■長く続いた待ち時間~まだ決まっていない(笑)
物語三昧のYoutubeでも話したけど、こんなに長く待たされる選挙は初めて。ウィスコンシンの当確が出た時点で、ああ、バトルグラウンドステイツ、スィングステイツを押さえたんだな、と思ったので、バイデンさんの価値は揺らがないとは思ったけど、そうはいっても不安というか、どうなちゃうんだろうというのが、土曜日まで続いて、朝起きても起きても、数字が変わっていないので、いつかうんと終わるの!という気分だった。そのかわりに、各激戦州の背景や構造などをだいぶ見れたので、アメリカウオッチャーとしては、「そこ」は興味深かった。そして、土曜日の朝起きたら、各大手メディアがバイデンさん当確をやっと出した。今回は、トランプさんが、共和党が、郵便投票等の選挙プロセスに関して疑義を呈してくるのがわかっていたから、慎重に慎重を重ねたという感じだ。
この写真良かった。VICEの部分を消している(笑)。奥様のDr.ジルバイデンさんと。
とはいえ、まだトランプさんは、訴訟を継続しているし、敗北宣言はしていないんだけれどもね。ただ、大勢は決したと思う。結局のところ、いくつかの州で訴訟でひっくり返したとしても、ウィスコンシン、ミシガン等のスィングステイツを既に抑えてしまっているし、数えなおしたところで、ペンシルバニアなどで、どうにもならないくらいの「差がついてしまっている」ことを勘案すれば、これは無理筋の訴訟だと思う。ゴアさんとブッシュさんの2000年の時とは違う。
■史上最大得票数の意味をどうとるか?~アメリカの民意は、トランプさんを否定したのか?それとも、民主党のバイデンさんに新しい希望を抱いたのか?
今後を見るべき点で、重要なポイントは史上最大の得票数を、二人ともがとっていること。史上一位と二位。これを、
民主党、リベラルサイドが、結集して完膚なまでにトランプ政権の4年間を否定した
ととるのか、
7千百万票もの、2008年のオバマさん以上の支持を得たトランプ政権は、アメリカの半分近くの高い支持と信任を得ている
で、差が出てします。個人的には、「どちらも正しい」のだと思う。困ったとことに(笑)。まぁ、世の中スッキリしないことだらけですよね。
この方はトランプ支持派ですけど、今回トランプが
— Hiroyuki Takenaga (@nynuts) November 10, 2020
「オバマより票を集めた」
というのは否定しようのない事実なんですね。なので反トランプ派もその事実は直視しないといけません。「なぜか?」を一生懸命考えないとね。一番大事な「なぜか?」は
「なぜ彼らはバイデンに投票しなかったのか?」 https://t.co/3SJINn1DUi
バイデンは中道で、党内左派の過激な改革案(グリーン・ニューディールや警察解体、保険の国有化)に全面賛成してません。彼は政治家としては改革者ではなく、モデレイター(間に立って調整する人)です。トランプに破壊された政治と国民の団結を取り戻すことが大統領としての役割だと自覚しています。 https://t.co/z3aeiJLhif
— 町山智浩 (@TomoMachi) November 9, 2020
ただし、町山さんが指摘している通り、1期4年で退任すると明言しているバイデンさんは、この分裂したアメリカをどのように統一への癒しと道筋をつけるかが、重要なポイントとなるはず。そして、それは、とても難しい。なぜならば、民主党の内部で、極左と中道が覇権争いをしているのだが、民主党はサンダースやAOCなどのプログレッシブの力が強まっている。この選挙を「史上最大の得票数で選ばれたので、レフトサイドに極度に振り切っていい!」と思ってしまうと、徹底的にトランプ政権を支持している層に対する攻撃となって現れることは明白で、そうなると、分断は深まる。ということは、「次の大統領選挙」で、もう一度、賢いトランプさんが現れないとは、誰にも言えない。
■勝負は決まっていないぜ!~上院を制するのはどちらだ?
