。スターウォーズシリーズ最高傑作ぐらい言われていますが、いや本当に、とてもじゃないけどスピンオフの小作品的位置づけとは思えない、…

『Zootopia ズートピア』(2016米国) 監督 Byron Howard Rich Moore 現代アメリカのリベラリズムの到達地点とオバマ政権への反動への警鐘

評価:★★★★★星5つマスターピース (僕的主観:★★★★★5つ) 素晴らしいとは聞いていたけれども、飛行機の中で見たのですが、最初の10分ぐらいで号泣していました(笑)。僕は、届かない理想に全力で頑張る姿が、とても胸に来るようなんですね。この作品を…

『The Martian(2015USA)』  Directed by Ridley Scott Based on by Andy Weir  古き良き古典SFの文脈を受け継ぐ科学至上主義と楽観主義

評価:★★★★★星5つ (僕的主観:★★★★★5つ)デルタの飛行機の中で見たんですが、素晴らしい出来でした。自分が着目した点は二つ。一つは、この作品を楽しむには、かなりの科学に対する知識が必要ということ。特に小説の方が、淡々と描かれているのに顕著だっ…

『STAR WARS: THE FORCE AWAKENS』(2015USA) J.J. Abrams監督  現代的かつアメリカ的な映画としてのDisneyの新しいスターウォーズ

評価:★★★★★星5つ (僕的主観:★★★★★5つ)■物語三昧の評価は、条件留保なしで、これは傑作だと思います!1977年の『スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望』(STAR WARS EPISODE Ⅳ A NEW HOPE)公開から、実に38年。2012年10月にウォルト・ディズニー…

『Straight Outta Compton(2015 USA)』 F. Gary Gray監督 African-American現代史の傑作〜アメリカの黒人はどのように生きているか?

評価:★★★★★星5つ (僕的主観:★★★★★5つ)■黒人初のバラクオバマ政権発足後のアメリカ社会の静かなる変容ノラネコさんが、African-American現代史の文脈で強くお薦めされたので、これはいけなければと思って無理に時間を作って見にいきました。日本ではこ…

ディズニーの変化からアメリカの変化の文脈を読み取る

まず価値観の多様化、あるいは価値相対主義というものが、アメリカのカルチャーを大きく変えたということがあります。要因としては、911からイラク戦争へという時代の中で、アメリカ人自身が善悪二元論の限界にようやく気づいたこと、更に善悪二元論では飽き…

『Lee Daniels The Butler/大統領の執事の涙(2013 USA)』  アメリカの人種解放闘争史をベースに80年でまったく異なる国に変貌したアメリカの現代史クロニクルを描く

評価:★★★★★星5つ (僕的主観:★★★★★5つ) ■アメリカの人種解放闘争をベースに80年でまったく異なる国に変貌しアメリカの現代史を描く『Lee daniels the butler(2013USA))』 邦題『大統領の執事の涙』 を見ました。アイゼンハワーからレーガンまでの7人…

『それでも夜は明ける/12 Years a Slave(2014 USA)』 Steve McQueen監督 John Ridley脚本 主観体験型物語の傑作

評価:★★★★★plusα星5つ傑作 (僕的主観:★★★★★plusα5つ) 2014年米アカデミー賞の作品賞。鑑賞後傑作だ、と絞るようにうめき出しそうなほど魂が震える傑作。鑑賞後、魂が揺さぶられて、自分の知っていた世界が揺らいでしまうような感覚を味わうことは、な…

『FROZEN(アナと雪の女王)』(2013USA) Jennifer Michelle Lee脚本監督 Chris Buck監督  無垢さが世界と世界から排除されるものを救うのか?

評価:★★★★★星5つ (僕的主観:★★★★★5つ) まず第一に最終評価の結論を、いいます。この作品は、脚本の構造や解釈以前に、その音楽や歌や映像が、あまりに素晴らしい大傑作なので、見る価値ありまくりの大傑作★5つです!。なので、そこは僕は特に触れませ…

『ROME』 米HBO 英BBC共同制作 人はミクロの次元で生きることが、人らしいのであろうか?

評価:★★★★★星5つマスターピース (僕的主観:★★★★★5つplusα)米HBOと英BBC共同制作はいいものが多い。2001年に共同制作した『バンドオブブラザース』は掛け値なしの傑作だった。この『ROME』もそうだが、ドラマにはその国の文化や世界観というか、生…

『ハンガー・ゲーム2/The Hunger Games:Catching Fire』 Francis Lawrence Director  現代アメリカをカリカチャライズした物語〜日本的バトルロワイヤルの文脈とは異なる文脈で

評価:★★★★星4つ (僕的主観:★★★★plusα4つ)スーザン・コリンズの同名ベストセラー小説を原作とするジュブナイル小説の映画化第二弾。前作は、日本では興行成績が振るわなかったり、あまり評価の高いレヴューは見ないようなのだが、僕は非常に安定した秀…

『47 Ronin』 監督Carl Erik Rinsch 2013年 米国 ファンタジーにしきれなかったところが、だめな点かも

客観:★★☆星2つ半 (僕的主観:★★★星3つ)これは、売れないだろうな、という感じだった(苦笑)。何がダメかって言うと、2点。1つ目は、ファンタジーにしきれなかったこと。最初と最後のドラゴンとのバトルは、なかなか洋風のファンタジーファンタジーして…

『終戦のエンペラー』 監督ピーター・ウェーバー 日米同盟の基礎となる歴史認識の再確認

評価:★★★☆星3つ半 (僕的主観:★★★★☆4つ半)非常に面白かった…が、出来はどうかというと、エンターテイメントとしては、いまいちだった。一つは全体の構想に関わることだが、なぜ連合国、特に最前線のアメリカ軍人が、天皇を断罪せずに、日本の再建を意図…

ウルヴァリンSAMURAI

なんじゃ、こりゃ(笑)

『リンカーン(Lincoln 2012 米国)』  Steven Spielberg監督 アメリカにおいて憲法修正はどのようになされたのか?

