215時間目:始動!現実世界帰還作戦!!〜世界を救うことと世界を滅ぼすことはものごとの裏表


世に溢れる漫画やアニメ、ゲームの中にはフェイトのように「世界を救う」為に事件を起こす悪役達が結構居ます。
それが必ずしも主人公達が平和に暮らす世界とは限らず、戦う事になる訳ですが。
彼等は彼らなりの信念があって目的を果たそうとしていたのが大概だったりします。
幾つか例を挙げてみると・・・、
機動武闘伝Gガンダム」の東方不敗が、地球環境破壊の原因が人間にあるとしてそれを排除しようとしたり、
「テイルズ・オブ・ファンタジア」のダオスが、母星デリス・カーラーンを救う為に人間達と対峙したり、
「テイルズ・オブ・デスティニー」のイレーヌが、「差別のない世界」を作る為に一度世界を無に帰す計画に加担したり、
「テイルズ・オブ・ジ・アビス」のヴァンが、預言(スコア)に依存する世界を変える為にレプリカ(複製人間)によって預言に左右されない新たな世界を作る「レプリカ計画」を画策したり・・・。
ってテイルズばっかりじゃん!(^^;
とまぁ、一方にとって世界を滅ぼされかねない事も、もう一方からしてみれば世界を救う事となる場合もあるのです。
先の超戦を例に挙げるまでもなくね(^^;
ただ、恐らくフェイトが言う「世界を救う。」もネギ達からしてみれば「世界を終わらせる」事かと思います。



カートゥン☆ワールド〜漫画の世界〜
http://cartoonworld.blog120.fc2.com/blog-entry-429.html

□世界を救うことと世界を滅ぼすことはものごとの裏表〜君は何に立脚して、世界を守ろうというのか?


僕は常々、物語のダイナミズムにおける類型として、二元論に否定的なコメントをよく書きます。けれども、それは善悪二元論に基づく敵の存在を描くことが、物語と感情移入にとってどれだけ破壊的に効果のあるものであるか重々承知して、その面白さを深く認識しているからでもあります。そう、大きな目的・・・・それも「正義かもしれない」という目的を抱える敵ってのは、圧倒的に魅力的なんですよ。悪を為してさえ成し遂げたい、理想というものがあるわけですから。人間の世界は、いつもこういう対立によるダイナミズムに満ちている。だって、超鈴音は凄く魅力的だったでしょう?。彼女の人格のベースとなる過去も、家族との人間関係も全く描かれていないのに僕らはとても感情移入した。それは「志」があるから。マクロの志。この世界に大きな正義を為そうと思いこむ、その意志力、そのある方向への強いエネルギーが、人に伝播するものなのです。それは、個人の関係性や日常をぶっ飛ばしてしまうような、芳紀に満ちた魅力を人に、人格に与えるものなのです。それは僕はある種の欠落・・・個人の人生としては、一人の人とのしての幸せとしては欠落でさえあると思うのですが、もうその志でけ、何回分もの人生が生きられるほど魅力的なのです。人間は、目的なしには生きられない生き物で、とりわけある種の人格類型にとっては、そういった「絶対性」が耐えられないと、無味乾燥な日常で急速に壊れて行ってしまうものなのです。逆に目的があると人生が耐えられない、という人も逆にいたりしますが(笑)。


にしても超編ですら、相当ヘヴィーに悩んだのに、うーむネギ君もこれから大変だねーと思います。・・・・責任を背負いこむ人というのは、立場や状況、実力に関わらず、責任を抱え込んでしむものなんですよね。そして愚直にバカみたいに抱え込むからこそ、それと真正面から戦い成長していく・・・・物事は、バカみたいに真面目に真正面から戦わないと、ちゃんと精神が成熟していかないものだからです。馬鹿みたいに抱え込んで、苦しんだその量の分だけほとの器は大きくなるものなんですよ、、、僕はそう信じています。斜に構えて距離をとったり、愚直に頑張って実力を超えて迷って苦しんでいる人間をさかしらに外部から批判するやつには、精神の成熟ということがいつまでも縁遠く、真の幸せを、喜びを知らないまま、無為に人生が終わっていくだけなんだよね。まぁ、そういう人生もたくさんあるんでしょうが、僕はごめんだな。


