渡辺由佳里さんのアメリカ分析が面白すぎる!!

現在の民主党には3つのDynasty(大家族または族ともいえます)があります。最も由緒あるケネディ族、そして90年代、民主党を経済的に中道に導いたクリントン族、そしてそれらの古い民主党とは異なる理念や政治スタイルを目指すオバマ族の民主党内での権力闘争は、少々のことでは癒えない深い傷を作っています。


ケネディ一家は、プライベートでは恵まれた贅沢な生活をしていますが、政治的には常に黒人の人権、貧困者の救済、医療と教育の平等な提供のために戦ってきた庶民の味方です。マサチューセッツ州選出で2004年の民主党大統領候補だったジョン・ケリーは、家族ほど近しくないもののケネディ族といえるでしょう。


いっぽうビル・クリントンは、黒人たちから「初めての黒人の大統領」と呼ばれるほど黒人の人権のために働いてきましたが、経済政策的には共和党に近い中道派です。国民にはロックスター並みの人気があったものの、彼の一族に属さない民主党員にとっては、古くからの民主党の理念を無視する個人プレーヤーだという苦々しい思いがあったようです。クリントン時代の副大統領アル・ゴア、そして史上初めての女性下院議長のナンシー・ペローシーは、クリントン族のやりかたに決して馴染まなかったきまじめな左よりの代表です。

そして、現在の民主党全国委員長のハワード・ディーンをはじめとするケネディ族にもクリントン族にも属さない新しい流れが両手を広げて迎えたのがバラック・オバマです。インターネットで若者や無所属を集めたハワード・ディーンの信念をそのまま受け継いだのはオバマと言えるでしょう。ディーンの支持者の多くもそのままオバマに移っているようです。彼らは、古くからの民主党のやり方に不満を抱いています。活気はありますが、自分たちが一番正しいと考えている高慢さも否定できません。


26AUG2008 民主党の3つのDynasty 
渡辺由佳里のひとり井戸端会議


なるほどー。最近、むさぼるように、渡辺さんの記事を探しては呼んでいます。政治的にはかなりリベラルによっていると思うんですが、なんといっても、バランス感覚がいいのと、思考の蓄積を感じる、ちゃんと考えた練れた意見が、すごいわかりやすい。最近惚れ込んで、頑張って読んで勉強しています。もう、楽しくて楽しくて。



予備選で見えてきた「部族化」するアメリカ社会
敵対するグループ同士はお互いが持つ理想の「アメリカ像」を許容できない
2016年4月11日(月)19時15分
渡辺由佳里(エッセイスト)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/04/post-4878.php



このかなり新しい記事も、過去の最初に引用した記事からの流れで読むと、凄い興味深い。思考が深まっているのが感じます。やはり自分の頭で積み重ねている人の思考の蓄積というのは、素晴らしく知的好奇心を刺激してくれます。僕はまだ部族化というキーワードを消化し切れていないんだけれども、丁寧に大統領選挙を追っていると、たとえば、同じ民主党内でも、ヒラリーさんとサンダースサンの支持者の諍いというか、対立って、もう怨念の域だよねってくらい根深いのがわかります。これが、本当に一本化するのか?って凄い不思議に思います。そういう流れで、過去の系譜からの接続を考えると、なるほど!!!と思うことしきりです。