TURN 21 『ラグナレク の 接続』〜神殺しのその先へ(2) 善と悪が入り乱れるシュナイゼルの世界で、世界の悪のすべてを担う・・・・ってよくある陳腐?、、いやそーじゃない、その先だっ!!

コードギアス 反逆のルルーシュ R2 volume01


昨日の余韻がまだ、醒めない。


1)シャルルの願いは、オルタナティブ(=代替案)が無いほどのこの世界の悪を見据えたが故であるべきだった

僕の感慨をいくつか説明しておくと、そもそもエヴァ的「人類補完計画」の否定は、SFの定番であって、これほどの物語になれば、「そこ」に至ることはもう間違いないと思っていた。・・・もう少し敷衍しておくと、少し冷静になってみると、「神殺し」からもう一度、現実の善悪が入り乱れる世界(=シュナイゼルの望む世界)に帰るとすると、それはいかに、こういう大々的なエンターテイメントアニメでは珍しくても、まぁしょせんは、現実に屈しただけだよね、、、と思いたくもなる。僕は見ていないのだが、LDさんやはしくんは、これは『ガンソード』や『ガンダムW』であった話だと語っていた。

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また、シャルルの動機。丁寧に描かれてないから陳腐に見えたが、本格的に演出して描けば、皇帝シャルルとマリアンヌが望んだ世界は、純粋であったころこその願いであって、この現実世界の悲惨さ醜さをこれでもかと描けば、たとえそれが欲望と個の否定であってもやむなし、、、この腐った世界が続くくらいならば、、、という深い断念があってしかるべきで、そうあれば、もっともっとシャルルの願いは高貴に描けたはずだと思うのだ。まず、そこが描かずに速度速く進んでしまったことは残念のポイント1だ。世界の残酷さとは、戦争が続く世界で起きる民族浄化や人間をごみとしてみるマクロの視点、資本主義のあまりに醜さを考えれば、こんな現実なんか、無に帰したほうが正しい!と思うほうが、僕は理性的だと思う。それほど、現実のリアルな世界の負は激しい。やさしい人間や、純粋な人間が耐えられないほどに。


2)善と悪が入り乱れるシュナイゼルの世界で、世界の悪をすべて担う・・・・ってよくある陳腐?


それとね、僕の感じた感動ってのは、そもそも、神殺しを、、、人類悲観計画を否定して、「現実の世界に戻る」という宣言をした時点で、次のあり得るストーリーの方は、普通に考えると一つしかない。


それは、ルルーシュがギアスの力でブリタニアを掌握して、世界に大征服戦争を巻き起こす、ということだ。見た瞬間思った。これは、『ヴャンパイア十字界』や永野護さんの『ファイブスターストーリーズ』のアマテラスの戦略です。つまり、世界中で殺し合うのは、多数の軸で、ネイションステイツ(=国民国家)が相争う競争社会だから。ちなみに、地政学的にこの構造を世界戦略として地球に地図を引いたのは、大英帝国グレートブリテン)です。たくさんの国を乱立させて、分割統治して世界をコントロールしていくという世界戦略です。ちなみに、分裂させることにより、リカードウの比較優位説に基づく資本主義の推進を行う意味もありました。


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これに対抗する手段はただ一つ。イギリスが作り出した地政学的な多軸世界を、一つの政府のもとにまとめ上げて、地上に永遠の平和をもたらそうという、地球連邦創設・・・ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジ アースを作り出すことです。


ただ、それは出来ないような多様性が地球にはあり、争いがあり、利害が入り組んでいる。では、それを一つにまとめる悪の大魔王がいればいい!という考え方ですね。これは、確かに素晴らしいドラマツゥルギーではあるが、それはそれでよくあるものだ。ルルーシュが皇帝に即位したこと、それにスザクがこれに補佐するのは、これって、手段こそめちゃくちゃですが、結果を考えると、もっともユーフェミアとナナリーの思想に近いんですよね。「ナナリーの望んだ優しい世界」にもっとも、効率的、結果主義的に正しい選択です。それしかないもの。

ちなみに、僕は「これ」に感動したわけではありません。これを見ていく中で、あと4話もあるってことです。これって、あと15分で話を終わらせることが可能なレベルなんですよ。それから、10年後、、、とか描いて、ルルーシュを破ったシュナイゼルが、地球連邦政府の初代大統領とかになるとかでいいわけですよ。けどね、本当にそうなると思います?、、、というのは、これまでの谷口監督の志向性からいって、物語のドラマツゥルギーのパターン全てを使用しながら、それをすべて超えて外していくという手法をとっています。


えっ、これって、もしかして、「これ」も超えるんじゃねぇの?、、その先に行くんじゃねぇの??って思うんですよっ!!!


ちなみに、手段を問わないのであれば(という大前提がつくが)、フレイヤ弾頭であろうが、なんだろうが、統一の契機になるのならば、それはいっさい考慮しないでしかるべきなのだ。何百年も、テロで殺し合いが日常になるような腐った世界が続くくらいならば、、、そして、人類補完計画的な欲望の消去を手段として否定するならば、、、、一度に何千万人を殺そうと、それでその後、数百年の幸せが続くならば、それが正しいという考え方だってありうるんだ。だから、僕は、シュナイゼルが、使わせるつもりでフレイヤ弾頭をあのシュチュエーションに置いたとしても、そして使ったことにほくそ笑んだとしても、なんら驚かないし、むしろ、真の世界の指導者たろうとする貴族ならば、そう考えるだろうともうよ。人の命なんか、虫けらに思わないやつは、為政者にはなれないと思うのだ。ましてや、全人類の多様性を飲み込もうとするような器ならば。


これって、シュナイゼルの側も、ルルーシュの側も、志向していることは、全く同じ地平に立ったことを示している。


ナナリーの、ユフィーの望んだ「優しい世界」という結果を捥ぎ取るために、あえて悪魔に、鬼畜になる!という考え方だ。



ちなみに倫理的に考えるのならば、実は、ルルーシュが悪の大魔王になって、シュナイゼルの敵となり、地球統一の一つの踏み台になるというのは、実は駄目だと思うのだ。論理的にはそれしか今のところ選択肢がないように思えるけれども。

だって、ルルーシュの手は汚れているが、フレイヤを平気で使えるような、シュナイゼルの手もまた汚れているので、汚れた男は、たとえ結果が正しくても、世界の王になる資格はない!と思うしかないのだ。倫理的に。初期のスザクに、僕やLDさんがほれ込んだのは、結果を求めながらも、手段の正当性に徹底的にこだわって、不可能なことをブレイクスルーしたスザクであって、結果を求めて手段を選ばない、、、悪に手を染めたやつなんかじゃーないんだよ。手段を選ばないやつに、最終的に世界の指導者になる資格はないんだ!、倫理的に。


さぁ、、、ここで、どこへいくんだっ!谷口監督!!!来週は、楽しみで死にそうですよっ!





備考



ちなみに、僕は細かく書いたが、本当はそんな細かいことはどうでもいいんです。


なぜならば、、、、なんの文脈も関係なく、、、、40話近くテロリストで、弱い立場にいたルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが、全世界の前で、皇帝に戴冠するその姿が見たかった!!!そして、植民地の裏切り者のスザクが、帝国のNo2として、宰相として玉座の傍らにいる姿を見たかったんだよ!



根拠無く。


あのかっこいー姿だけで、もういいんです。かっこえがった・・・。