チャールストン&サバンナ+フロリダ・キーウェスト&エヴァーグレース国立公園(4) チャールストンダウンタウンを散歩

■朝飯はグリッツ
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ミドルトンプレイスでの朝食は、なかなか美味しかった。普通のブレックファストでしたが、味がちゃんとしている。眺めがとても素敵。雨模様なのが残念ではあるが、それもまた風情。ちなみに、南部の名物料理ということで、grits(グリッツ)ですね。とうもろこしでできたお粥のようなものらしいです。最初なんだろう?っ思いながら食べたら、だいぶしょっぱい。語源は「粗末な食事」を意味するGryttにあるそうです。これもうほとんどお粥だと思うんですよね。かなりしょっぱかったけど、チーズとか色んなので味付けは変えられるんだろうと思う。

■ミドルトンの屋敷の中のツアーへ

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このツアーが最高でした。雨が降っていて、他に誰もいなくて、朝一番の回は、うちの家族のみだったので、ひたすら僕も子供たちも質問しまくって、なかなかの充実したツアーでした。財団に管理が移ったとはいえ、ミドルトン一族の個人のものなので、写真撮影はできなとのことで、残念でした。

驚きなのは、60-70年代くらいまでこの屋敷は、ミドルトン家の人が住んでいたっていう話。もう金持ちの桁が違いすぎて、やはり「裕福さ」って世代を超えて残るんだなぁって。このレベルの金持ちは、もう世襲貴族ですよね。そんなけた外れの財産を1-2代で作ったことを思うと、奴隷制度と交易の利潤の凄まじさを感じで背中が寒くなりました。もう一つは、南北戦争で南軍が負けた後、北軍がこのプランテーションになだれ込んできたときに、ほとんどの建物がヤンキー(Yankee)によって焼き討ちにあって焼失しましたという話。『風と共に去りぬ』(Gone with the Wind)で、アトランタ操車場の弾薬庫の炎上を強く連想した。様々なところで、ヤンキーがきたときに、この辺はすべて焼き討ちされたなどの階層が出てくるので、南北戦争のあとは深いんだ強く印象に残りました。

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それと、うちの子供たちは、現在ミドルスクールのエイスグレード(8年生)なのですが、歴史でアメリカ独立革命の部分を詳細に(なんでそこだけ!っていくくらい細かい)習っているのですが、出てくる名前が、初代コーンウォリス侯爵チャールズ・コーンウォリス(Charles Cornwallis)の降伏の話などが出てきて、めちゃ盛り上がっていました。子供たちも、こういう歴史の話が分かるようになったんだなぁとしみじみしました。コーンウォリスの降伏は、ヴァージニア州ヨークタウンの戦いですね。この辺は、アメリカの神話の基礎みたいなものなので、個々の有名な登場人物や地名は覚えていると、つながって胸がドキドキします。

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後、ちょっと驚きだったのが、ミドルトン一族に仕えた人たち関係者が、「同窓会」?見たいのをやっているんですよね。なるほど、なるほど、そういうのはあるだろうね、数百年続く貴族に使えているわけだから。ところが、驚いたのは、写真に「なんとか・ミドルトン」と書いてあるんですが、その人が、どう見ても黒人なんですよ。あ、これは、よく奴隷を白人の主人がレイプして子供を産ませていたりするケースが(家畜として当時扱っているんですよ…ひどすぎる)、それかなぁ?って思ったんですよね。有名な建国の父トーマス・ジェファーソンの愛人、奴隷、サリー・ヘミングスの話も思い出させます。

