『はじめての課長』 酒井譲著 中間管理職としてどう振る舞うべきか?

はじめての課長の教科書はじめての課長の教科書
酒井穣

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部下は育てるな!  取り替えろ! !   Try Not to Develop Your Staff (光文社ペーパーバックス)部下は育てるな! 取り替えろ! ! Try Not to Develop Your Staff (光文社ペーパーバックス)
長野 慶太

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『部下は育てるな! 取り替えろ! ! Try Not to Develop Your Staff』を、先日何人かの後輩に紹介した時に、一人その中でも一番人間的に人から愛されるタイプの後輩が、タイトルを見ただけで、とても強く拒否反応を示したんですね。僕は彼をある意味とても信用していて、僕のようなプロジェクト志向ではないのだけれども、非常にまっとうな成長の階段を上がっていて、その分物足りなくもあるけれども、こういうきちっと正しい段階を踏んで成長する人は、人のに愛されて育つので、実は僕やその他のシャープ(ある意味頭の回転が速くポリティカルな)な後輩よりも、出世のではないかな?とかいつも思っている。基本的にはあるシゴトの水準を超えて、かつ正しいルートに乗っている人は、逆に無理をしない方がいいというような気がするのだ。大企業特有の発想かな?。


僕は、いいな!とおもったら、とにかく断言やいい切りで、世界に情報を発信してみて「その帰ってくいた反照」で世界との距離を計ろうとします。いちいち理論をちゃんと完成させるまで待つほど余裕がないので、シゴトの打ち手以外は、それでいいと思うんですよ。話し合いながら物事を深めればいいわけなんで。まーだから僕の物言いはてきとーなんで、あまり信用しないでください(笑)。


おっと話がずれた。それでね、普通の人は、見事にこのタイトルを嫌うようなのですね。また内容はさすがに読むと、なかなかかいいと思うらしいのですが・・・どうも反面教師というか、素直に認められないようなのです。これって、一言で言うと個人主義的なプロフェッショナリズムを追求している本で、、、だから作者も10年勤めた三井銀行をあっさりやめて転職を繰り返し、独立に至っています。ちなみにこういうビジネス書は、内容だけではなく、その人のバックグランドや、経歴がすごく重要だと僕は思う。何を『正しい』としてその手法を書いているかがわかるので。だからなんというか、シゴトにたいしての姿勢が、プロジェクト至上主義とでもいうか、いかに「そのシゴト」が正しく合理的にできるか?達成できるか?というアソシエーショニズムに貫かれている気がします。でも、これって共同体主義が色濃く残る日本の会社、、、とりわけ大組織ではとても反発を生むシゴトのやり方なんですよね。だから、作者の長野慶太さんも、焚書という書き方をしている。


さて、そこで昨日思わず軽く酒井穣氏の『はじめての課長』という本を読んでいて、これはが逆にあまりに見事にでオーソドックスな日本的シゴトのやり方を描かれていて、たぶん実際の上司や周りの中間管理職に、マジでシゴトを相談したら、確実にかえってきそうな、非常にオーソドックス(=王道・正統的という意味で)なものでした。プロフェッショナリズム志向が強い僕から見ると、下記の抜粋した部分、たとえば「できない社員にこそ時間をかけ、できる仕事を探してやらせるべきだ」とか、ものすごく感情的に反発してしまいますが、しかし、、、たしかに日本の会社では、この方が圧倒的に正しい感じがする。実際に、実務をするときに、それが建前の振る舞いだけだとしてもこういう風に演出して努力している姿勢は、僕は明らかにとっている。口で公言することと、実際にやる、ということはバランスが伴うので、別のことだからだ。口で激しいことを言っても、激しいことをするだけでは、その激しいことが目的とするその『結果・成果』が出ないければ意味がないので、最終目的のためには、姿勢は臨機応変に帰るというのが正しさだと僕は思う

こんな仕事のしかた、あなたはどう思いますか?


