さすがに、これは歴史的イベントだろうと思い、コツコツ調べている。上の最初の1時間半は、ウクライナ動向についてLDさんと話したもの。今の気分が残っている。2014年3月のロシアによるクリミア併合以来、このような国境線の変更は、WW2以来の大きな出来事で、世界の歴史の流れを大きく変えることだと考えてきたので、これでダメ押し。新しい世界に突入したのだろうと思う。
2022年2月24日の木曜日にロシアがウクライナに侵攻開始。
専門家でも、直接関係ある立場でもないかぎり、こういう時にもっとも自分に課してるのは、この機会を利用して、深く知ろう、ということ。感情の発露撒き散らしは、良いこと産まない。善意でも。まずは、深く遠く見通せないと、といつも思います。 https://t.co/Csibkdm1Ib
— ペトロニウス@物語三昧 (@Gaius_Petronius) February 26, 2022
僕はスタンスとしては、WW2以降の国境線を武力によって変えないという国際的なコモンセンスは、絶対だと思っているので、日本人としては全面否定以外はないと思っている。しかし、ロシアの「安全保障への恐怖から来る物語」は、日本も似ているのでこれを止める方法は、なかったかもしれないとは思う。とはいえ、専門家であるわけでもないし、利害関係もほとんどないので、こういう大規模イベントは、語彙と歴史を見る皮膚感覚を養う好機だと思っている。なので、こつこつ事態をモニターしてみている。
■小泉悠さん
こういう時に、基礎的な時代を理解するためには、自分が好きなかつ信頼できるソースをコツコツ追うのがいい。東京大学先端科学技術研究センター専任講師の小泉さんをそもロシアウォッチャーとして信頼してずっと追っているので、この人を追っている。過去のインタヴューで、北方領土問題について、めちゃめちゃわかりやすく説明していて、重層した複雑な歴史で簡単には理解できないと思っていたことが、スッと理解できて、自分の頭と言葉で積み上げている人はこんなにわかりやすく物事が説明できるのか、と驚いた。下記の著作も読んでいるしね。本では、ウクライナやバルト三国などの国境問題もおっていて、全部ひっくるめると、ロシアの全体の戦略というか感覚がよく伝わってきて、本当に良かった。とにかく明快でわかりやすいのに、決してごまかしていない自分の言葉で練られ考えられた深みを感じる。
特に、下の5分のダイジェストは、いまが一体「何がイシュー」なのかが端的に詰まっている。
歴史的には、ホロドモールによるロシアへの恐怖が深く、オレンジ革命、マイダン革命とステップを踏んでいるので、ここで市民によるゲリラ戦による徹底抗戦はわからなくない流れ。日本のWW2での本土決戦を、ガチでやっているということだ。
本を読むと、目の前の現象だけではなく、「主権」の概念が、西側、自由主義陣営、西ヨーロッパの1648年のウェストファリア条約(Peace of Westphalia)を基礎とする考え方とまるで違うという原則と理論から説明していて、なるほどと唸ったのを覚えている。中国の歴史的背景から、冊封体制、朝貢体制を知らなければ、「見ている世界が違う」「異なるゲームで交渉している」ことがわからなくて、何が問題になっているのかまるで理解できないままディスコミュニケーションに陥るものなのだなぁと、いろいろ本を読むうちにクリアーになっていったのだが、その時と同じようなセンスオブワンダーを感じた。というか、むしろ、世界の大国として独自で動けるプレイヤーである中国やロシアがまるでウェストファリア的な理解と異なる主権、外交理解をしているということは、人類史におけるコモンセンスが、決して、それが共通ではないこと示していて、全然わかっていないで歴史書とかを読んでいたのだなぁ、といやはや読んでいて勉強になった。
これ2019年の時の本の感想だけれども、この主権の概念の違いを、前提にしたいと、プーチン大統領が何を言っているのかが、ほとんどわからないと思う。
■本土決戦のいま
さて、この記事を書いているのは、2/28でたぶんウクライナとロシアの会談は、破談していると思う。そうすると、ロシアの侵攻に対して、ウクライナによる本土決戦が継続くしているはず。かなりの軍事大国ウクライナといえども、実際のところは、ロシア軍に勝てるはずもない。じわじわと、キエフ(最近キーフと書くよね)に進軍していて、いつかは落ちると思う。基本的に、時間がたてば、ウクライナ、ロシアともに良い点と悪い点がある。実際軍事的には、どんなに抵抗しようと、占領地は増える。ロシアのアドバンテージは増えていく。
