絢辻 詞編突入です〜等身大のコミュニケーションは、強い自意識の人にとっては強烈な救いをもたらす

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それにしても、絢辻さんの回を見ていると、主人公の橘君の、バランス感覚の良さに感心する。女の子と恋愛する力って、僕は「等身大力」って思っていて、自意識が消去されている付き合いができる人ほど、フランクに、素の自分で話せるんだよね。「自意識が消去されている」ってのは、この橘クンって自分の自意識の課題が重くなんだよね。男性は特に「俺が俺が!」っていう自己主張が強いのが基本で、自分を世界の中心でしか見れないケースが多い。僕なんかのラジオを聞いてくれれば、しゃべり出すと止まらないでしょう(笑)あれ、自意識が強く全面に出てくる痛い状況なわけね。まぁなかなか消すのは難しいので、社会人になったらコントロールできればいいわけなんだけど、「俺が俺が!」という自意識の課題の大きさは、基本的に、等身大のコミュニケーションを阻害します。会話の第一歩の、「対等な立場で相手の話を聞く」(笑)っていうのができなくなるからです。

いま2話目だけど、これだけ強烈な性格のゆがみを見せられたら、普通ひくよ。だって、これだけのエネルギーを支えるゆがみって、相当の動機だからね。けど、こういうことが分かっても、橘君の絢辻さんへの会話の口調や対応がまったく変化ない。つまり相手の等身大の存在をそのまま、特に過大評価も過小評価も無く「そのままに受け入れている」んだよね。これって、「素の自分が出せる」ってことで、人にとってこれはとても大きなポイントなんだ。なかなか、序列やキャラクター準拠の関係性以外での「関係性」というのは、構築しにくいものなんだよ。そういうのを総称して、僕は等身大のコミュニケーションと呼んでいる。素の自分を、特に飾ることも無く、相手にぶつけて、相手もそれが普通としてうけいれながら「関係性が継続する」ことを指す。

前に『とある科学の超電磁砲』の話で、属性や才能をと取っぱらったところで「相手を等身大に見てくれること」が、恋をしたり愛をする条件なんだ、ということを、書いたことがある。いや恋は幻想なので、「そうではない」ケースの方が多い。けれども、それは、永続的な関係性にはなりにくいんだ。なぜならば、幻想には必ず幻滅がワンセットについてくるからだ。この幻想と幻滅の落差について、よく理解して生きている人のことを僕は、成熟した人と呼んでいるのだけれども、この理論を論理的に展開すると「等身大力」とでもいうような関係性の構築技術を持つ人は、非常に相手に愛されやすいし好かれやすいといううことが言える。もちろん、万人にこれが応用できる人は、それほどいない。実際には、相性というものに拠ってこのパターンは形成される。絢辻さんのS属性に、橘君のM属性があったからこそ、こういう関係がスッと素直に安定したんだろうしね。

とある科学の超電磁砲』 長井龍雪 監督 才能のなさへの劣等感と選ばれたものの孤独、、、そのどれもを超えた所に仲間はある
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20100327/p4
とある科学の超電磁砲 第1巻 <初回限定版> [DVD]

それにしても朝の教室で敵対勢力に涙を流しながら謝る「攻撃」とは、すげぇ、すげ黒いよ、絢辻さん。リーダーとしての、「泣き落とし攻撃」まで、、、、これができるリーダーは本物だ(笑)。自分の自意識とプライドを目的のために道具にできる人は、本物だよ。ちなみに、この「攻撃」は、敵対勢力よりも、む意見のその周りの大多数に「見せつける」ことで敵対勢力を少数に追い込む技なんだよねー。あと、自分の「弱さ」を周知にさらすことで、同情を買う効果も。うーん、お見事。けど、、、、これ本心でやらないと、自分を偽る効果になるんだよね。少なくとも高校くらいのイベントでは、本心でやって置かないと、「小手先」で人生を生きることになる。小手先の技が通じるのは、周りと自分の能力に差がある時のみ。自分が高いステージに上がれば上がるほど、それができなくなっていく。少なくともこの本心を偽っても結果を求める話してしまうと、「本当の素の私」を封印するってことだから、このあともう一つイベントを設定しないといけないよね。橘くんが、上手くやる君より、上手くいかなかった時の君の方も好きだ!といわないといけない。まーまだ見ていないが、そうなるだろう。そうでないとこの脚本の本質が全うできないはず。


・・・ふと思ったが、関係性の話をコメントする時って、、、、基本的に、BasicSkillっていうか、僕が人間関係に何を見ていて、本当はどうするべきか、という自分の哲学というか思いが凄く入るなーと思う。



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