復活の地〈3〉 (ハヤカワ文庫JA)
小川 一水
早川書房 2004-10
売り上げランキング : 91360
Amazonで詳しく見る by G-Tools
とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫 い) (ガガガ文庫 い 2-4)
森沢 晴行
小学館 2008-02-20
売り上げランキング : 259
Amazonで詳しく見る by G-Tools
■結ばれない愛の方が、精神性の深い結びつきを感じる・・・・・が?
この二つの作品の共通点は、ネタバレになってしまうのだが、主人公の男女が、最後まで結ばれなかった、という悲恋であるということが共通する。実際は、そのどちらも、お互いの人生を変え、歴史を変えてしまうほど、深く思いあって、心が通じているにもかかわらず、である。なまじっかな、ハッピーエンドでは、出せない味わいが出せるのもこの悲恋ものの特徴だなー。
でもね・・・シャーリーは死んじゃうし(ギアスの先週の話TURN 13『過去からの刺客』)、ルルーシュは、マヴラブのタケルのように、追い詰められ続けるし・・・なんか、ちょっと風邪っぽいし、凹みます。こういうのって、シンクロしてしまいますよね。
マブラヴオルタネイティヴ DVD-ROM版 リニューアルパッケージ
アージュ 2006-03-31
売り上げランキング :
Amazonで詳しく見る by G-Tools
コードギアス 反逆のルルーシュ R2 volume01
福山 潤, 水島大宙, 櫻井孝宏, ゆかな, 谷口悟朗
バンダイビジュアル 2008-08-22
売り上げランキング : 11
Amazonで詳しく見る by G-Tools
特に、ちょっと夜寝れない時に、この『復活の地』の3巻を読みなおしていて、、、、うーん、ここまで愛し合って魅かれているのに、ストイックに、一度片手で肩を抱いただけで、すべて「充分です・・・・」なんていう、スミルのセリフとか読んでいると、、、ぐっと来てしまうなー。それまでの過程を、ちゃんと深く胸に刻みながら時系列に読むと、このストイックさは、なんか胸に来る。小川一水は、ライトノベルライトノベルから出発した人だけに、読者サービス的な萌えガジェッドが多いのだけれども、どれもすべてが、ギリギリのストイックさで結ばれることがほとんどないんだよね。これは、作者の本質だろうなー。萌え的なガジットをたぶん出発点で強要されていたので嫌になったというのもあるのかもしれないが、、、ここまで同じパターンを描くと、彼にとって恋愛とは「そういうもの」が理想なのかもしれないなーと思う。
この方は、このままでもう、彼と結ばれているんだ。距離も身分も関係なく。
p466
スミルの微笑みを見た、彼女の侍女のセリフです。なんか、これ読んでいて胸いっぱいになった。
時々思うのですが、愛ってなんだろうなー?って思うんですよ。僕は愛を、日常の時間を共有すること・・・・いや、非日常の日常も、大きなアップダウンをすべてひっくるめて共有し続けていることこそ、愛だと思うんですが・・・・・・なんというか、うーむ、、、こういう愛を見ると、、、僕は、宮沢賢治の妹への愛をうたった詩を思い出します。永訣の朝 の「あめゆじゅとてちてけんじゃ」が、どうもねーリフレインするんですよねー。なんでかなー?。届かないものへの、切なさをうたっているからかなー。心が本質のところで深く結ばれている感じ、というのは肉体を確かに超えるんだよな・・・。けれども、肉体を通さない愛を愛だというのもおかしい気がするんだよね・・・・栗本薫が、ポルノ小説の連載『グランドクロスベイビー』を書いて、もうSEX描写ばかりなのに、すべて心の叫びの話になってしまって、やっぱりそういうものだな…とかいっていたのを思い出す。
・・・でも、僕がいっている愛は、個別性への執着であって、宗教的な意味での愛は、また別なんだよね・・・。
永訣の朝―宮沢賢治挽歌画集 宮沢 賢治 偕成社 1996-05 売り上げランキング : 358002 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ヴィンランド・サガ 6 (6) (アフタヌーンKC) 幸村 誠 講談社 2008-06-23 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
■素晴らしいSEXをすれば、革命やオタクなどというフラストレーションの代償行為は、霧散する
ちなみに基本的に愛や恋を描くときに、精神性と肉体性を非常に切り分けて二分する見方が、とっても近代から現代にかけて支配的な気がするなぁ。作家の村上龍さんが
