グーグルとアップルの戦略の抽象化

つまり、会社が動く方向はネットの重心の方向だと決まっているので、社員は常にそちらだけを向いてよそ見しないで集中して仕事ができる。経営者は、ハンドルを切る必要がなくて、アクセルとブレーキだけで経営できる。

ただし、スピードを正確にコントロールするには、ネットとリアルのどちらにも片よらないバランス感覚が必要で、グーグルの場合は、エリック・シュミットをCEOに据えて、創業者二人との集団指導体制を取ったことでそれを維持している。アップルの場合は、リアルの論理をないがしろにしてアップルを追われたジョブズの個人的経験を教訓とすることで、そのバランスを得た。


そして、両社とも、ネット側からとリアル側の両方から、それぞれ違う理由で批判され続けている。


このモデルの欠点は、「距離」の概念を客観的に定義できてないことで、だから、「まん中」とは何かと言われたら、結局、「一番うまくいっている会社のいる所がまん中である」というトートロジーになってしまうことだ。

でも、「ネットの重心」は、割と厳密に定義できるような気がする。情報が全部公開されていて、ユーザの選択肢が最大で、全ての利害関係者がフラットな関係に置かれるようなポジションが「ネットの重心」だ。IPプロトコルが持っている性質に似ている。ピッタリその位置にいたらなかなか儲けることはできない。


ネットの重心とリアルの重心の中間
http://d.hatena.ne.jp/essa/20080720/p1
アンカテ

成功しているIT市場にある企業の評価としては、これは秀逸でよくわかりやすい。けど、本当に大事なのは、では、そのポジションになるためには具体的にどうすればいいのか?ってことで、そうでなければ、ただの現状の確認にすぎなくなる。ただし、この分析は、現状の評価をする上では凄い役に立つ。なるほど。