TURN 10 『神虎 輝く 刻』〜インターナショナリズムの話を書くには、少し尺が足りない・・・

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うん、、、基本的に、僕は大枠のシナリオ自体は、特に文句はないんだ。個別の話も、ここまで見事なグランドデザインとキャラクター造形が描かれてしまうと、もう感情移入しているから、多少の演出の齟齬では特にダメだ、とは思わない。けど、、、この物語って、3層構造にわかれるはずで、


1)エリア11(日本)の植民地解放というナショナリズムの物語


2)3軸を中心とした地球統一のインターナショナリズムの物語


3)まだ謎だが、ブリタニア皇帝が語る神との戦い


という3層に分かれるのはなんとなく想像がつく。3)がどういう形で展開するのかは、まだ見えていないので、テキトーな思い込みですが・・・。3)のイメージは、SF的なもので、エヴァとかああいう話です。・・・でも、だとすると、全50話と考えても、1)日本の独立戦争というドラマが、R2(第二期)のTURN 8『百万 の キセキ』まで、つまりほぼ30話分も費やされているのは、観客を感情移入に誘い込むことや、そのあまりにいい出来からいっても、わからないでもないのだが・・・やはり冗長すぎたとしか思えない。


少なくとも、2)の途中までが、既に第一期で進んでいないと、尺がわないんだよねー。LDさんが、速度論で話していたのですが、、、このCODE GEASS Lelouch of the Rebellionという物語は、類型的なキャラクターや類型的なドラマツゥルギーを組み合わせまくって、観客に大量の情報を眩暈のするような情報圧縮で伝達するという手法をかなり意識的に展開しているが故に、早すぎてかつ類型的に見えて、見るモノに薄っぺらな印象を瞬間的には感じさせるが、実はその奥深さがじわじわと伝わり(本当は一発で伝わるのが理想)、熱狂的なファンを生み出しているのではないか?と思えるのですが・・・にしても、本論ではない1)であまりに時間をかけ過ぎた、と思うんですよね。


だから、2)へ移る話が、物凄く唐突で、かつ演出もこれまでの情報圧縮したものを立体的に見るモノに深く浸透させるような演出技術が、テクニカルな部分でうまくできていない。けっか、TURN8から少し??という印象がある。僕自身は、大枠では全く疑問がないので、脳内補完してしまうのですが、これは、、、やはり尺的にミスな気がするなー。戦略的にね・・・。個人的には、50話×2シーズンぐらいの尺を上げたかった、と思うが、オリジナルなんかまともに作らせてもらえない昨今のアニメ市場でよくぞここまで、という気もしないではないので、このへんが限界かな、という気もする。


でもまーインターナショナリズム、、、国家を超える呼びかけをするのに、あまりに尺が短すぎて・・・。これだけで、100話くらいかけてしまうよ・・・だって、ガンダム00がまさにそうだが、凄い尺でしょう?。それですら全然描けないのにさー。そうでなくとも、3つ以上の勢力によるドラマツルギーは非常にわかりにくいしなぁ・・・・。この短い描写とスピードでは、ブリタニア(ラウンズ)が参戦することの意味や、インド(ラクシャータの故郷なんだね!)やビルマやその他の諸国に呼びかけている合衆国構想の意味合いなんか、ぜんぜんつたわっていないだろうしなー。そもそも、こういう理念的な概念は、植民地解放闘争のような「わかりやすい物語」ではないので、そこに生きる人間の苦悩とか、リアルの細かい演出をしないと、全然観客に伝わらないと思うんだよなー。うーおしい。そこまで考えているのは、よくわかるんだが・・・。


でもまールルーシュが理詰めが全く通じない13歳の皇帝陛下は、なかなかGOODであった(笑)。シンクーの気持ちはよーわかるよ。うんうん。基本的に、天子・・・国の統治者を偶像化して、ある種の記号・・・それは「俺が守ってやらなければ!」という無力さを前提する非保護の対象に考えるのは、まぁ天皇制度を支える宗教的熱狂の基本なので、この感じはわかるなー(笑)。思わず忠節尽くしてしまいそうだよね、確かに。


ネットで大人気「眞子様萌え」! 宮内庁は困惑気味? 2008/6/15 9:00
http://netallica.yahoo.co.jp/news/37946

陛下たん
http://empress.12sai.org/index.php?FrontPage


こんな感じ?(笑)。これって、セキュラリゼーション(=世俗化)しているけれども、まさに天皇制の基本パターンの一つだと僕は思うなー。しかもこう表現されると非常にわかりやすすぎる(笑)。日本の小説でこの辺をよく追及したなーと思うのは、隆慶一郎さんだなー。この無垢なる天皇という素材は、なかなか普遍的で僕は興味深いと思っている。世俗化するととんでもない展開もするし(笑)。

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