『ロンドリーフレット』 LittleWitch・大槍葦人 ウェルメイドの佳作〜ジャンルを超えるパワーはなくとも、完成度の高い、満足度の高い作品ってのはあるものだ

ロンド・リーフレットロンド・リーフレット

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評価:★★★星3つマイナスα
(僕的主観:★★★星3つプラスα)


■ウェルメイドの佳作〜ジャンルを超えるパワーはなくとも、満足度の高い作品ってのはあるものだ


大槍葦人さんの絵を楽しむものと思ったほうがよくて、物語を楽しむっていう意味ではプレイするほどのものではないかもですよ?と海燕さんにいわれていたが、まさにそのとおりだった(苦笑)。物語としては、ふむ普通、という感じ。でもいいんです、大槍葦人さんの絵と世界観がすごい好きだから。この絵が、大好きなんだから。僕は、LittleWitchの作品は、あと『Quartett!』しか、残念なことにプレイしていないが、海燕さんの紹介記事で、ほとんど世界名作劇場のアニメのように一話完結的にサクサクプレイできる、とあったので、疲れきっている心に潤いを求めて購入。はうわーとても、えがったです。

イギリスの国民的作家P・G・ウッドハウスの名執事ジーヴスものは、最近日本でも翻訳されて人気を博しています。この作品はさしずめそのノベルゲーム版というところでしょうか。1話ごとにオープニングとエンディングが挿入され、気分はほとんどテレビアニメ。それもNHKか世界名作劇場。たぶんこれから恋愛要素なども絡んでくるのでしょうが、それよりも単純にコメディとして楽しい。喧嘩腰の執事だの、口の悪い少女子爵だの、どじっ子メイドだの、ひとつひとつの要素はベタだけれど、それだけに安心感がある。


ロンド・リーフレット』プレイ日記 その1/Something Orange
http://d.hatena.ne.jp/kaien/20070331/p2

個人的には、一言でこの作品をあらわすのならば、ハウス世界名作劇場です!と言い切ってよいと思う。それくらい安定感がある物語だった。ラストで登場人物の女の子と相思相愛になる話だけが分岐しているのだが、「ここ」だけが全く物語的に接続されていないでとってつけ足したようになっているが、それ以外は整合性のレベルで雰囲気のレベルでも、ずーっとハウス世界名作劇場を見ている印象が続く。なんといえばいいのだろう???この安定感。たぶん、ジャンルを超えるようなすごいものを見たければ、全くこの作品を体験する必要性は確かにないんでしょうが、なんというか・・・・★3つの完成されたものの良さってあるわけで、こういうのウェルメイドの佳作と呼ぶのかなぁ、、、。とにかく、壁をぶち破るパワーは皆無なんだが、このジャンルの前提の中で楽しむには、最高のウェルメイドなもの、という印象。・・・・でもこういうのがあるから、

これが、OPのムービーなんですが、これを見ると、たぶん言っている意味がよくわかると思う。音楽もきれいだし、内容もウェルメイドだし、という感じがほんとよく出ている。僕はすごい好きですねこれ。全話SKIPなしで毎日聞いていましたもの。『Quartett!』もそうだったけど、この作品も音楽はとてもとてもよかった。ここでも、やっぱりウェルメイドっていいたくなる。いや、最高だ!とは言わないんだけれどもさっ・・・。おもわずBGMにアルバムを購入したくなってしまうほどのレベルなんだ。物語が織り込まれた音楽というのは、シンプルなものでも、心に残るんだよね。

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■愛する者に囲まれている良さが、脚本が破たんしているが故に逆に感じられちゃった(笑)


この作品は、ようはヴィクトリア朝の英国でダメ執事が没落しかかった子爵家に雇われて奮闘する物語って考えればいいんですが、そのメインストーリーは、ロビネッタ・アシュレイという女子爵家の公女(正式に家督をついていない)が、審査によって正式に家督を継げるかどうか?に挑戦するって物語だと考えればいい。


