『GUNSLINGER GIRL』 11巻 相田裕著 新刊が出るたびに読み返すと過去の巻が味が出る

GUNSLINGER GIRL 11 (電撃コミックス)

通勤の行き帰りにどちらかで買った漫画や小説を読むのだけを、プライヴェートな唯一の楽しみとして生きるペトロニウスです。「忙殺」って、そうかぁ・・・忙しさに殺されるって書くんだなぁ、、、と、遠い眼をしたりしてます(苦笑)。新刊がおもしろいなぁ・・・と、感心しました。なにがって、、、なんとなくわかってきたんだが、この作者って、既に世界を作り込んで構成し終わった膨大な「ガンスリ世界」というのを「脳内に持っていて」、それをエピソードとして分割しているんだと思うんですよね。つまり、まぁ最終回にはいくつかの分岐があるとしても、ほとんど物語世界は完成しているんだと思う。だから、最初読んだ時は、複雑で???と思ったことが、新しい新巻を読むたびに、全部「つながる」感覚がする。だから、新刊が出るたびに全巻読み直す楽しみがある。行動に作り込まれた物語世界だと、新しい情報が出るたびに、過去の巻を読みなおして、全体を感じなおせるところがいいです。

なかなか凄いなぁ、と思うのは、、、、、イタリアのマクロに関する世界の前提も、抜きがたく深く考察されて作り込まれていて、世界の残酷さのための演出(の単なる根拠)だけにあるわけではなくて、クローチェ事件とか個々のエピソードもとてもよくできている。このレベルの作り込みは、『マスターキートン』並みの感じを受けるよ。それくらい分かっていないと書けないと思う。作者は勉強かだなぁ。。。・・・だから最初の数巻・・・まだマクロの情報ができっていないころは、ただ単に「暗殺者の少女」という設定を描くためだだけの道具にすぎないか?と思っていたが、いやいやどうして、そんなことはない。もちろん、この人は「そっち側」の人で、この設定が描きたくてこの世界を創造した人だとは思うんですが・・・・それが深くリアリティを持つために、勉強というか、凄いよく考え抜いているなーと感心します。勉強して、そう想像力がないとできないもの。そして、兄のジャンの婚約者の話とか、、、サンドロのエピソードで、この人が大人の恋愛が書ける人なんだぁーと感心したといったことを前の記事で書いたが、いや実は最初から構想に会ったんだなーととても感心している。たぶんそれを表現する技術力が初期のころにはなくて、それがレベルが上がることで、描けるようになっているんだ・・・。うん、とてもいい作品ですよ。

MASTERキートン (18) (ビッグコミックス)
MASTERキートン (18) (ビッグコミックス)