・・・ちなみに、この正義と悪という感情構造から感情移入を見るモノに誘い、にもかかわらず邪悪な敵だと思っていた相手さえ、別の正義を求める人間達であった、というドラマツゥルギーの類型は、成熟したエンターテイメントの世界では既に定番になりつつあるが、同時にこの類型は「何が正しいことかわからなくなってしまう」という読者のカタルシスを奪う部分があり、それが前衛的な高踏さを持つうちは良かったが、こう人口に膾炙されてくると、また時代的に大味の大きな物語への揺り戻しがあり、この類型で素晴らしい物語を語るというのはとても難しいのだ。だから、このような複雑な物語を描く作品は、僕はいつも注目する。どこに終わりを持ってくるのか?ってね。


160時間目「世界が平和でありますように」① 革命家は思想に殉じるべき
http://ameblo.jp/petronius/entry-10022483996.html

ネギま160時間目「世界が平和でありますように」② 全体と個人の対立という問題系と?
http://ameblo.jp/petronius/entry-10022913567.html

158時間目 『誰もが未来を背負っている!』 正しさを否定することは少年マンガの禁じ手
http://ameblo.jp/petronius/entry-10020653670.html



□マクロとミクロがリンクすること〜日常の人間関係を詳細に描くほど、その背後を規定するマクロが見たくなる僕の物語読みとしての性



海外出張で何がつらいって、リアルタイムでマガジンが買えないってことですよ、ええ。まーでも逆に、すぐ日数が立つので待たないで、あれいつの間にかもう発売している?みたいな感じも悪くないのですが(笑)。今週はね、、、、ええ、ええ、もう、鼻血ぶーですよ、まじで。ツクヨミのセリフ、、、


「もとより人の間では生きられぬ性なれば・・・・」
by ツクヨミ

からまるで『レットオクトーバーを追え』か『不思議の海のナディア』のノーチラス号を思わせるアリアドネーの特務潜空艦の登場シーンなんか、、、もう・・・・(感涙)。いやー学園都市とか言って、おきらくな脱がしあい競争をしているような小説話(=ユエ編のこと)があっても、このシーンでそれが持つ上での武力介入的な意味が一発で深まるんだよね。ユエたちの派遣が、小国による北の大国への武力による威圧外交の一種ということになるんだよね。あのね、そうなんだよ、ネギまのいいところは、すげー細かい日常の書き込みというか情報量から、いきなり抜けるようにマクロへ展開するこの感じが、僕はたまらないんだよね。僕は、30を過ぎたいい年をした大人ですが、それでもこうして長期間狂っていっれるってのは、もちろん、カタルシスを得るためのエンターテイメントの質やサービス精神が物凄いハイクオリティーに維持されているというのもあるんだけれども、それだけではない物語背景への、、、政治を含めたマクロの作り込みがあって、それを、製作者サイドがちゃんとキャラクターの腹に落とすような描写をしようと、、、言い換えれば「もしそこに自分がいたら、本当にどう感じるだろうか?」というのを、真摯に追求しているのがわかるからなんですよね。もちろん、物語でエンタメなんだから、それをわかりやすく、どの層にどういうふうに届けるか?どこでご都合主義的にかカタルシスを与えるかという計算のバランスと、深く悩んでいるのがよくわかる。そういうのって、、、、社会人で苦労している自分からすると、物語そのものだけではなく、ぐっと来ますね。職人的で。

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僕が愛する物語にはこの小さなミクロから一気にマクロに抜けて、また戻っていくダイナミックさがあるんだよね。昨今では、『コードギアス反逆のルルーシュ』もそう。もちろん、シーンとしての美しさやスケール感もあるんだけれども、このアリアドネーの巨大な兵器が登場しただけで、それまで人間関係のドラマ・・・・ネギの成長やアスナの苦悩とか、まぁ萌えとかそういったものから、自然にこの情景描写に入るだけで、この世界にある政治的な緊張状況が一気に挿入されるんだよね。わかる人には、このシーンだけで、軍を動かす規模やその他さまざまな政治的な緊張が頭に連想されちゃうはずなんだよね。こういうのが年寄りでマクロ好きの僕には、たまらんのですよ(笑)。

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ダイナミズム、って縦とか横とか、いろいろな角度があってマクロからミクロ・・・・つまり、マクロは、ようは政治状況や経済などの人間の手には届かないような大きな力で、ミクロは人間関係の関係性の中から生まれるドラマツゥルギーのことなんですが、これを僕は非日常VS日常とかに置き換えて、ズレている概念ではあるが、僕はほとんど同じ意味で使いますね。これのバランスがいい作品を、僕は評価したいといつも思っています。