『セカンドトリップと私の7人の夫達について』 ひのと著  こんな新婚ラブラブ状態が、ずぅーーーーーーーーっと継続しているHな物語って見たことがありません(笑)。

セカンドトリップと私の7人の夫達について (メリッサ) 

評価:★★★★☆星4つ半(まだ未完ですが・・・・)
(僕的主観:★★★★★星5つ)
  
セカンドトリップと私の7人の夫達について
作者:ひのと
http://novel18.syosetu.com/n2444cn/

ムーンライトノベルなんていうのがあったんですね!、とりあえずランキング上から読んでみようとおおお思ったんですが!。『セカンドトリップと私の7人の夫達について』、これ!めっちゃおもしろい!。僕もーメロメロでした。一言でいうと、ウルトラスーパー典型的な逆ハーレムもの。いわゆる逆ハーもの(Hなのばっちりあり)です。

1年前、私は異世界に迷い込んだ。
そこで行ったのは、世界の救済でも燃えるような恋に落ちることでもなく、騎士の卵たちが生活する寮での炊事、洗濯、掃除!
そして結局は元の世界に戻れたのだが―――1年後、またやって来てしまった!?
しかもこちらでは10年が経過してるそうで?
そしてそして、女児の出生率の低下によって、一妻多夫制となったそうで?

1年前は年下だった少年達に求婚されつつ、逃げたり捕まえられたり。
ほのぼの溺愛ムードの、決して逃げられない逆ハーレム。

まだ完結していないので評価的にはいいきれないのですが、一言でいうと典型的です。逆ハーの王道で、それ以上でもなければ、それ以下でもない。ケレンみもないし、僕がすくなマクロ(政治的なもの)もない、脚本としての大きな文脈との接続もありません。ただひたすら典型的な、エンターテイメントで、パターンのものです。逆ハー系のハーレクインロマンといった感じですか。何にも新しいものはないです。


・・・・・とかくと、マイナスにしか聞こえないじゃないですか。たぶん、この手の内容のものが好きではない人には、いったい何が面白いのかわからないという評価もあるのではないかと思います。固有のシュチュエーション、、、たとえば小説家になろう異世界転生トリップとかが、そもそもいやだという人は、どんなにその中身が面白くても受けてけないでしょう。こういう逆ハーレムものや、セクシャルな内容が受け付けないという人は、まぁそもそも読まないと思うけど、だめでしょう。


でもね、いやはや、僕この人、めっちゃクチャ上手いと思うんですよ。それだけではなく、なんというか、物凄い安定感で、、、、7人もの男性書分けるのって、難しいだろうなぁ、どうせ最初に出てきた二人とか、全く内面も描かずにモブと化すのだろうぐらいに思っていたんですが、、、いやはや、うまいっ、うますぎるっ。僕は、何の抵抗もなく女の子の主人公にも感情移入する人なので、うわぁーーーこんなに男性にまじに愛されたら、たまんねぇーだろうなーーーって、読む間中赤面しっぱなしでした。あのね、普通こんなに新婚ラブラブ状態なの雰囲気がーずーーーーっと持続しないもんだと思うんですよ。この場合の持続って、そう表現されている、というのではなくて、読んでいてずーっと読み手がそう感じちゃうという意味で。しかも、もう6人ぐらい相手が出てきているのに、一人一人と、新婚ラブラブ状態が継続して感じられるって、どういうことやねん!!!と、もう感心しちゃいました。


ハーレム系・・・・男女どちらであろうと、そもそもこの関係性には、非常に大きな構造的なポイントがあります。それは、


(1)主人公が、そこまで愛される理由は何か?=主人公の魅力とは何なのか?、


ということ


(2)主人公がたくさんいる相手から誰を選ぶのか?=その選ぶ根拠は何か?


というものです。なぜこれがポイントかというと、一つは、(1)がしっかりしていないと、現実感のレベルが下がってしまうんですよね。ヲタクの気持ち悪くて、人間性が壊れていたり、何のとりえもない平凡な人が、たくさんの美少女から愛されたり、逆でもいいのですが、暗い地味な女の子が王子様系の美少年たちに愛されていたら、、、それはもちろん万人の欲望であることは認めるのですが、であるからこそ、なぜ???ということを説得性を持って描かないと、違和感が強くなってしまうじゃないですか。


そして、(2)は、ハーレムメイカーの物語類型をずっと追ってきて、わかったのは、人を愛するということは、誰かを選んでいくものだということです。もちろん特殊な条件で、たくさんの人を愛せる器や条件がそろうことも、十分ありえます。しかしながら、現実はそこまで余裕があるものではないのが一般的です。また、これは一夫一妻のロマンティシズムが浸透しているからかもしれませんが、、、いやそれよりも、たぶん個人の救済という小説の近代化による内面の描写・・・・1人称への感情移入という形式では、「この僕が、この私が救われるにはどうすればいいのか?」という個の救済ということが究極、ポイントになりやすく、また現代の社会がナルシシズムの檻の中にいる唯我論の状況をどう打破するかがポイントであるから、、、、って、まぁこんな難しいことはどうでもいいのですが、ようは、1の主人公の魅力と、2のその主人公と相手の関係性をつなぎとめる絆、根拠を追求していくと、物語的な圧力で誰かを選ばなければいけないように展開していくのですよ。


