United States presidential debates, Cleveland, Ohio on September 29, 2020 大統領選ディベート一回目感想


Watch Top Moments From The First Presidential Debate | NBC News

■雑感~ポストゥルースの感情の戦争の中に叩き込まれる感じ

9/29の火曜日。息子のサッカーの送り迎えで車に閉じ込められていたので、運よく時間が確保できて、全部がっつり見た。あとで、息子と見直したので、フルの90分くらいかな?、全部見れた。なんちゃってマイルールではあるが、ポストトゥルースフェイクニュースが叫ばれるこの時代、自分が興味を持ち調べたいことは、なるべくリアルタイムで、オリジナルソースを全部見て、その後の大手マスコミのまとめや他人の意見を「聞く前に」自分の意見を吐き出して、白黒はっきりさせるようにしよう!というのを、意識しているので、今回は、ちゃんと全部見れて、その直後、自分の感想を友人に話してまとめられたので、良かった。自分お英語力にだいぶ自信がないペトロニウスなのだが、アメリカの政治イシューは、ずっと追ってこつこつ調べているので、すべての討議内容の、共和党民主党の意見がわかっていたし、イシューになっているイベント、たとえば、ウィスコンシン州クノーシャ、ジョージフロイド、ブリオナテイラーやアンティファなど固有名詞も頭にあったので、完全に追えたので、非常に満足感高かった(笑)。僕は、常日頃、NBC Nightly News with Lester Holtを見ているので、何となくくことを選んでしまう。

ちなみに、リアルタイムのTwitterのコメント。この件は、興味があるので、友人とかに意見を聞きまくっているんですが、終わった後、話を聞いていると、あまりに感想が違いすぎるので、衝撃を受けました。僕は、バイデンさん支持で、リベラル寄りの人なんですが、政治的には、古き共和党リバタリアニズムの方に理念的にはシンパシーがあるという感じの、、、、まとめると、極端によっていない「中道な人(=あまり意見がはっきりしていない人)」(笑)なんだと思うんですね。けど、アメリカでの知り合いは、仕事関係が多いので、白人で、裕福で、安定したミドルクラス以上の、50歳以上で、男という属性が多くなってしまい、、、驚くほどというか、僕の印象では100%トランプ支持者のがちがちのTrumpianなんですよね。しかも、2016年の時は、だいぶ隠していたというか、そんなに声高に主張しなかったんですが、いまは物凄いアピール凄いんですよね。日本の団塊の世代くらいの、僕の(僕はアラフィフ)の父親の世代の高齢者がめちゃくちゃ右傾化していて、嫌韓と中国ヘイトをまき散らすのと、そっくりな感じに、ねちねち主張してくるんですよ(苦笑)。僕は、経済理念が、共和党寄りの、小さい政府支持な人なので、とても彼らにとって共感できるみたいで、ペトロニウス君はわかってる!と、トランプさん擁護の情報をSNSとかで送りつけてきて、民主党とかバイデンさんの極左は国を滅ぼそうとしている!と怒りのメールとか、よく来るんですよ。僕は、反対の意見の人でも、政治とかとは切り離して、仲良く付き合うので。特に。その人に意見を聞いていると、あまりの解釈と感想の違いに、、、、、これが、、、これが分断というやつか!と衝撃を持ちました。というのは、今回は、自分でオリジナルソースを見て、だいぶ勉強しているので、「僕はこういう判断をした!」という風にはっきり言ったんですよね、、、そしたら、リアクションが凄くて(笑)。「フェイクニュースに騙されている!」「トランプは真実をを言っている!」とか、物凄い怒られ、叱られの感情の連絡が来て、、、いやーこりゃ、リアルで言うの勇気いるわーと、驚きました。僕は、「なんちゃって素人」なんで、そうやって感情的に攻撃されてると、やはりしんどいですよね。自分の意見をはっきりさせると、このポストゥルースの感情の戦争の中に叩き込まれるのかぁ、としみじみ感じました。


ちなみに、僕の印象は、ハッキリとバイデンさん勝利。


理由は、バイデンさんの勝利評価ポイント軸は、「認知症でボケていないかどうか?」ということに尽きたと思うのです(笑)。なので、彼が反応が遅くて、この人大丈夫かな?と思われたら、終わりだなと考えていました。これはトランプさんのディベートでの「吃音で高齢のバイデンさんに、途中で茶々を入れて志向を混乱させる」というのが戦略だったと思うのですが、それとの食い合わせが悪かった。トランプさんが、ガンガン、話しかけるので、バイデンさんの反応の遅さが全く目立たなくなってしまったんですよね。これは、確かに「強気の攻める姿勢」をトランプさんの支持者にアピールできたと思いますが、同時に、浮動票の人間に、バイデンさん、意外にレスポンス普通だったと印象付ける結果につながったと僕は思っています。なので、バイデンさんの勝ち。