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でも、聞いてみたらどうも違うみたいなんですよね。当時、黒人奴隷が解放されたときに、名字がなかったんで、適当に名前をつけたんらしいんですよね。日本でも、明治維新で四民平等になったときに、適当に名字をつけたので、田んぼの中に住んでいるで田中さんという名前が多くなったとか、本当かどうか知りませんが、どういう話を聞いたことがあります。それと同じように、当時つかえていた主人の家の名前を使うケースがよくあったとか。それで面白いなと思ったのは、同窓会って、使用人たちなど関係者が集まって仲良くしているというのが書いてあって、、、、まぁ裏の背景はわからないのですが、『片喰と黄金』というマンガで、ゴールドラッシュのカリフォルニアにアイルランドから食い詰めていく物語があるんですが、異様に奴隷にやさしくしている白人農園主の矛盾を描いたエピソードがあったんですが、あそこなどは、そういうのがあってもおかしくないよなって、ちょっと不思議な感じがしました。ある程度、自立して中産階級になって、「過去の歴史を距離を置いてみよう」と思ったら、自分のルーツについて、いろいろ調べたり話し合ったりして、仲良くなれることもありうるよなぁと、驚きました。本当は豊かになって自立できたら、対等になれるはずなんで、すべてがキャンセルカルチャーなどの対決を煽る姿勢だけに収斂するのは、かなり社会の持続性を失わせるよなぁと思います。

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とはいえ、上のベクトルとは逆ですが、奴隷の悲惨さを扱った作品としては、この『マンディンゴ』(Mandingo)1975年が、一番残酷で苦しいです。なので、これを見ておくのをお勧めします。広島の原爆の記念館見る前に『はだしのゲン』読んでおくような感じです。どの辺まで究極に言ったら残酷でやばいかというのは抑えておきたいなと思います。まぁ、この凄みのある地獄の歴史を、前提にして離さないと、軽々しくなっちゃいますよね。

ダウンタウン
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この日は雨なので、本当は、どこかのプランテーションを見学するつもりだったけど、諦めてダウンタウンへ。雨がひどければ、ランチだけで良いと割り切っていました。降水確率100%だったので、そもそももう無理だなって。けれども、小雨になって、歩くのは、問題なかった。しっかし、12月ということで、異様に寒かった。しんどくなって、近くのスーパーマーケットで、もこもこフリースを買って、寒さを凌いでいました。いやーカリフォルニアも寒かったけど、こんな南部でもかなり寒いんだなってて驚いた。とりあえず、市の中の公営駐車場(駐車場はいろいろある)において、ふらふら家族で散歩。

■Poogans's Porchで昼食

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南部料理をトライということで、妻が探してくれたお店に。FRIED GREEN TOMATOEが有名ということで、とりあえず有名どころを注文。

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FRIED GREEN TOMATOES
SHE-CRAB SOUP seasoned Blue Crab, Chives
POOGAN'S MONTE CRISTO
Smoked Ham, Swiss Cheese, Maple Syrup
Seasoned Blue Crab, Chives

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全体的に、悪くないって感じの評価。ただし、めちゃくちゃおいしいかというと、、、、。この後、サバンナでいったお店は、これアメリカ生活の中で、人生で一番うまいんじゃないか!と子供たちが叫んでたくらいおいしかったので、それと比較すると、うーむ、まぁまぁかな。

■街を歩く
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息子が大きい教会を見てみたい、というので、教会に。なんというか、自分は、大学生ぐらいの頃に、ヨーロッパを旅行しまくって、飽き飽きするほどみているので、それほど感銘を受けなかったんだが、子供たちはとても感心していたみたい。こういうゴシックとまでは行かないか、古いタイプの教会を見ると、ああ、ヨーロッパと地続きなんだなぁって感心する。

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カリフォルニアで、娘の保育園とか、色々な教会に遊びに行ったけど、基本的には近代建築なモダンなものが多くて、こういう歴史を感じることは全くなかったので、ああ東海岸は、やっぱり大英帝国の一部で、ヨーロッパとのつながりが深いのだなぁとしみじみしてする。Wayfares Chapel(ガラスの教会)とかね。ああいうのと比べると、めちゃヨーロッパの香りが凄いする。

Homepage · Wayfarers Chapel

こういうふうに思うのも、アメリカの東海岸をたくさん旅行して、そもそも若いときのヨーロッパの経験があるからなのかもしれない。子供たちはどうこの空間のつながりみたいなものを感じているのかは、わからないけど。やはり、旅はいい。