批判の多かった大統領が、国民を奮起させ国際世論を動かす人に。人は常に成長する。「すべてのウクライナ人がゼレンスキーを支えるようになった。彼は自身を手本にしながら、国民を団結させている」/人気コメディアンから祖国防衛の指導者に、注目集まるゼレンスキー大統領 https://t.co/cLuNz9pnkC pic.twitter.com/k8qYKjIxYE
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) February 28, 2022
ゼレンスキー大統領、EUの制裁メニューを決める首脳会議に参加し、ウクライナのEU加盟の意思を示し、支援を情熱的に訴えた。その演説は、制裁強化に消極的だったドイツなどの立場も変え、強力な制裁で合意するに至ったとのこと。https://t.co/VOJJmTXt0k
— Kazuto Suzuki (@KS_1013) February 28, 2022
zelensky signs application for ukraine to join the eu in a barricaded room pic.twitter.com/K4ilfB61Qx
— ian bremmer (@ianbremmer) February 28, 2022
しかしながら、ウォロディミル・オレクサンドロヴィチ・ゼレンスキー大統領(ユダヤ系ウクライナ人)は、この状態で、徹底抗戦を叫んで、それが機能している。もともととても好戦的で能力のないコメディアン上がりとの揶揄が多かった人だけど、時を得た感じがする。民主主義の生態が、まがりなりにも、自由を求めて市民を含めて本土決戦、徹底抗戦を叫ぶとなると、国際社会、とりわけアメリカ、西ヨーロッパサイドの支持が大きくなっていくのは必定。
国際社会の同情、そしてアクションを引き出す、「時間稼ぎ」が、本土決戦の効果としてある。
ゼレンスキー大統領、ここでEU加盟申請を行う。NATOの加盟にはギャーギャーいうプーチンがEU加盟申請をどう扱うのか、興味がある。なお、現在のEUには共同防衛義務がある(TEU第42条第7項)。 https://t.co/MXipYgyXPC
— Kazuto Suzuki (@KS_1013) February 28, 2022
そしてEU加盟申請など、打てる手をガンガンうってきている。これが、どこに着地点を見出すか、が今注目されている。
Why Russia will lose this war?
— Kamil Galeev (@kamilkazani) February 27, 2022
Much of the "realist" discourse is about accepting Putin's victory, cuz it's *guaranteed*. But how do we know it is?
I'll argue that analysts 1) overrate Russian army 2) underrate Ukrainian one 3) misunderstand Russian strategy & political goals🧵 pic.twitter.com/pXpfIcq3Zs
映画などは、ほとんどプロパガンダで、一方の立場の物語に過ぎないことを自覚しつつも、たぶん実際にほとんど知識がないことを考えれば、下記の2つの映画はおすすめ。
ウクライナの人工的大飢饉を描いた『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』
— 高機動型ぽっちゃり (@age_koukidou) February 28, 2022
2014年の親ロシア政権打倒に国民が立ち上がった、マイダン革命のドキュメンタリー映画『WINTER ON FIRE』
2作品視聴、ウクライナがなぜ徹底抗戦を貫きロシアと戦うのか、これは本当に今見るべき映画だと感じた pic.twitter.com/U6lHbRDlUx
■ロシアの考え方
ちなみに、ロシアの安全保障への恐怖を理解するのに、この解説は、うまいと思った。ロシアが、どれだけ安全保障的に被害者意識の物語を積み上げているかは、実際の被害の歴史をベースに語らないとだめだと思うので。
■CNN10
僕は家族で、毎日CNN10を見ているので、この時のやつも毎日追っている。将来の参考資料として。