■息子との会話~ディベートのルールとモデレーターの力量について

ちなみに、せっかくの機会で、ミドルスクールの息子と一緒に見ていたのだが、彼の意見はこう。基本的に、司会者が一番、しっかりして、ちゃんとした、素晴らしい質問をしていたと思う。けれども、それを逸脱していく戦略をとったトランプさんが得になってしまうという意味では、司会は押さえなければならなかったし、それが抑えられないならばルール自体が甘いといっていて、うーん、若い人はさすがだなぁ、と唸った。いい点突きすぎてる。


■勝ち負けは?

さて、では、ディベート直後の世論動向は?。

まぁ、あれを見て、トランプさんが、まともだと思う人は(支持者以外)いないと思います。大統領選のディベートの品位にあまりにかけるので。しかしながら、ヒラリーさんの時も、68%VS28%くらいだったがするので、こういうジェネラルな世論動向は、あまりあてにはならないと思います。とはいえ、トランプ支持者の友人が、圧倒的にトランプさんが優勢だった!、世論調査は嘘をついているフェイクニュースだ!というのは、少なくとも僕の感覚では、全くの思い込みですね。とはいえ、繰り返しますが、アメリカはPopular Voteではなく、Electoral collegeなので、各州の特にSwing stateの動向で変わるので、全体の話を大雑把に言っても、わかりません。

ちなみに、民主党のAndrew Yangがつぶやいているこれが、広く一般的にアメリカでは言われている感じです。


特に、そもそもディベートのはずが、ディベートになっていなかった。のの知り合いで、見るに堪えなかったという感想が多いです。


■結局は、中間層、意思を決めてない人に、どうメッセージを伝えるか?

勝ち負けを考えるときに、結局のところ、ブルーステイツとレッドステイツの二つに分断されているので、「自分の支持者ではなく、且つ相手を支持していない」にどれだけアピールができたかが重要な視点だろうと思う。とはいえ、どっちも、それに関しては、いまいちであったと思う。やっぱり分極化しているんだなーと思う。トランプさんが、自分の支持層の40%くらいに特化していて、それ以外は無視して切り捨てるというスタイルを極めている人なので、どうしてもこうなってしまう。国家の統一ではなくて、分断した片方を完ぺきに抑えるという政治スタイルは、民主主義の在り方としては、非常に危ないやり方ですが、でも今の時代ですねー。それでも、アメリカの場合は、振り子時計のように、極端と極端を行ったり来たりするので、自らを修正する力がありますし、2大政党制で政権を担えるバックアップが常に控えているので、アメリカのやり方としてはありなのかもしれません。日本の自民党のような長期政権の場合だと、オルタナティヴが常にないので、自らを修正する力が働かなくて、歯止めがきかないリスクが常に潜在的にある形になるので、このパターンは、あまりよくないんでしょうけどねぇ。


■人種差別が暴徒化をしている部分への質問が、秀逸だった

自分が印象に残っているのは、クリス・ウォーレスさんの人種差別の暴動化に関する、両大統領への質問。バイデンさんに対しては、ちゃんとアンティフアや暴動する左翼、特に極左に対してちゃんと否定的な「暴力否定のメッセージ」を出してきたか?出すべきじゃないのか?と迫り、トランプさんには、ちゃんと右翼や白人至上主義者に対してcondemn(非難できるのか!)と迫る。両者の最も痛いところを突く、非常に秀逸な質問だった。極端な方向を基盤としているので、両者とも、国の根幹や社会の安定を揺るがす「危険な極右と極左」に引きずられて、分断化、両極化を招いてしまっているアメリカの現状を強くアピールする質問で、さすがと唸った。


◆イシューは犬笛?