Stacey Abrams says fighting voter suppression changed "the trajectory of the nation" https://t.co/hZ0vdPZZyt
— CBS News (@CBSNews) November 10, 2020
If Republicans hold the Senate, the Biden administration won't be able to push through any meaningful political reforms, much less act on issues that many Democrats feel strongly about: My piece for @gzeromedia https://t.co/i3jlzj76hb
— ian bremmer (@ianbremmer) November 10, 2020
このアメリカの極左、レフトサイド、リベラルへの行き過ぎを、抑えるののか?それとも助長するのか?は、上院を制するのがどちらかで決まる。いまのところ、共和党がコントロールを持ちそうだが、ステイシー・エイブラムスのいたジョージア州で、更なる決選投票が行われるので、ここに注目。これで、民主党が上院の過半を閉めれば、トリプルブルーで、民主党の極端への疾走が止まらなくなる可能性が高い。
票の数え直しをしているジョージア州知事ブライアン・ケンプの投票抑圧の恐るべき実態を描いたドキュメンタリーは日本でもAmazonプライムで観れます。https://t.co/fSwU1cgBIE https://t.co/45U89mkiaf
— 町山智浩 (@TomoMachi) November 11, 2020
ちなみに、プログレッシブ、民主党最左派、バーニーサンダースの台頭と新党を見るには、下記のドキュメンタリーがおすすめ。やっぱり、スター中のスターである、アレクサンドリア・オカシオ・コルテス。彼女が注目株です。
■白人ワーキングクラスの更なるスウィングステイツをとる戦いはバイデンさんが勝利
「バイデン氏は今回、ペンシルベニア州スクラントンの中流家庭で生まれ育った…。3州を奪還することに成功した」
— Kazuto Suzuki (@KS_1013) November 10, 2020
民主党予備選の時、モーリーさんの番組に出させてもらって「民主党ラストベルトを取らねばならず、それをするならバイデン」と解説した通りになった。 https://t.co/t8nLfpa1kz
今回の選挙でなるほど思ったのは、5大湖のまわりのスィングステイツ(プラスフロリダ)をとれば、簡単に選挙人の数がひっくり返る。それ以外の地域は、かなりブルーとレッドが固定化して変わらなくなっていること。いいかえれば、ここの白人の労働者階級の取り扱いが、選挙を決めるキーストーンになっていること。なので、考えなければいけないのは、ここの
「白人労働者階級って何者なのか?」
ということ、それに、
「彼らに対してどういう処方を示す、実行すれば、好かれるのか嫌われるのか?
を見ることが、アメリカの未来を占う重要なポイントになるということ。
上記でシェールガス、いいかえれば、アメリカのエネルギー政策を見たのですが、たとえば、このシェールガスのフラッキングの環境規制の問題は、すなわち、ペンシルバニアの労働者の未来を決める、生死を決めるということ。あほみたいに、トランプさんもバイデンさんも、ここに通ったのは、それが理由。20人の選挙人は大きい。今回も、最後を制したのは、ペンシルバニアの結果だった。なので、選挙の「読み」は凄く正しかった。
だから、たとえば、今回勝った理由の大きな点は、バイデンさんがデラウェアに住んでいて、ペンシルバニアで生まれた労働者階級の人というのが大きいと思う。ヒラリーさんは、ひたすらその強面ぶりや、金融エリートとの癒着などの、えらそーでむかつく面が嫌われたといわれたが、バイデンさんは逆。ヒラリーさんは、女性がゆえに、強く出なければいけない久手、強く出たら叩かれるし、と政治家はしんどい。好々爺のバイデンさんは、人はいいけど、何もできない認知症のおじいちゃんなどと揶揄されたしね。でも、トランプさん疲れが来ているところで、この穏やかさ、何もできなさ、は逆にプラスに働いたんじゃないかと思う。なぜならば民主党で最も重要なのは、極左(サンダースらの支持層)とどういう風に融和を図るかだからだ。
なので、民主党がAOCのいうようなグリーンニューディールなどの極端な政策を実行面で推し進めれば、「次の選挙」でペンシルバニアがひっくりか得る可能性は凄くある。ここ注目点ね。シェールガスのお話が知りたい人は、下記の映画がおすすめ。あと、本も凄いわかりやすいです。
なぜ「ひっくり返る」のかといえば、40%弱のトランプさんの支持層のうち、エヴァンジェリスト(キリスト教福音派)や反知性主義?とでもいうべき、もうカルトにハマったトランピアンみたいになっている人を除くと、このスィングステイツの白人労働者階級が大きくキャスティングボードを握りるようなのね。ここの雰囲気を知りたい人は、下記のドキュメンタリーがおすすめ。グローバリズムに翻弄される工場労働者の悲哀を、これでもかと見せてくれるので、日本人いはとても理解しやすいはず。ちなみに、中国の投資を呼び込んで、工場ができるという話。。。。。
