アングロサクソンは、根本のルールを変えることがある〜今をすべてだと思うべきではない

ここで・・・もうビッグ3は終わったね、という議論が日本では普通に語られるんですよ。まあ、例によってテレビなんかで勝手に決めつけている。

「何の技術開発もして来なかったんだから負けて当然」、

「勝負はすでについていて、トヨタ、ホンダの日本勢が一人勝ちだ」などなどと。

でもね、多分それ、相当間違ってます。僕は個人的にこれは第二の真珠湾だろう、と思うのですよ。下手をすると10年後には日本メーカーは跡形もないかもしれないな・・・と思うのですよ。

なぜならば・・・

GMの車なんてひでーもんだ、という声がありますが、先に指摘した70年代のコミットメントの残骸である年金や医療保険など、いわゆるレガシーコストが問題な訳で、もしそれらを切り離して「ちゃら」にして、自動車会社単体で見た場合、生産台数、売り上げはGMの方が大きい訳で、利益率、技術水準、どれをとってもその他日本メーカーに大きく見劣りしている訳ではありません。

ビッグ3は真珠湾
http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55/e/c8342d489f8fde1a81f5f4880674bc66
債券・株・為替 中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら 

ぐっちーさんの記事は毎回面白くて読ませていただいているのだが、このGMなどのアメリカの車メーカーと日本のトヨタなどの比較の記事がいつも面白いと思うんだよね。というのは、これは日米の国力差と技術開発に関する考え方の違いを問う視点だからなんですよね。GMとトヨタどっちが凄い?という子供のような問いは、実はとても深いものを含んでいる。日本のマスコミは、すぐ空気に飲まれるだめ体質な上に、自動車メーカーは広告などの大スポンサーなので、日本車に???という視点での切り込みが、日本国内ではほとんどできない。それが故に、目が曇っていることってあると思うんですよね。まぁ単純に利益や企業としての健全さを考えると、トヨタなど日本の車メーカーがビック3を圧倒しているのは事実なんだけれども、だからといって技術開発の思想や国家戦略の部分が、まさかアメリカが日本より劣るなんて思うやつは、バカだしね。戦略思想は、基本的に圧倒的にアングロサクソンが上なんだから、歴史的に見て。またレガシーコストなど、過去の遺物や経緯をちゃんと差し引いた比較もしないとおかしいしね。

つまり、真珠湾アメリカ海軍を木端微塵にして、立ち直るまでの時間が相当稼げると思っていたら、わずか2年もしないうちに全米の総力を挙げて立て直し、気が付いてみたら日本のゼロ戦は紙飛行機のように落とされ、そこから硫黄島までまっしぐら・・・・真珠湾から終戦までわずか4年の決着ですよ。

今回もよく似ているのではないですか・・

確かに日本の技術はすごいけど、公的資金を入れたからにはコスト度外視でアメリカの総力を挙げて燃料自動車を開発して、オバマ政権の公約でもある環境問題を前面に押し出し、例えば全米に充電ステーションをただで置かれたらひとたまりも無いんではないでしょうか。

しろーと考えですが、もしその技術スタンダードがGMになれば、日本の自動車会社は結局GMから技術を買うことになる。 アメリカは最後は何でもやる国だということを、忘れてはいけません。

ちなみに燃料自動車は、充電ステーションではなくて、水素ステーションじゃないかな?。まぁ小さい(くはないけど)ことはおいておいて、実は車による輸送体系は、いろいろ巨大な技術革新の壁というかハードルが現れてきていて、30代の僕なんかは、まだ50年くらいは生きるだろうか、物凄い社会が変容するのを目の当たりにするかもしれない・・・と思うんですよ。

一つは、車の電子化によるインテリジェント化、もうひとつはエネルギー自体の根本的な変換。たとえば既に、大型のリチウムイオン電池は実用化していますよね。三菱自動車アイ・ミーブは、もう既に電力会社に採用されて、公道のテスト走行が始まっている。2010年には、実用化。こういったものは、この世界を混乱させた石油価格の高騰によって、エネルギーコストの前提が大幅に上昇したので、いままで採算に合わなかったプロジェクトがこの数年劇的に資本を投入されたがためなんですよね。



http://corism.221616.com/articles/0000051167/



いまつまりある端境期に来ていて、環境対策なども含めて、凄まじい技術革新の谷間がある。トヨタなんかは、その圧倒的な研究開発費を投入して、そのすべての方位に開発費を回していますが、とはいっても、ぐっちーさんの言われるように、一私企業では限界があるほど裾野が広いことであるし、なによりも研究開発は、運だめしの部分もあって、独創的な機関の技術を開発できないと、全くブレイクスルーができないということはありうるわけで、その基幹部分の技術をパテントで握られてしまえば、もうどうにもならなくなるんですよね。また、こういったインテリジェント化、またエネルギー体系の根本的な変革には、社会資本を根本から変革させるという部分もあって、これって国力総力をあげた部分になるんで、単純にやはり業界の一有力企業の能力だけで評価できるわけではない。もしかして、国家総力でやった時に、思いっきり現行と異なるルールで、戦略を立ててくる可能性があるんですよね。そこを意識していないと、駄目だなーと思うんです。ちなみに、最近よくコンサルタントセミナ、研修でよく聞くセリフなんですが、


「今最も優れた企業はどこですか?」


という質問があって、日本だったら、まずトヨタってのが、妥当で、かつほぼ過半の人がこう答えるらしいだけれども、それはお話しにならないって流れの話が続きます。というのは、これは「現在にもっとも特化した」優秀さであって、未来永劫とは限らないわけで、こう答える人は「現状の旧態依然としたルールから抜け出せない感覚の人」だ、というんですよね。これはまーなるほど、と思います。優秀な人は、GMやスズキなど、今のルールではトップに立てないような企業に、「こういう前提(if)があれば、、、、」というような、答え方をするそうです。まぁコンサルタント的な優秀さなんで、それが経営者として優秀かは僕は疑問ですがね。ゼロベース志向は、時に、現実を無視しすぎるきらいがあるんでね。とかとか思いました。