さらば、わが愛 覇王別姫
リー・ピクワー
アスミック 2005-11-25
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評価:★★★★★星5つ マスターピース!
(僕的主観:★★★★★星5つ)
中国映画の大傑作ですね。
張國榮(レスリーチャン)の俳優としての偉大さが、際立っています。男性であるにもかかわらず、見事な仕草と演技。女形を思わせます。 この肉体も精神も人生も全てを捧げつくしてしまう「芸の道を究める」というのは、歌舞伎や能、京劇などの伝統文化を持つ中国や日本では、理解されやすいのではないでしょうか。京劇という封建社会と別ち難い芸に魅入られてしまった主人公たちが、清朝、軍閥、日本軍、人民解放軍、共産党、紅衛兵の文化大革命時代の大きな時代の変化に翻弄されつつも、どうしても京劇という芸から離れて生きられない様は、壮大な大河ロマン。『楡家の人々』のような壮大さを感じます。
楡家の人びと (上巻) (新潮文庫)
北 杜夫
新潮社 2000
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中国政府公認であるにもかかわらず、最も京劇に礼儀正しく対応したのが日本人将校であったというエピソードも、極めて理性的で傑作としての風格を感じます。また成功したあとも、京劇の老師に対して一切反論ができないほど絶対服従である主人公二人のきわめて中華文化的な家族を重んじる姿勢と、その後継者が文化大革命でそういった絆をズタズタにしていく差異は、見事なコントラストを描いています。
ちなみに覇王別姫の天才的な将軍項羽と虞美人のエピソードは、中国では古典としても国民的な作品です。日本では、司馬遼太郎『項羽と劉邦』僕的には本宮ひろ志さんの『赤龍王』等を知っていると、より深く作品を理解できるでしょう。 というか、項羽と劉邦についての物語、、、漢帝国建国の物語について、知らないと中国の物語はほとんど意味不明になるはずですよ。繰り返す歴史の国ですからね。ましてやこの物語は、押さえておかないと、中華文化の情報は全然わからなくなってしまうと思うので、まずは、なによりも『項羽と劉邦』はおススメです。ちなみに、劉邦のキャラクターと虞美人のエピソードが最も見事だと思うのは、いくつも読んだけど、本宮ひろ志さんの漫画だなぁ。あれほど、イメージが強烈なものはなかった。項羽の直情径行なそれでいて器の巨大さも、あの絵では見事に伝わったよ。いままだ手に入るのかなぁ。とにかく、お薦めです。
項羽と劉邦 (上) (新潮文庫)
司馬 遼太郎
新潮社 1984-09
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赤龍王 1 (1)
本宮 ひろ志
集英社 1987-04
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