って、いうのがまあぁ背景にあるとすると、僕が典型的なエンターテイメントといったのは、この(1)と(2)の条件、前提する関して、この物語って、まったく仕掛けがないんですよ(苦笑)。主人公の木下桜ちゃんこと、サクラって、なんのとりえもないですよね。物語の文脈や設定として、特別に愛される理由は全くない。別に平凡な子だと思うんですよ。特に絶世の美女という設定が付与されていることすらない。いやもちろん、マクロ的に女性がすごい少ない、とか、一度少年たちの寮に最初トリップして、思い出を植え付けたっていう、設定はありますよ。でも、その程度でって話ばかりですよねぇ。それに、ルイズやヴァイオスにせよ、、、、もう最初から、納得済で、7人は夫ができる前提じゃないですか。


だからこそ!!!!僕は衝撃を受けました。こんなご都合主義、こんな物語類型として仕掛けもなんもない(=構造上の欠点が大きすぎる)のに、なぜこんなに面白いんだぁ!!!!!って(笑)。


これって、LDさんが主張するところの「快楽線」と「積み上げ」の問題だと思うんですよ。この組み方が安定して高いレベルに維持されると、物語って、自律性を持つんだと思うんですよ。そして、この構造的なテクニカルなものが、あるレベルで安定すると、、、、そこには世界が生まれて、キャラクターたちに実在感が生まれるんだと思うんですよね。


なーんて、難しいこと言っていますが、、、、ようは、、、、もうぼくたまんなかったっす。Hな物語って、こういうのっ!!!こういうのが見たかったんだろう、ぼくわっ!!!って、はーはーぜーぜー思いました。もうこの、さくらちゃんの旦那たちからの愛されっぷり、、、、腰が抜けます。だけでなく、、、、これって旦那からみても、さくらちゃってん、超絶かわいいだろうなぁ、、、って思うんですよ。そりゃ、夜も寝かさないよって(笑)。



こんな新婚ラブラブ状態が、ずぅーーーーーーーーっと継続しているHな物語って見たことがありません。どんなエロい話でも、ラブコメでも、、、、というか、SEXの描写を前提とする物語は大人のステージの話になるんですが、物語のドラマツゥルギーの盛り上がりのダイナミズムってのは、結ばれる=Hをするというところで終わってしまうものが普通で、その後の世界や関係性って、描けないんですよね。僕が少女漫画というのは、「その先が描けない」というのが、まぁそれはジャンルの特徴なんですが、いつも不満足に思うのは、結婚して、Hするのが日常で、お互いに飽きが来て、現実もあって、、、その状態でも、恋や愛はどうなるのか?ということが、見てみたいのですが、なかなかそういうものってないんですよね。Hなものは、男性の射精と似ていて、花火のように打ち上げられて、急速に賢者タイムに入ってしまうもんだからなのかもしれませんが、、、これ、作者、女性なのですかね?、この感じがずーっと続くのって、、凄いっ!!!て思いました。なんでなんだろう?僕はまだよく理由が見つけられないんですが、、、、脚本上は、だって、何にも仕掛けがないんだもん。ただひたすらに丁寧に積み上げているとしか言いようがない。ノクターンの男性が描くHな物語も、ほぼ完璧にこの、Hしちゃったら、それで物語のダイナミズムが終わってしまっていて、それ以降はどれだけハードになるかというマンネリが続くものばかりです。まぁ、それが見たいっている場合は、それは物語を楽しむのではなく、ポルノを楽しむだけになってしまうんですよ。それならば、僕は現実の方が全然いいと思ってしまいます。もしくは、僕は男性なので、Hなポルノ雑誌(現実)でいいじゃないか、と思ってしまいます。小説は読むのにコストがかかりますし。ノクターンの小説もたくさん見てますがが、ほとんど、ダメですね。シュチュエーションのエスカレートは、やっぱり僕の趣味じゃない。それに、シュチュエーション自体に固着する人は、もちろんいるのでしょうが、僕は全くセクシャルな固有の執着がない人なので、というかたぶん弱いと思うので、物語性がないとだめなんですよ。なので、SEXそれぞれに物語的な位置づけがないと、強度だけになってしまうので、、、それならば絵とかビジュアルに勝てないと思うのです。



あと、さすが、ランキングで1位になるだけありますね。異世界召喚ものは、もちろん、なぜよばれたのか?とか、帰れるのか?というのがポイントで、そういう構造的なものも、ちゃんと計算されているのがわかるので、確実に、これ終わります。そういう意味でも構造もいい。特にケレン味というか、驚くような展開はないと思うのですが、特に問題なくこの筆力で描ききれば、凄い安定した味のあるエンターテイメントができると思うのです。イヤーいいものに出会った。


大好きです。更新が楽しみでたまりません。