世界が人にきびしいです

獣の奏者〈1〉闘蛇編 (講談社文庫)

評価:★★★★★星5つ
(僕的主観:★★★★★星5つ)

渋くて本物感あるファンタジー小説を読むと、あー自分の描いてるものってたしかに「まったり」なのかもな、と思います。自分では「まったりファンタジー」て言われると、そう? って思うんだけど(比べるような描き方はものすごくおこがましくて恐縮なんですけど)「獣の奏者」は確かに「子供にも読ませたい…かもしれない…大人の物語」なんだなーと思います。小説だからかな? ランドリは「大人でも楽しめる子供向け」な気がするもんね。十代後半を子供って言うなら。

獣の奏者」はとってもとっても面白いので大人の人にはおすすめしますが、世界が人にきびしいです。サッパリしてないです。クライマックスがアレですが、もう、世界全体がすり鉢なの。抗えないすり鉢のような世間。そーゆーゴリゴリいう音が迫ってくるストレスを楽しめる人にはものすごくおすすめです!ヒーローが不在で生物学者が「できるだけのことはしますけど…」って話。

私は最後に世界に平和が訪れるRPGが好きだし、最後にはれないが成就するラブロマンスが好きだし、つまりピアズ・アンソニイとビジョルドが好きです…甘ちゃんですみません…。

ランドリはねー、こー、どんな時でもホワイトノイズみたいに「いい予感」みたいなのがあって、実際にいいことがあったら読者さんが「やっぱりね!わかってた!」って思うマンガだといいなーと思って描いてます。登場人物を巻き込む世界は夢みたいな上昇気流がいいな。ていうかそんなんしか描けないんです。

(強調は、ブログ管理人)

http://d.hatena.ne.jp/chika_kt/20090823
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おがきちかさんが、『獣の奏者』の感想を書いていて、ああ・・・そうかーーと、ファンタジーが好きで、どっちの作品にも、最高評価というか・・・評価というのを超えて、もう好き!と思いこんでいるので、その違いを凄く感じたんで、なんか感心した。そうなんだよね、、、、エリンは素晴らしい大傑作だったんだけれども、あまりに「世界が人に厳しすぎる」んだよね。それに比べると、『ランドリオール』は決して、その深刻さで劣っているとは思わないけれども、「まったり」した感覚が漂う。もちろん作品世界を形作る作者の嗜好を反映しているという部分もあるのだけれども、、、、たしかに、たしかに、『ランドリオール』と比較すると、『獣の奏者』には、余裕がないような、そこまで生き急がなくてもいいだろうに!というような世界を深刻にとらえ過ぎるきらいを感じる。もちろん、世界は、必ずしも、そんなに狭くはないんだ!と思いたいし、たぶんそれは事実でもあるだろう。そして、同時にそれくらい世界って過酷な場所でもあるし、一人の個人の手が届く世界ではエリンのように生きるしか・・・と思う部分もある。なんか、凄くいろいろ思わせられた。



Landreaall (14) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)