■市庁舎
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雨が降っているので、教会を見たら、もう帰ろうって話になっていました。下の娘が、まだ8歳なので、「せっかく来たのだから!」と、盛りだくさんにすると、まぁ、自分がアラフィフで体力が落ちたのもあって、後に疲労が残るので、無理はしないとなっているので、だいぶ淡白な感じになっている。ああ、そういう意味では、老いはきているのかもしれないなぁ。40代後半で老いなんて、笑っちゃうかも知れないけれども、、、、僕はバックパッカーが好きで、大学時代本当に世界中色々回ったけれども、当時の一番興奮して面白かったのは、地図もガイドも持たず、ふらっと行った都市で1週間くらい、毎日毎日、街を歩き回ることでした。地図は持っていかないけれども、もちろん現地調達はしますが(笑)。そうして、現地に地図を片手に、歩きまわっていると3−4日すると、頭の中に、身体の中に都市の構造や機能みたいなものが、うっすら出来上がってくるんですよね。これは、特に古い街だと、がちっと身体の中に構造がわかってくる。でもあの身体の中に、僕は「身体地理感覚」と呼んでいましたが、出来上がってくるのは、一人で黙々と、物凄い距離を歩いて、ホテルと駅や重要ポイントの体感距離が出来上がらないと感じれません。でも、、、それは、40代の前半で限界になりましたね。一つには、子供が小さかったので、あまり詰め込むと、数時間は抱っこしたりおんぶしないと、まわれないんですね。30代の後半くらいは、楽勝でしたが、40になるともう無理。ああ、あのバックパッカーのような都市散策は、もうできないのだろうなぁと少し残念い思います。まぁ、とはいえ、8歳にもなると、流石に抱っこをせがまなくなりますので、今回は意外に歩けた。全く無目的で、パイナップルの噴水でも見れれば十分と思っていたんですが、通り道に市庁舎があって、偶然、せっかくだから見てみようよ、ということで入りました。

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というくらい、偶然で適当だった上に、家族には、市庁舎なんかどこも同じでしょう、見ても仕方がないとごねられたんですが(笑)。チャールストンの南部の歴史の香りは、確かにプランテーションを見たので、僕の中ではかなり満足してしまったのですが、ダウンタウンも、なんか一つくらいはみてみようよって、説得して入りました。入口は、大したことなくて、みてもしょうがないじゃんと、みんなぶーぶー。


が、今回の旅行でベストとも言えるほど、素晴らしかったんです。この地下のダンジョンツアーが。そもそも、ダンジョンツーアーがあることすら知らず、下に行ったら偶然やっていただけでしたが。これは、自分「持っている」なって思いました。


■市庁舎ダンジョンツアー

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これは、市庁舎の地下に、地下室があって、そこは長い歴史があって、元々は両替所として使われていたり、イギリス軍がせめてチャールストンが占領された時には、犯罪者の牢獄にされたらしい。なのに、イギリス軍占領時に、この地下室の奥に弾薬を隠してあったりと、南部の歴史が色濃く反映しているんですね。それで、そのエピソードを、キュレイターなのか、ガイドの人が、説明してくれるんです。ディズニーランドのホーンテッドマンションみたいな感じって思えばいいんですが、これが最高でした。

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Old Exchange and Provost Dungeon

http://www.oldexchange.org/highlights

下記のサムター要塞の背景で説明したのですが、このあたりの歴史をちゃんと知っていると、いろいろなツアーの解説がどんどん重なっていってつながっていくので、めちゃくちゃ歴史が体感できます。

petronius.hatenablog.com


■市庁舎2階
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■奴隷市場

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globe.asahi.com

ナサニエル邸宅

Nathaniel-Russell House Museum Tours & Tickets | Charleston, SC

■パイナップル噴水(Pineapple Fountain)
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1990年のハリケーンヒューゴの後に建てられたものらしいですが、いや、うん、なんというか、ただの噴水だよね(笑)って感じでした。この近くに住んでいる人が見に来るにはよいランドマークスポットだとは思いますが、観光でわざわざ行くほどのものではないかなぁ。だってほら、チャールストンって歴史の町なので、やはり歴史をたどりたいところですよね。

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チャールストンからサヴァンナに向かう途中。約二時間のドライブ。ちょっと雨。州間高速道路95号線(Interstate 95、I-95)をまっすぐ。東海岸の大西洋を左手に。I95は、メイン州とフロリダを結ぶ東海岸の大動脈。