重要なのは、ここで同じ人が、2008年には熱狂的にオバマさんに入れて、2016年には同じ人がトランプさんに入れて、今回2020年は、バイデンさんに入れているはずなので。だって、そうでないと、ミシガンとウィスコンシン、ペンシルバニアの結果が、こういうはずないから。
ポイントです。この五大湖周辺のスウィングステイツの白人労働者階級というのは、とても論理的で、是々非々で物事を決める人たちだということ。
いいかえれば、カルトにハマった人々ではないので、「状況と政策の結果」によって入れる相手を変える人々だ、ということ。これ重要。なので、まだ次の選挙も、ここがキャスティングボードを握るはず。またここら辺をブルーウォール(進撃の巨人みたい・・・)といってずっと実は民主党の牙城だったのね。なぜかというと、ここが工場労働者が集中している、、、、言い換えれば労働組合、ユニオンが基盤なんですね。だから、分かると思うが、「工場の労働者の組合をベースにしている民主党」は、日本に物凄く厳しい。そういえ歴史的流れがあります。
■町山智浩さんのツイートが、素晴らしく的確にとらえている~人は忘れ去られることが最も憎悪を呼び反動を生む
トランプ支持者の最も熱烈な中核をなしているのは、トランプが「忘れられた人々」と呼んだ無党派の白人ブルーカラーです。共和党がトランプ切りに動き始めている今、彼らはまた「忘れられた人々」に戻りつつあります。バイデンやアメリカが彼らの孤立を放置すると、第二のトランプが現れるでしょう。 https://t.co/aa9KwxD4qx
— 町山智浩 (@TomoMachi) November 10, 2020
それと、アメリカのスィングステイツの白人工場労働者が重要というのは、ここら辺の人が、先進国で唯一平均寿命が下がっているのですね。ようは、物凄い苦しいのですよ。もともと鉱山とかがあって、工場労働者になってという流れなので、イギリスや日本の炭鉱もの映画とかイメージしてもいいかもしれない。オピオイドの中毒が問題になるのは、これが「痛み止め」で、立ちっぱなしの仕事などで体を打痛めた人が、痛み止めを処方してもらって、中毒になってものすごい数が死ぬようになっていたったわけですね。そんで、これってたぶんコアを煎じ詰めると、グローバル化についていけなくて、町や家庭が貧困に陥って、酒や薬浸りになった「元家父長制の白人のお父さん」のイメージになるんですよね、僕は。その人たちが、どれだけ荒れて、無茶苦茶になって、過去にすがるかは、多分考えれば想像がつくと思うんですよね。そして、ここに対して、リベラル層や学歴エリートや、新自由主義者が、徹底的に無視して、叩いて、軽蔑して、苛め抜くのは想像に難くないと思うんですよ。「それみたことか!」といいって。。。。
その「怨念」を考えてほしいのです。
この辺は、もうすぐドラマにもなるというヒルビリーエレジーがとてもいい。とてもじゃないけどどう上出来な人の集まりですが、、、というか、ヒルビリーは、白人労働者階級ではないですが、「このイメージ」です。
そしてその怨念が、爆発する時がいつかといえば、、、、、「忘れ去られたときなんです」。
そして、それは無視できるほど甘くはない反動を生みます。
このトランプ政権の4年間を振り返れば、この怨念がどれだけだったかが、如実に実感できるはずです。
僕は、トランプさんが大統領になってからの、アメリカメディアの変わりように驚きました。リベラル支配の構造は全く変わらないですが、とにかく「忘れ去られていた層」に対する注目度が凄まじくなりました。
トランプ政権が始まった時は、現役大統領がツイッター垂れ流すなんて!と驚いたが、もう普通にチェックして、事実やメディア見解との差を見るようになっているので、そう意味では、物凄い政治を荒っぽく「見える化」したなぁと思う。これがなくなるとすると、さびしいのか、ほっとするのか悩むところ。
— ペトロニウス (@Gaius_Petronius) November 5, 2020
もちろん、それが選挙のキーになるので当然です。だから僕は政治家として、ドナルド・トランプさんは、非常に正しかったと思います。彼は、ちゃんと「忘れ去られて見向きもされなかった層」の代弁者になったのですから。まぁ、それが白人至上主義者だったりするので、話がややこしくなったのですが(苦笑)。
『Three Billboards Outside Ebbing, Missouri(邦題:スリー・ビルボード)』(2017)とか、『ブレイキングバッド』がおすすめです。『最後の追跡(Hell or High Water)』(2016)のTaylor Sheridan
フロンティア三部作なんかもおすすめ。この雰囲気、「出口がない閉塞感」は、この辺を見ると凄くよくわかると思います。
ちなみに、白人労働者の恨みだけを見ていては片手落ちなので、BLMが生まれる根源として、『ボクらを見る目(When They See Us)』や『The Birth of a Nation (バース・オブ・ネイション)』がおすすめです。
■メディアのバイアスをチェックしよう!