犬笛(Dog whistle)という言葉がよく言われるのだが、これは、ポリティカルコレクトネスで監視されている中で、いかに「わかりにくく批判されにくいように」このメッセージを支持者(極右)に届けるかというもので、例えばハンドサインとかは有名なやつ。

それで、さすがに国の統一、自分の支持者でない人のことを考えるべき大統領が、極右の白人至上主義者を暗黙で支持するようなメッセージを送るのはあり得ない、という批判の声が上がっている。こういうのを犬笛、と言われるんですよ。この場合、上の司会のクリスさんの「白人至上主義者を批判でしないのか?」という問いに、「名前は何だ?何に対して言うのか?」といらだって、じゃあ、、、と、Proud boys, Stand back, Stand byといったんですね。これ文脈的には、極右の白人至上主義団体を自らの私兵にしているような言い方で、許されない!と吹き上がっています。


適当に写真を探してみたが、こんな感じらしい。


バイデンさんも、すぐ批判のメッセージを出しているけど、これ、リベラルな意識がある人にとっては、いくらなんでもあり得ない暴挙に思えるので、物凄く批判されているんですね。


が、しかし、トランプさんの支持者にすれば、彼が白人至上主義を批判しているメッセージはずっと出しているので、こんな一部の文脈が曖昧な言葉で、言葉がりのように魔女狩りする極左の連中の態度は許せない!という怒りになるんですよね。

https://twitter.com/ichigobatakekak/status/1311741013430419456?s=20


■リベラル疲れ、リベラルへの嫌悪

petronius.hatenablog.com

過去の上記のような感想を書いたんですが、全体を見てね、これでも、やはりトランプさん入れちゃう人は、感情的に多いだろうなぁ、と思うんですよ。郵便投票の話では、そもそも真実が一つもないし、気候変動の意見とか、さすがにそれは、そもそもおかしいじゃないというトランプさんの為政者としての資格については、だいぶ疑問符を感じます。

jp.wsj.com


しかしそれでもなお、リベラルに対して激しい嫌悪感が、それを上回るのは、アメリカに住んでいて非常に感情的に共感する。うまくまだ言葉にできないのですが、リベラルサイドの今までの積み重ねが、現在を招いているのに、その反省のなさは何だという感情の吹き上がりがあるように感じるんですよね。僕の周りにおけるオバマさんへの、激しい批判意識は、人種の区別なく広く深いので、いつもびっくりします。オバマ夫妻ほど、話を聞けば聞くほど、人格的に高潔で、素晴らしい人はいないと感じるんですが、、、、それでもなお、めちゃくちゃ嫌われている。半分は熱狂的な支持があるので、時々なにがなんだか、分からなくなります。


47年もいったい、バイデンは何をしていたんだ!(過去の民主党の政治家としてのキャリアについてね)と激しく罵るトランプさんの憤りは、たぶんかなり強い民意のバックアップをとらえている気がするんですよね。


このリベラルに対しての、激しい失望と、分断を招いて他者を貶める線引きを勝手にしてきた怒りは、信頼のなさは、やはりトランプ政権の堅い40%ほどの支持を支えている感じがしますね。リベラルサイドよりの僕が、そういう風に「感じる」のだから、この感情は深いと思います。いいかえれば、トランプさんを支持しているというよりは、リベラルに対して「お灸をすえてやる」とか「見返してやる」みたいな感情を凄く感じるんですよ。トランプさんは、明らかにおかしいが、それでもなお、リベラル側に、、、、特に、リベラルを主導するプログレッシブ、極左などへの深い警戒と嫌悪感。「この部分」をトランプさんは、よくわかっている。そして煽る煽る。もちろん事実を紐解けば、いやいや、共和党側の宗教右翼の取り込みや、極右の台頭へのリアクションとして、左翼側の激しさが増しているので、リベラルが悪いわけじゃないだろう!ともいいたくなるのはよくわかるんですが、それも、民主党が、南部の「そういった層」を切り捨てたことから始まっていることを考えると、なんというか歴史の難しさを感じます。


ただ、どこかの記事で文化戦争において、メディア空間においてはリベラルが圧勝している。しかし、現実世界においては、権力の次元で、着実に保守、右翼が権力を固めている。というのは、まさにと思う。なんで、こんな差になってしまうんだろう。



まだまだ、もう少し掘り下げたい。



残りは雑感。



■ファクトがあまりに無視されすぎる

それにしても、、、、、トランプさんの事実無視には、やはり、いくら民意の感情をとらえているからといって超大国アメリカの為政者としてどうなんだろう、というのは凄く感じます。

■日本は共和党が好き?

日本のニコニコの同時中継?カナ、感想なんですが、80%も支持で、驚きました。日本は、共和党寄りなんだなーと感心。日本の指導者層は共和党寄りで、民意は民主党寄りだと思っていましたが、いやはや。




さて、このドラマ、今度はどこに行くのか。