『鉄のラインバレル』 日高政光監督 主人公の醜悪なルサンチマンにひきませんか?

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■主人公の醜悪なルサンチマンにひきませんか?


ビデオに撮っていたので、がーっと流し見で、『鉄のラインバレル』を見ている。どなたかがコメントで推奨してくれていたので、HDDに撮りためていました。

・・・マクロの設定はともかく、主人公の早瀬君の、醜悪なルサンチマンには、もう見ている最初から反吐が出る。耐えがたい。演出上のものであるとしても、あまりに醜悪で、正直、物語として見るとしても個人的には、我慢が出来ないレベルなので、この後の展開がかなり良くても、駄目だなぁ。まぁ何もできない少年が、いきなり「力」を手に入れて人類を守るヒーローになるというのは、物語の基本類型みたいなもので、これも落ちモノのパターンなんだけれども、それを差し引いても、ちょっと耐えがたい言動だ。たとえ、そういったルサンチマンが激しくても、それでも、好きな女の子を守りたかったとか、何らかのいい点があると、主人公に感情移入できるんだが・・・彼の場合は、基本的に「自分」のみで、うざい。エヴァンゲリオン碇シンジくんも、ファーストガンダムアムロ・レイも基本的に同じ性格なんだろうけど、少なくとも、正義を勘違いしていないし、そもそもこんな外へ向けて攻撃的な正確ではなかった。もう少しナイーブだったもの。


もちろん、この自分の「力」に驕るところから、それを反省させられる過程は、ルサンチマン克服の基本パターンなので、少年漫画としては王道とも言えるので、それが本来は弱点にはならないのかもしれないが・・・少なくともかアニメーションのこの速いテンポの描き方では、不愉快にしかならないなぁ。でもさーこんな準備もしていない一般市民の都市であれだけのバトルをやったら死者数人じゃきかないし、しかもそれで財産を失って人生が崩壊する人がどれだけいることか・・・彼の成長のためとはいえ、そんなことは許されてしかるべきことじゃない。城崎絵美に「あなた最低です」といわれるシーンらへんからが、つまり♯4「正義の代償」が、契約再契約の考え方で言うと再契約に当たって、埠頭に得た力の意味を再度考え直す、というシーンなのだと思うが、、、、ラインバレルはファクター(=搭乗者)が呼べば瞬間移動できるものだから、普通、即座に彼を拘束するか殺すでしょう?それもない、ってのが、非常にこの世界の組織のレベルを疑ってしまう。そのへんは、その世界のリアリティを疑ってしまうんで、ダメだなぁ。早瀬は、矢島や一般人を何度も殴るけれども、ファクターになったことによって、アスファルトをぶっ壊すくらいのパワーになっているわけでしょう?あんなめちゃくちゃな性格ならばコントロールできないでしょう?、普通、殺しちゃうって・・・そういのもなぜそうなのかが全然なからない。うーん、おかしい。


まっ、一言で言うと、僕はこの主人公の、早瀬浩一という男の子、大嫌いです(笑)。


ちなみに、これは漫画の原作があるようだが、設定が同じなのだろうか?、ほんとうはもっと感情移入しやすいキャラクターに設定できて、演出を変えると、ここまでいやなやつにはならないような気がするのだが。坊主憎けりゃ袈裟までにくいではないが、そもそも、この作品は、戦闘の前に自分の名前を名乗りすぎ。しかもスピーカーがついているようで、ガンガン回りに伝わっている。諜報上の問題や物語のリアリティとして、おかしい。普通名前を知られたら、ラインバレルというようなマキナに乗る前に、暗殺するか拘束するでしょう?。もうそういう瑣末なことが、気になる。『天元突破グレンラガン』のような、名乗りに関して、歌舞伎の見得のように演出しているならば、それはある種のファンタジーとして通用するが・・・・。ひでぇ、と思うよ。それにしても、こんなにひどいアニメは、久しぶりに見ました。耐えがたいです。いや、いかえよう、こんなひどい物語は久しぶりに見ました。信じられません。僕にはもう感情的に同情の余地がない。ただし、「何がそんなにひどいか!」ということを、分析しながら、その酷さ話ワクワクしながら見るという視点ならば、なかなかのものです。(←考えてみると、そういう視点は、結構ひどいもんだよねぇ(汗))


おそらく嫌悪感の面ではペトロニウスさんの方が
圧倒的に僕のソレを上回っているのでしょうけど(笑)


個人的には、その「醜悪なルサンチマンぶり」が、物語として弾劾されない、是正されない、という作劇にこそ一番ビックリしますね。

仰る通り、矢島を巻き込んだ時が最大のチャンスだったはずなんですが…特に彼の内面の何かを正すでなく、とりあえず女の子達が惚れ始めて組織内、コミュニティ内でヒーロー化されていって、最近では主人公以外の存在が次回予告で何かをほざいて、それに対してヒロインが「最低です!」と言う。…えーとつまりこの物語では、「主人公が最低」というフェーズは「過ぎた」という事なんでしょうか。


…どこで?何きっかけで?(笑)


↑ここが一番ビックリしますね、本当に。

ああ、、本当に同感。なにがすごいって、この腐った人格が全然弾劾されないという作劇?脚本?、、、が信じられない。性格をを悪く書くというのは、わかるんです。落差を演出することもあるでしょう。けれども、そう!なによりも、ターニングポイントがなく、理由もなく、彼は組織や女の子たちに受けれられてしまう・・・というのが、まったく理解できない。監督、脚本家、とにかくこれに関わっている人の良識を、死ぬほど疑います。