『太陽の黙示録』 6巻 管理社会もののSF

太陽の黙示録 (vol.5) (ビッグコミックス)

5巻からは、もう一人の主人公、宗方操の話がここから始まる。

こちらは、一言でいえば、管理社会ものSFと考えていいと思う。このあたりのテーマは、『沈黙の艦隊』で出てきた様々なテーマがちりばめられていて、リアリティがあって面白い。地域国家の概念や、独立国家というものがどういうものか?という視点が重厚にあるので、なかなかに読ませてくれる。米国支配のサウスエリアと中国支配のノースエリアの二つにわかれた巨大震災後の日本の物語。ノースエリアのチップによるデータ管理支配やサウスエリアの貧民窟や廃棄された東京での国際会議など、村上龍の大傑作『5分後の世界』を思い出させます。何度も言いますが、村上龍のこの作品と『愛と幻想のファシズム』は、最高ですよ。読まないと、物語読みとしては、超損だと思います。ぜひぜひに。

五分後の世界 (幻冬舎文庫)
五分後の世界 (幻冬舎文庫)


ちなみに、ヒロインの恵理が出てくるのだが・・・・いやー本当に、この人はヒロインをかわいく描くのが下手だ(笑)。まったく女性を描けないんだなーと思う。そのあまりの描けなさに感心します。


さておき、管理社会もので近年の漫画での最高傑作は、『狂士郎2030』です。いまある社会がテクノロジーによって「作りかえられてしまう」ことの恐怖が、これでもかと描かれた、凄まじく古典SFの管理社会ものに忠実な重厚な作品です。絵柄(僕はあまり好きじゃない)やギャグ漫画であることなどを、仮にマイナスととらえても(僕はそれこそが完成度を高めていると思うが)、素晴らしい大傑作です。もう絶対読め!としか言いようがない作品です。マジでお薦めですよ。


狂四郎2030 1 (集英社文庫―コミック版)