素晴らしいSEXをすれば、革命やオタクなどというフラストレーションの代償行為は、霧散する
みたいなことをよく言うが、、、これは、彼がテニスを愛することと本質的には同じことを言っていて、肉体を通するコンセントレーションとか感覚レベルの向上による体感感覚や認識を向上させて、インプロヴィゼーション的に世界を眺めようということなんだよね。これを挑発的に云うと、上のような言説になる。
まぁ・・・・なんというか共産主義とかマルクス主義の二分法に毒されたともいえるし、近代の傾向でもあるのだが、、、肉体と精神を二分して、肉体を軽視する傾向が凄く強いのが近代社会なので、そういう意味では、肉体に秤を傾ける肉体の復権的な言説は、僕はシンパシーを感じるけどね。
実際に、本当にイイSEXをしているときは、確かに娯楽はなにもいらなくなるよ。世界が、めちゃめちゃキラキラするし(笑)。まぁこれは、テニスや武道の特別なコンセントレーションの状態と同じもので、かなり訓練を積んである特定の状況を作り出さないとなかなか常時は体感できないものなので、簡単に継続して維持できるものではないけれどもねぇ。
でも瞬間的には、簡単。ものすごぉーーーーーく好きな子と、初めてHしたころみたいに、、、、そういう時って、家から出ないで、ずーっとやりつづけるじゃないですか?、コンビニで食糧買いこんで。もう、普通考えたら飽きるだろ?ってくらい、やり続ける。まぁ全力で余裕があると、、、一週間ぐらいかな?、飽きるまで(笑)。ああいうときってのは、精神と肉体が完全にバランス取れているので、特殊に創りだす必要があるものが、心的に肉体的条件がそろってしまうんだよね。まぁこれも、数をこなすと(同じ相手でも違う相手でも)結局実存の摩滅と同じ構造で、インプロヴィゼーションが失われるので、継続できないけれどもね。そういう意味では、本当に始めてHを覚えたころに、物凄い好きな子と、がんばって頑張って結ばれたときとかのその最初の頃ぐらいしか、衝撃的な気持ちよさは来ないけれどもねー。。。
そういう意味では、精神的なものと肉体的なモノの二分や、体感感覚の実存消失に対するソリューションとして、集中力を要するテニスなどのメンタルスポーツやSEXをもってくるという村上龍氏の処方は、なるほどと思うが、それだけだと挑発に終わってしまうなー。瞬間的なものだけならば、革命はダメだろうが、ヲタクなどの知的営みの方が、時間的に勝ってしまう可能性が高いもの。まぁ知的営みもレベルがあるので、層として考えるとミドル以下の快楽は、肉体のダイレクトネスなものにははるかに及ばないだろうけどね。よほど、頑張ってレベルを上げないと、しょせん代償行為レベルでしか快楽は得られないからね。知的な快楽は難しいもの。
・・・・んん??
なんか話が、意味不明な方向に、、、、
えっと、宗教的な意味での愛でなく、個別執着への意味での愛を考えるとき、そこには、深い心の結びつきと肉体の結びつきって感じで、二分してしまいやすい・・・・それは、どっちかに絞った方が、表現としてはシンプルで分かりやすいので。でも、本当は両方のバランスの中に、最もイイポイントがあって、、、少なくとも、生きて体感するには、そのバランスを追求すべきだな、と僕は思ったりしたのです。
いや、だって、好きな子とHできないなんて、生きているかいないじゃん?(笑)。
深い心の結びつきと肉欲は両立するんだよ。しないともったいない!という今日の宣言でした。だから、うまく肉欲を描いている表現を見たいなーと思う今日この頃。あっ、佐藤賢一氏の『カルチェラタン』なんかは、このに分を描く話の極端ケースで、僕は好きだったなー。
カルチェ・ラタン (集英社文庫)
佐藤 賢一
集英社 2003-08
売り上げランキング : 189205
Amazonで詳しく見る by G-Tools
すべての男は消耗品である (角川文庫)
村上 龍
角川書店 1990-11
売り上げランキング : 199583
Amazonで詳しく見る by G-Tools
自殺よりはSEX―村上龍の恋愛・女性論
村上 龍
ベストセラーズ 2003-01
売り上げランキング : 45651
Amazonで詳しく見る by G-Tools
快楽のテニス講座 (講談社文庫)
村上 龍
講談社 1992-10
売り上げランキング : 567360
Amazonで詳しく見る by G-Tools
グランドクロス・ベイビー (角川文庫)
栗本 薫
角川書店 1999-10
売り上げランキング : 908437
Amazonで詳しく見る by G-Tools