ちなみに、このロビネッタは、母親のタチアナ女子爵の私生児で、父親が誰ともわからないという設定になっている。だから、爵位を継ぐのに審査がるんですね。ちゃんと子爵家の正式な子供として教育を受けてはいるが、私生児であることには変わりない。


あとで、それが執事マシューの父親だったことがわかるのだが、、、、というようなお家騒動がたくさんある。まぁほのぼの話ですよね。このアシュレイ女子爵家は、ヴィクトリア女王が自分の学友のために起こした新興の家で、しかも女性が家督を継ぐという珍しい特許状を持つ貴族で、祖母親の代からなかなかにリベラルな家庭だったようです。それが故に、没落しているということも併せて、まー使用人のメイドがあんな口のきき方をするとはちょっとあり得ないのだが、逆にとても愛情のある人間関係の絆が深い空間が屋敷の中にあって、ずっと見ていると、胸が暖かくなってくる。


ちなみに、本家は、クリミア戦争の英雄将軍の公爵家で、あまり時代考証は無視されていてめちゃくちゃはめちゃくちゃなんですが、なんというか、ちゃんとリアルが立ち上がっていて、とっても気分的には良かった。全編ほぼ館の中だけで話が進むので、ヴィクトリア朝ロンドンの「あの雰囲気」が体験できないのが残念ではある。まぁこの辺は、予算の問題もあったのだろうと思う。大槍さんは、全体的に趣味がほんといいので、残念だ。一度思いっきり予算制限なしで、女の子だけ(これはいつもすごいこだわっているのが感じる(笑))でなく、物語も世界観もこだわりぬいた作品を見てみたい気がするなぁ。


ただ、最終話のところで、これはエロゲーなのでどの女の子と仲良くなるかって分岐点が生まれるところから、脚本がさっぱり意味不明になる。ここ、、、思い入れなかったのかなぁ?。いや丁寧に描かれていて、いやな感じではないんですが、えっ???なんすか???いきなり相思相愛???あの今までの微妙な距離はなんだったんですか?って感じで、恋人モードに突入するんですよね。それまでが、屋敷の仲間がとても家族的な距離の温かさがあって、それがよかったが故に、??????ってなる。


たとえば、海燕さんはこう書いている。

この話、序盤の3話目にして主人公の執事とお嬢様が腹違いの兄妹であることが判明する。それはまあ良いけれど、まさかそのまま普通に近親相姦になだれ込むとは。


「リスクは承知してる。俺も、ロビィも。それでも好きなんだよ。危険だと分かってても」

 いやいやいやいや(笑)。リスクがどうとかという次元の話じゃないだろ。

 現代日本の話ならまだしも、100年前の貴族社会なんだよ? 19世紀! 大英帝国! ヴィクトリア朝! どうするのかと思っていたけれど、まさか、どうもしないとは思わなかった。

 まあ、ゲームだからべつに兄妹でもいいんだけどさ。でも、リアリティぶち壊しですよね。周りも兄妹だって知っているんだから、焚きつけるなよ。

 最近のエロゲでは近親相姦も解禁になっているとは聞いていたけれど、ここまで普通に血縁エンドが許されるご時世になっていたとは。

 昔のエロゲではこういう展開は許されなかったから、無理は承知の上で義理の兄妹という設定にしていたわけだけれど、もはやそういう必然性はないんですね。末世だなあ。

 まあ、最終的に血縁エンドに行き着くのは良い。でも、この結末に持ち込むなら血縁だとわかる場面をもっと遅らせるべきだよね。

 たがいに血が繋がっていることがわかっているのにあたりまえのように恋愛してしまうのはさすがにどうかと思うぞ


ロンド・リーフレット』プレイ日記 その3
http://d.hatena.ne.jp/kaien/20070402/p2


メインのストーリーは、ロビィことロビネッタなんだけれども、早い段階で、腹違いの兄妹だってことが判明するんだよね。とすると、「それをどう乗り越えるか?」ってのが、大きな物語のメインテーマの一つになるじゃないですか。普通。いや、別に近親相姦を僕は否定しないよ、そこに真実と愛があるならば。ましてや物語だし。・・・でもさーなんの葛藤もなしって、えっ???そんなもの???って、リアリティが減じてしまうなぁ。しかも、かなり最初から、兄だとわかっている状態が続いていて、いきなり「好きなんだ!」と両想いになるってのは、物語の整合条あまりにタブー意識を極小化しすぎ(笑)。当時の常識の強さからいってもあり得んって。