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僕は、カリフォルニアのオレンジカウンティに住んでいるし、日本でも東京や神奈川に住んでいるので、基本見る海って太平洋なんですよね。大西洋ってなじみが薄い。それを左手にずっと見ながらいると、なんだか、ふぉぉぉぉっえ感じがします。『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』でも『ヴィンランド・サガ』『ダンピアのおいしい冒険』でもなんでもいいですが、あそこで描かれるカリブ海とか大西洋って、見たこともない、どっか遠いところにあるファンタジーって感じだったんですが、こうやって眺めながら運転すると、そうかぁ、本当にあるんだなぁと感慨深い。「見なければわからない」とは言わないけれども、実際に見ると様々なものが有機的に心や体の中で結びつくので、異なる角度から見えるようになって、世界を甘受する力が少し上がるような気がする。あくまで気だけど(笑)。


アメリカの旅の醍醐味は--------アメリカに限らないかもしれないけれども、運転することだと思っている。アメリカ合衆国の特徴的な「差異」というのは、とにかく「空間の巨大さという大陸的なもの」が、一番にあがると思っている。とりわけ、狭い列島の繊細な空間に居住する日本人には、「この大陸的な感覚」「この風景の変化」というのが、ほとんど体感的に理解できない。これを体感するには、長距離(まわりのアメリカ人にとってはたぶんロスとサンフランシスコの運転をめちゃくちゃ長いとは思わない感じなんだよね・・・・)を運転してみると、よくよくわかるようになるのだ。僕は、西海岸と東海岸は、アメリカ合衆国に限れば、上から下まですべて運転したので、これは自分的にはラッキーだと思っている。内陸部も、それなりに運転しているので、いまアメリカの映画やドラマを見ると、ワンシーンのカットで、どこらへんか、どのような風景が続くかというのが、体感的にわかる。それによって、わかるものが全く違うので、とてもうれしい。

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先日、ジェーン・カンピオン監督、ベネディクト・カンバーバッチ主演の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(The Power of the Dog)(2021)を見たんですが、1920年代のモンタナ州なんですよね。ここは、イエローストーン国立公園をいったときにかなりの距離を運転したんですが、映画のカットでは、ほんの何十秒や数分のカットでも、「その背後にどれだけの距離感を移動する日常があるか」ということが体感的に理解できないと、ここに住む人の身体感覚がわからない。まぁ僕は、映画やマンガなど物語が大好きで、それにくるまれて生涯を過ごしたいなと思っているので、「より物語を深く楽しむために」何が必要か?っていつも考えながら生きています。

■サバンナへ

Interstate 95を真っ直ぐ、南へ。低地湿地帯。沼地ばかり。ここら辺が、独立戦争当時のジェントリーたちで、大金持ちばかりって、信じられない。ちょっとチャールストンから山の方に行くと、もう原生林的など田舎感じ。すでにアメリカの東海岸は、大工業地帯の大都市がある地帯なのにもかかわらず、ちょっと来るまで郊外に行くと、鬱蒼とした森や低湿地帯が延々と続くさまは、日本では考えられない。日本は、名古屋の灌漑や、東京の江戸湾埋め立てなど、数百年、数千年かけて、人力で人が住める空間を、余すところなく利用しようとしているので、大都市のすぐ横に、そういう空き地みたいのは残らないのだ。でもアメリカは、たぶん、手を入れれば使える土地であっても、そんな手間、暇、金をかける余裕があれば、フロンティアなどさらに西の奥地に向かえばいいじゃないかって感じになって、最高においしい立地を使い尽くしたら、直ぐに奥地に開発が向かってしまったんだろうと思う。

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オレンジカウンティでは、シェブロンはよく見るものの、bp(旧ブリティッシュ・ペトロリアム :The British Petroleum Company plc)は、ほとんど見ないので、なんとなくうれしくなって写真を撮ってみる。つーかさ!、3.5ドルですよ!。オレンジカウンティでは、バイデン政権の政策とコロナによるサプライチェーンの分断でインフレが進んで、既に5ドルですから。カリフォルニアって、ほんとうにガソリン高いよなってしみじみ思う。