10話「そして竜虎は神に挑まん」〜大事なのはシゴトなんだよね。

冴えない彼女の育てかた♭ 1(完全生産限定版) [Blu-ray]


詩羽先輩とエリリの話がとてもよかった。シナリオ的には、原作そのまんまなんで、特に驚きでもないんだけれども、できのいいアニメーション(別の媒体)でみると、ぐっとくる度合いが違いますね。小説は、やっぱり倫也くんの視点に寄っているので、そちらで見ていたけど、第三者視点でこうしてみると、この二人の情熱が凄く伝わってくる。そして同志を見つけた幸せもね。いいなぁ。


とはいえ、これって、どう考えてもラブコメ恋愛脳フォーマットの観点で見れば、男(恋)よりも、仕事を選んだわけですよね。でも、リアルの、普通の人生を考えればこれは当然であって、極端なことを言えば、悩むことですらない。これほどの大きな商業のチャンスがあって、しかも自分の才能を認めてくれる人に出会って、それを選択しないことはあり得ないと思う。それに、稼げるようになってから、男を養ってもいいわけだし(笑)。もしくは、自分の仕事や「ほんとうにやりたいこと」を応援してくれない人と一緒に暮らす未来ってないと思うんだよね。もう少し年齢が行けば、現実もいろいろ出てくるかもしれないが、少なくともこの二人は才能あるクリエイター(仕事人)なわけで、10代で、仕事へのチャレンジを選ばないというのはあり得ない。


逆にいうと、ラブコメのフォーマットというのが実はすごい歪んでいるんだろうなぁ、と思う。だって、男か?仕事か?という選択肢があって、基本的に異性最優先でなければ、物語のドラマトゥルギーから退場させられてしまうわけだから。そこでは、最も価値の高い基準が、恋愛のみなんだもん。本当の人生は、もっと様々な選択肢が同時に走っているもので、そういう盲目的なものは、あまりないと思うんだけれども、物語の世界では、ドラマの軸がすべてなんでしょうねぇ。


ハーレムものの、その後の展開として、「お仕事もの」につながるという構造は、わかってきたんですが、結局どういうこと?というと、人生は恋だけじゃなくて仕事もあるよ、ということなんだろうなぁ。


でも、それって当たり前なんですよね。考えてみれば当たり前の話。ただ、学園ラブコメの世界って、社会に出る前の世界って、世界が狭いんだろうな、としみじみ思った。もう既に社会に出てぼくは20年はたち、こっちの世界にいる時間の方が長くなって眺めてみると、仕事も恋もどっちも大事で、このバランスというか組み合わせで人生は考えてないとだめなんですよねー。幸せって、そういうもの。


けれども、ラブコメ物語的には、「現場を離れたら負け」by LDさんという言葉通り、やっぱりはなれてしまうとだめですねー。


何が敗因かというと、言い換えれば加藤が何で勝つのかというと、仕事人としての成長のスピードとレベルが、倫也とほぼ同じだからなんですよね。だから「一緒にいられる」。一緒に、選択肢を、現実を踏みしめて共有することができる。そういう単純なことなんだろうと思います。


一番タイトな絆って、戦友なんだよね。何かを一緒に戦った人が一番、愛おしく大事。だから戦友が、恋する好きな人だったりするのが、僕は一番素敵だと思います。


・・・・・戦友を恋人にしちゃえというギリシャのシステムとか武士って、いやー考えてたんだなーとかしみじみ思う(笑)。


冴えない彼女の育てかた 12 (ファンタジア文庫)