まぁ、そのへんが、欠点だよねーで本来は終わると思う。


ただし、僕は実は、少し脳内補完をしてこの脚本の破たんを違う形で見たんですよね。というのはね、このロビィってものすごく愛されていて、しかも祖母の代からとってもリベラルな屋敷空間や親族関係を構築しているので、「本当の意味での」愛情が満ちているんですね、彼女の周りは。本来ならば醜聞で迷惑しているはずの本家の公爵家にしても、公爵家の公女にしても、表層ではなく本当の意味で「ロビィの幸せを願っている」。こういうのは、この過酷なマクロの世界で本当に珍しい。が、ないわけではない。それは、ロビィの母親と祖母が、それだけそういった温かな親族関係を、関係性を持つ「家」をずっと作り上げてきた実績があるからなんだと思う。



親族には絶対頼らないこと



というのが、タチアナ・アシュレイ女子爵の遺言。けどさ、侯爵にせよ幼馴染の伯爵公子にせよ、もうみんなロビィのこと大好きなの(笑)。助けたくてうずうずしている(笑)。その中で、こういう遺言を残す母親って、かっこいー女だなーと思うぜまじで。貴族社会に逆らって、愛する人の私生児を生んで、しかもちゃんと嫡子として教育仕上げてしまう男気・・・ではないな、気合いを感じるよ。


という前提条件で、見直してみると。ロビィが、「兄を本気で愛している」とわかった途端、最初、うーんと思っていた周りが手のひらを返したように、うまくいくようにけしかけるようになるんですね。・・・これって、「本当の意味で愛されている」ときにしか起きない現象なんですよね。


家族って、ある種のゲームです。自分の血筋や親族の中のポジショニングとか自尊心とか、そういったものが絡んで、子供とか親子関係ってたいていあるものです。端的に出るのが、子供の結婚に関する親の態度。結局は、家にとって自分にとって都合のいいことを、みんな要求するのがほぼ9割方です。


ところが、世の中には、そういう表層のことを飛び越えて、「その人のため」に何が一番大事か?、その人の「選択を最大限尊重する」には?というような、そんなリベラルかつ高貴な素晴らしい家族関係ってのも、時々あるんですよね。


ロビィの願いを叶えながら(ミクロ)、且つそれによって貴族社会で何とか生きていけるよう(マクロ)に周りが猛烈に考え彼女を守ろうとするんです。いや、そもそも難しいので、それは破綻しますが、、、にしても、これって本当の家族愛だなぁーと感心しちゃったんですよ。人間ふつうは、自分の利害を考えるものです。本家の公爵家だって、自分の分家にこういうことがあったら大恥ですよ。でも、ぜんぜん応援。


・・・・なんか、素晴らしくて感動しちゃった。


まぁほんとうは、ただ脚本が壊れているだけなんだろうとは思うけどもね。でも、それまでの関係性が深く温かく描かれているので、こういう風にも取れてしまうのだ。えがったです。


ロンド・リーフレット』プレイ日記 その1
http://d.hatena.ne.jp/kaien/20070331/p2

ロンド・リーフレット』プレイ日記 その2
http://d.hatena.ne.jp/kaien/20070401/p2


ロンド・リーフレット』プレイ日記 その3
http://d.hatena.ne.jp/kaien/20070402/p2


ロンド・リーフレット』プレイ日記 その4
http://d.hatena.ne.jp/kaien/20070403/p2