飛行機の中で見たのだが、まずはっきり言って、それなりのアメリカの知識がないと、何が語られているかはほとんどわからないだろう。それに、非常に通好みというか、アメリカ人に向けて作っているものなので、さらに輪をかけてわからないだろうと思う。いわ…

『フライト』(Flight 2012 米国) 監督Robert Zemeckis 主演Denzel Washington 「つじつま合わせの積み重ね」が暴露され告発される時

評価:★★★★☆星4つ半 (僕的主観:★★★★4つ)真実は、人を癒す。朝いきなり場面は、ナディーン・ベラスケス(Nadine Velazquez)のフルヌードではじまって、度胆を抜かれた。そのあまりのナイスバディに、目が離せなくなってしまった(笑)。プエルトリコ系…

『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(Life of Pi)2012年アメリカ アン・リー(李安)監督 人間の内面の中に宇宙を見ること

評価:★★★★☆星4つ半 (僕的主観:★★★★4つ)台湾の監督アンリーによる異色の映画。宣伝や売り方が、まるで内容と一致していないところが、見終わってみると笑いを誘う。しかし、この内容で、売れる形に仕上げ、なおかつもともとの原作が持っていたであろう…

『ゼロ・ダーク・サーティ』(Zero Dark Thirty 2012 USA) Kathryn Ann Bigelow監督 アメリカが掲げた対テロ戦争という大きな物語の終幕の一つ

評価:★★★★★星5つ (僕的主観:★★★★☆4つ半)■全体の感想〜同時代史の立場からアメリカの今を告発する物語全体の評価としては、見る人は選ぶな、と思いました。僕は、見にいって大正解の傑作(自分の鼻の良さには感心!)だと思いましたが、痛快無比なアク…

Paperman - Full Animated Short Film

素晴らしいクオリティ。&それだけでなく、物語もいいなー。

『ヘルプ 』(原題: The Help) 2011 テイト・テイラー監督

評価:★★★☆星3つ半 (僕的主観:★★★☆3つ半) ■内在化された物語をわかりやすくすると「単独視点の物語」になるけど、現実は絡まった物語なんだな非常に面白かった。アメリカ・ウッチャーの視点で、なるほどと思った部分がこれを見ていてあった。これまで、…

『ダークナイトライジング(The Dark Knight Rises 2012)』 Christopher Nolan監督 局地的な終末論の果ての「希望」を描く物語

評価:★★★★★星5つのマスターピース (僕的主観:★★★★★5つプラスα)■根拠のない絶対悪の物語の袋小路について〜“市民”の物語上のプライオリティが低いことこの作品について、前作の『ダークナイト(2008)』と比較して、ダメになった的な発言は多いのではな…

『アメイジング・スパイダーマン 』 マーク・ウェブ監督 アンドリュー・ガーフィールド主演 久々のハリウッド映画らしいエンターテイメント

評価:★★★★★星5つ (僕的主観:★★★☆3つ半)久しぶりに、主観と客観の評価がアンバランス。一言でいうと、このリメイク作品は、主人公スパイダーマンの青春物語、ということだ。妻と一緒に見に行ったが、えらく感動していた。そして僕も、久しぶりに感じる…

『J・エドガー』(J. Edgar 2011年 米国) クリント・イーストウッド監督 誰が本当に国を守ったのか?

評価:★★★★☆星4つ半 (僕的主観:★★★★4つ)FBIを作り上げた伝説の長官、エドガー・フーバー。その伝記映画。僕は、彼について、それほど知識がないので、知識的な面から解説するアプローチはできない。なので、まずこの作品を見ている時に自分の中で持…

『ヒックとドラゴン』(原題: How to Train Your Dragon)』 ディーン・デュボア クリス・サンダース監督 エンターテイメントを外さない善悪二元論の克服としては到達点の脚本

評価:★★★★★5つ (僕的主観:★★★★★5つ)■とにかく飛行シーンが素晴らしい! 素晴らしいアニメーションだった。脚本、映像、演出どれをとっても超がつく一流で、ノラネコさんが絶賛するだけあるレベルだった。大人も子供も年齢を関係なく感動ができる水準で…

『The Young Victoriaヴィクトリア女王/世紀の愛(2009米英合作)』 監督:ジャン=マルク・バレ 女性が自立するためには、男性の良き理解者が必要・・・・なの?

評価:★★★星3つ (僕的主観:★★★3つ)一言でいうと、描きたかったのはヴィクトリアという少女が、世界最大の帝国の君主として「自立していく様」を描きたかった、、、のだろうけれども、僕はずっと、彼女の一番の選択眼は、夫をアルバートに選んだことなん…

『The Blind SIde/しあわせの隠れ場所(2010米)』 ジョン・リー・ハンコック監督、サンドラ・ブロック主演

評価:★★★☆3つ半 (僕的主観:★★★★4つ) とてもいい映画だった。2009年にアメリカン・フットボールのプロ選手になったマイケル・オアー選手の実話を映画化した作品。原作はマイケル・ルイスの『ブラインド・サイド アメフトがもたらした奇蹟』だそう。…