この図を知ってからニュースを見る前に必ず見てから読むようにしてる。日本もこういうのあると良いのに。もっともアメリカのメディアによる偏り度は日本の朝日/産経より大きいかもだけどwhttps://t.co/uVGnZnyooL
— Tomo🇺🇸40歳からのアメリカ (@from_40) November 10, 2020
ちなみに、英語がわかる人向けになってしまいますが、、、この辺も、「英語ができな層の怨念を生む」よな(笑)といつも思いながらも、僕は意識して極端と極端をなるべく見るような癖をつけています。選挙も、FOXとMSNBCとかを同時に見ていると、同じ世界とは思えない気分になります。そういうのに対してアンテナがあるかどうか、自分と相いれない人の「魂の内在的論理」に対してシンパシーを持って臨めるかは、その人の器を、視野の広さを決定づけると思います。
■正直陰謀論は、全く意味不明ないので、、、、僕には、感覚がよくわかっていない
ちなみに、ぺトロニウスは、正直、陰謀論とか、選挙の郵便投票の話とか、全く意味不明です。なんというか、ああいうのがそもそもダメなんでしょうね。受け付けない。でも、Qアノンとか、この手の陰謀論こそが、物語的な人々のシンパシーのダイレクトな赤裸々な部分に結びついているので、無視はダメだ!と思いながら、一生懸命追っています。この話は、もっと考えないとなーと思う。
■カマラハリスさん~2024年の女性初の大統領になれるか?
上記の流れで考える重要なのが、2024年の選挙。民主党の最大の候補は、なんといってもカマラ・ハリスさん。しかし、彼女は、民主党の中道と目されていますが、しかし、どうにも厳しくリベラルを追求する匂いもします。まだまだ女性でガラスの天井を破る人は、とにかく人より優れて正しい人が多いので、それがアメリカの反知性主義や「忘れ去られた人々」の層にアピールにつながるか、どうするのか?というのは見ものです。
Who Is Kamala Harris' Husband? Meet Doug Emhoff : Updates: 2020 Election Results : NPR
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継母ではなく「ママラ」。次期副大統領カマラ・ハリス氏が築いた温かい「ブレンドファミリー」のかたち | ハフポスト WORLD
■アリゾナ州がひっくり返ったのは???~西海岸のブルーステイツのテキサス方面への滲みだしが興味深い
アリゾナがこのまま民主党になるかはわからない。しかしながら、カリフォルニアからテキサス方面への移住は進んでいるし、ヒスパニックの拡大は、この辺りをすべて青にしてしまう可能性が高い。そんなことを感じる選挙でした。
Republican Senator John McCain’s 2008 concession speech.
— Joe Stanley 🇺🇦 (@JoeWStanley) November 5, 2020
A humble leader forged in the crucible of personal sacrifice who was a true servant of his country.pic.twitter.com/AJ4PhECBXo
こちらの動画もオススメ📺。2008年の選挙イベントに参加した女性支持者が、「オバマは信用できない。彼はアラブ人だ」と発言。するとマケイン氏はマイクを取り上げ、「違います。彼は家族を愛するまっとうなアメリカ市民です。彼と私は基本的な事柄について意見が異なるだけです」と🇺🇸。 pic.twitter.com/w80SeEKXqX
— sangmin.eth @ChoimiraiSchool (@gijigae) 2020年11月6日
With more than 73 million votes so far, President-elect Joe Biden has broken the record previously set by President Barack Obama, who received about 69.5 million votes to win in 2008. https://t.co/iAy9eUUFoq
— Vox (@voxdotcom) 2020年11月6日
Cindy McCain: John McCain "would be very pleased" at Biden's win https://t.co/FdriurxmBh pic.twitter.com/eBM8j5uSh6
— CNN Politics (@CNNPolitics) 2020年11月10日
via @NYTimes ☆あらあ、アリゾナでバイデン勝っちゃうのかなー? https://t.co/ktEwwMc9q7
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) 2020年11月10日