・ 部下の失敗は、経営陣に報告しない。
・ 予算立案では、コストは多めに、売上は少なめに見積もる。
・ できるかぎり、すべての部下に高い評価を与える。
・ 課長は、部下の「成果」ではなく「モティベーション」を管理する。
・ できない社員にこそ時間をかけ、できる仕事を探してやらせるべきだ。

一見、ビジネスの常識に反するように思える項目もありますが、これらはすべて
「デキる中間管理職の行動原則」です。


本書は「日本初(そしておそらく世界初)の中間管理職の入門書」です。
マネジメントやリーダーシップには多くの良書がありますが、中間管理職に向けた書籍は今までほとんどありませんでした。
それは、欧米のマネジメント理論は、組織を「経営者vs従業員」の構図で捉える中で発達してきたものだからです。
しかし、多くの日本の組織はそうした構図では語りきれません。


中間管理職は日本企業独自の「強み」です。


ですから欧米発のマネジメント理論では説明しきれない役割があり、独自のスキルが必要になるのです。 今までそれは仕事の中から学ぶものでしたが、ここにはじめて1冊の入門書としてまとまりました。
中間管理職の中でも「課長の仕事」は、他の中間管理職の仕事よりも難しく、かつ重要です。
課長は組織の「情報」と「人」を活性化するキーとなるポジションだからです。
「課長の仕事」は、課長になってからできるようになればいいものではありません。


「課長の仕事」を引き受けることができる人材であることが証明できなければ、課長に昇進することはできないのです。


現在、課長として活躍されている方、課長に任命されたばかりの方、そして、
いつか課長になりたいと考えている方に、ぜひ読んでいただきたい1冊です。<本書のもくじ>
第1章 課長とは何か?
第2章 課長の8つの基本スキル
第3章 課長が巻き込まれる3つの非合理なゲーム
第4章 避けることができない9つの問題
第5章 課長のキャリア戦略http://www.amazon.co.jp/%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%AE%E8%AA%B2%E9%95%B7%E3%81%AE%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8-%E9%85%92%E4%BA%95%E7%A9%A3/dp/4887596146/ref=pd_ybh_6?pf_rd_p=74287706&pf_rd_s=center-2&pf_rd_t=1501&pf_rd_i=ybh&pf_rd_m=AN1VRQENFRJN5&pf_rd_r=1HKZSYGSE76SJCAGCS8X

ただ、日本の会社の問題点は、ホワイトカラー(事務職)の生産性がとてもわるいので、こういった共同体的管理技術が横行することが、ほんとうにいいことなのか?という疑問はある。が、、、しかし、確かにここで書かれていることは、いま僕が、海外の欧米系の会社でされているマネジメントスキルの実務を見ていても、それほど変わらない気がする。中間管理職・・・・トップとボトムにはさまれて、現実に直面して、物事を執行するときには、どうしてもこの辺の配慮は必要になるからだ。マネジメント理論は、そのほとんどが欧米からの輸入概念で、体系という意味では、かなり色濃く欧米の社会構造がベースになっており、そういう意味では「ここ」の中間管理職という、現場指揮官レベルでの理論が非常に薄いというのは正しいと思うのだ。ここはもう少し追求するべきだな、と思う。えっとつまりは、欧米系のマネジメント理論は、その対象が「トップマネジメント」を暗黙の前提にしていて、オペレーションレベルをすごく無視・軽視しやすいのですよね。


とはいえ、こういう現実手な者は、なかなか読み物(=抽象的な理念)としては、うーむという物足りなさを感じてしまうのだが、逆にだからこそオーソドックスな実用書なのかもな?と思った。こういう基礎が十分にできた上で、プロフェショナリズムへ進まないと、チームから、組織で生きることから外れて個人主義に行き着きそうな気がするのだ。それではだめだ。なぜならば、僕の目的は個人主義の一匹狼ではなくて、大組織を動かすことだから。ふとそんなことを思った。