『けいおん』 第2期 山田尚子監督 かきふらい原作 卒業まで続いてていく物語〜次世代のけいおん部への継承/くどい日常の演出はうざいのか?それとも?!

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■卒業まで続いてていく物語〜次世代のけいおん部への継承

先週?かな、メンバーが修学旅行に行っている裏バージョンとして、あずさやういの1日を追った会があったんだが・・・・第5話の「お留守番」なんだけど、うわーなんか物凄く良かったんですけど、、、、、見ていて胸は甘酸っぱくなるは、せつなくなるわ、3人はかわいいは、自分もああなりたいわ、ノスタルジー喚起だわ、、、すばらしかったー。何かがちゃんと「はまっている」感じがした。


まぁやっぱり、『けいおん』という作品自体が、やっぱり時代性とかあっているんだろうなーと感心。


何が良かったかをちょっと振り返って考えてみると、僕の中では、髪をおろしたあずにゃんやうい、鈴木さんのそれぞれが、澪、ゆい、りっちゃんに見えたんだよね。これ絶対に意識していると思うんだけど・・・。つまりね、次の世代のけいおんのメンバーに見えるんだよね。もっというと、これって「継承」がこめられちゃうんだと思うんですよ。いや、第3期がそれで描かれるとか、そういうふうに思ったわけではありません(笑)。


修学旅行でもうすぐ卒業していくという「終わり」を演出している中で、「その次」もまだ続いていくんだよ、という物語空間内での時間が「終わるけど繰り返してしてつながっていく」ということが感じられるんですね、そこがいい。


このブログでは、こういった「日常の永遠回帰系の作品」は、「直線的時間感覚の作品(=戦ってインフレ起こすまで戦い続け進化を求める)」との対比で、語っています。だから僕の中の関心も、それら直線的時間感覚の作品と比較して、また過去の「日常の永遠回帰系の作品」の類型と比較して、何が違うか?ってのが気になるんですよね。


いま、Twitterとかでの議論の注目点は、やっぱり、この作品に「卒業」はあるんだろうか?ということ(笑)。もしくは、「卒業」という終わりをどう描くのだろうか?ということ。日常系の作品は、古くは新沢基栄さんの『ハイスクール奇面組』などの夢オチに始まって、いつまでたっても年をとらないサザエさんみつはしちかこさんの『小さな恋の物語』のチッチとサリーとか(苦笑)、卒業しても関係性が変わらない『らきすた』とか、こういうのをすべて読んで類型を比較すると面白いなーと思います。ちなみに漫画の中でこの類型を、突き詰めて、最高度のレベルで描くのは、天才としかいいようがないあずまきよひこさんですね。これは、ほんと凄い。

よつばと』 あずまきよひこ著 マンガの表現力の到達点の一つ
http://ameblo.jp/petronius/entry-10049280825.html

らき☆すた』に見る永遠の日常〜変わらないものがそこにある
http://ameblo.jp/petronius/entry-10048130571.html


このへんの「永遠日常」や「終わらない夏休み」というモチーフがどこからきているのか?。その原点は、ヨーロッパを原点とするロマン主義にあることを、上記では説明しました。イギリスは炭鉱映画やわけのわからない趣味とかガーデニングへ、フランス映画は恋愛映画とか性愛へ、ドイツはナチスドイツ(=ナショナリズム)を選びました。日本には、このへんの感覚は、どうーも日常系の漫画やアニメーションによく出ているような気がします。ああ、もちろん昨今の邦画の傑作群を忘れるわけにもいかないですが。

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最近の日本映画の青春ものやイギリスの炭鉱映画などが、同じ発想をベースに作られているんだと思うんですよ。『スウィングガール』『ウォーターボーイズ』『おっぱいバレー』『フラガール』とか、いま放映中の書道の甲子園モノ。それに、イギリス系だと『リトルダンサー』や『ブラス』とかとか。あげればきりがないんですが、、、、。全てが同じ類型!といっているわけではないので誤解がないようにと思いますが、日常に対してのスタンスや文脈はそれぞれに違うところもありますが、日常をどう料理するか?という意味では、非常に似通った作品だと思います。

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■くどい日常の演出はうざいのか?それとも?!

実は、1-4は、もちろん悪くはないんだけど、僕としてはがっかりだったんですよね。なぜかつまらなく感じて。その理由は「演出がくどい」んだと思うんですよ。この作品や京都にアニーションの良さって、「日常を情感持って高密度の作画で描ける」というところなんだと思うんですが、第2期はそれを凄く意識して、徹底的にその部分のレベルをあげてきている。強みを伸ばすのはわかるのですが、それが裏目になぜか出ちゃった。


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理由は、うん、たぶん、もともと日常系の漫画作品って、4コマ漫画が多いじゃないですか。このテンポの緩さと物語の進ませ具合が、面白さの本質なんだと思うんです。それを、アニメーションで丁寧に日常や背景をリアル感を持って描いてしまうと、その「よさ」ってのが、消えちゃうんじゃないかなーと思います。


じゃあ、どうすればいいのか?って、確かにせっかく第2期をするので、演出上はいろいろ実験、チャレンジをしたい気持ちはわかるんですよねー。「日常」の良さが素晴らしい作品なので、それの密度をあげましょうとういう発想はわかるんですが・・・。


また、確かに、06話の『お留守番』ように、これが原作なしの話にすると、物凄く素晴らしい雰囲気の作品ができるんですね。ちゅーことは、そもそもオリジナルで描けば、もういいってことなのか・・・。ということは、それまでは、脚本がうまくできなかっただけ?ということか・・・。


まだ何とも結論が出ません。ただ1-4話は、1期に比べて日常演出がくどかった気がします。


まっ、ともあれ、このレベルの上下があると、、、、というか、たぶんこの2期も売れるでしょうねー。これって、時代のいいところ突いているんだろうと思います。