『7SEEDS』 15巻 田村由美著 メメントモリ・・・・物事を直視すること

7SEEDS(セブンシーズ) 15 (フラワーコミックスアルファ)

相変わらず面白い・・・・が、たぶん完結してから一気に読むほうが、この物凄い緊張感を味わえていいのだろうなぁ・・・もしくは、やはり雑誌(確か月刊?)で読むか・・・。「読み方」というか「楽しみ方」には、どうも種類があるようなんだよね。ネギまのように連載で楽しむ・・・って、最近のラカンとの対決のバトルシーンなんかは、たぶん単行本で一気に読んだ方が面白いと思うんだよね・・・。本とか漫画とかってのは、「出会い」ってのがるもんだなーと思う。


ちなみに、いま僕の中では、『獣の奏者エリン』がグワングワン頭の中にあって、この物語のテーマは、獣というものと人間というものの、絶対的に理解し合えない存在が、共に生きることということはどういうことか?というテーマを追求しているんだけれども、それと重なる、というかほぼ答えに近いセリフが、15巻にはあって、なんかすごいシンクロニシティを感じました。あのね、このテーマは、非常に身近なものだし、あとふと思い出したんですが、ちゃんと答えを出してはいないんですが、宮崎駿さんが、風の谷のナウシカのキャラクターを生み出した時のモデルが、平安末期の『堤中納言物語』に出てくる「虫愛ずる姫」を思い描いて考えた、テーマだと思うんですよ。つまり、虫や獣など、そもそもコミュニケーションできない「生物」を愛するとは、共に生きるとは?それはどういうことなのか?ということで、、、究極的にそれを進めていけば、やはりこういう問いになります・・・つまり、絶対に相手の心を最終的には理解し知ることのできない、人間同士が、愛し合うということは?、理解し合うということは?、共に生きるということは?、、、というテーマ。実は、獣や虫を心から愛してしまったというのは、人間同士のコミュニケーションで形成される「網の目」から逸脱した視点で、生物の生と死とは何か?という微妙にずれたものになるとは思うのですが、まーそれは、あまり細かく説明しても仕方がないので、連想したとおりにもう一回確認すると、理解し合えない(=構造的に)同士が、共に生きるというのはどういうことか?って問いです。これがまた、なかなか秀逸で、いいところついている「答え」で、ぼくはうなっちゃいましたねぇ。現代社会というのは、生きる実存が消失した「退屈」に悩む社会なので、やっぱりこういう必死な・・・・「必ず死ぬ」とういうことを直視した、メメントモリ(=死を直視せよ)的な感覚って、物語として効果的だよなーと思います。


ちなみに夏のチームの源五郎と新巻さんのセリフ。p138から。サラっと数ページで、自ら心から愛した動物をその手で殺してしまった源五郎が、懺悔で、荒巻さんに


「自分の犬を殺したことがあります?」


と、問いかけるところからはじまります。素晴らしいセリフなので、ぜひ読んでみてください。いやーやっぱり田村由美さんは、うまいなぁ。